世の中の #トホホ を拾い集めては披露してくれる、歌人芸人の岡本雄矢さんも、さすがのプロの仕事に大感激!
『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』絶賛発売中!
* * *
カメ吉と名付けたカメは久々に実家に帰るとカメ太になってた
知り合いの方から聞いた話。
不幸なのかどうなのか僕には判断しかねたのですが、あなたはどう思うでしょう?
彼は実家で亀を飼っているそうで、そのカメはカメ吉という名前だったそうです。
彼が何年かぶりに実家に帰ると、カメ吉は元気にしています。
母親に「カメ吉元気だね」と言うと、母親は「カメ吉? カメ太でしょ?」と言ってきます。
彼が「え? 名前変えたの? なんで?」と聞くと母親は「なんでって、知らないけど」と答えます。
知らないけどってことないだろ。大事な名前だよ。と彼は疑問に思いながらも「誰が変えたの?」「いつ?」と質問を続けます。
しかし母親は「わからない」と繰り返すばかりです。
どういう意味なんだろう?
彼がそう思っていると母親は言います。
「というか、昔名前なんてあったっけ? カメ吉? そんな名前だった?」
え? そこから? と彼は思います。
「カメ吉だよ」と彼が言っても、母親は「そうだったっけ」と言うだけです。
なんで忘れてんだよ、と思った彼ですが、ふと思います。
たしかに「カメ吉」と声に出して呼んだ経験はあまりなく、家族全員で「こいつはカメ吉」だと確認し合ったことも、よく考えたらなかったような気がします。
自分がカメ吉だと思っていただけで、家族は名前のないただの亀だと思っていたのかもしれません。
それを不憫に思いカメ太と名付けたのかもしれません。
彼は、そんな気すらしたきたようです。
「お前の名前はなんなんだ?」
そう聞いても、亀はゆっくり歩くだけだったそうです。
これは不幸話ですか? 違うような気もしますがあなたはいかが思いますか?
亀の歩みのように、ゆっくり考えてみてくれると幸いです。
* * *
新刊『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』に続き、
『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』が文庫に!
読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる短歌&エッセイをお楽しみください。
僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)
著者は、主に”不幸短歌”を詠む「日本にただ1人(たぶん)の歌人芸人」。
よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。
そんな著者から見える”世界”を、フリースタイルな短歌(&ときどきエッセイ)にしてお届け。
もしあなたが自分のことを「不幸だ」と思っているなら、「もっと不幸な男」がここにいると思ってください。
- バックナンバー
-
- 実家で飼っている亀の名前で、ひともんちゃ...
- いつも舞台に出ている人が、客席に座ると見...
- 着ぐるみ&法被のコンビによる、カラオケ屋...
- 大相撲。行司の三十八代・木村庄之助さんの...
- カラオケで、B'zの「ウルトラソウル」を...
- パンダのシャンシャン、本当にその飛行機に...
- 彼女を怒らせるポイントがわからなくて、火...
- 好きな人とブランコを漕いだとき、動きが揃...
- オアシスのリアム・ギャラガーの真似をした...
- 満開のひまわりの中に、咲かないひまわりを...
- 壁のシミが、人の顔に見える…というアレ…...
- 世界三大夕日のひとつ、釧路の幣舞橋の夕暮...
- 「世界を変えた三つのリンゴ」を知り、林檎...
- 工事現場にある【ご迷惑をおかけします】の...
- 作ったネタが「いいネタ」かどうかは“排水...
- 個性的な創作をしたい2人の、もどかしいほ...
- 若い子が使う「すきぴ」と、僕の言ってる「...
- 「絶対、前髪ぱっつんのほうがいいですよ」...
- アイドルが虫を踏み潰した、そのシーンが忘...
- 有名な童話「金の斧銀の斧」に、異議あり!...
- もっと見る