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夢みるかかとにご飯つぶ

2024.09.22 公開 ポスト

【夢ごは日誌】不調ループの救世主清繭子

夢みるかかとにご飯つぶ』でエッセイストデビューした清繭子の、どちらかといえば〈ご飯つぶ〉寄りな日々。

いやあ、まいったまいった。

上の子の気管支炎から始まった病気リレーは、夫の抜歯による発熱へと続き、私のコロナと子宮腺筋症のダブルパンチでピークを迎え、ダメ押しの下の子の手足口病で終息を迎えつつある。(まだ終わってない。お願いだからもう誰も何もうつらないで……)

毎日、自分が寝込んでいるか、家族を看病しているかの日々で、仕事も家もひどい有り様。子どもの夕食にヨーグルトと白ごはんと納豆しか出せない日もあった。それが続くと自分が無価値に思えて、どんどん落ち込みのループにはまっていく。

そんなある日の午後。保育園を休ませた子どもに家で絵の具遊びをさせているとき、「あなたの作品がnote創作大賞中間選考を突破しました」というメールが来た。

ああ、元気だったときの私が、頑張っていてくれた……!

あのとき、『夢みるかかとにご飯つぶ』のゲラ作業まっただなかだったにも関わらず、「小説家になる夢も諦めない!」と意地で夜な夜な小説を書いて、なんとか締め切り直前に応募したのだった。

さらに、一週間前に頼んでおいた生協からミールキットも届いた。ふだんは割高だから頼まないのに。あの時の財布のひもがゆるんだ私、ありがとう……!

もし今、不調ループの中で落ち込んでいる人がいたら、言ってあげたい。

あなたは一人じゃない。

あなたには不調ループにはまる前の元気なあなたがいて、そのときのなんでもない排水溝の掃除とか、なんでもない絵本の読み聞かせとかが、ちゃんと積み重なってるから大丈夫。

不調がしばらく続いても、家は朽ち果てないし、子どもはグレない。ドラマは見逃し配信があるし、生協は来週もちゃんとやってくる。

人生は、続いていくから挽回できる。

関連書籍

清繭子『夢みるかかとにご飯つぶ』

母になっても、四十になっても、 まだ「何者か」になりたいんだ 私に期待していたいんだ 二児の母、会社をやめ、小説家を目指す。無謀かつ明るい生活。 「好書好日」(朝日新聞ブックサイト)の連載、「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」が話題のライターが、エッセイストになるまでのお話。

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夢みるかかとにご飯つぶ

好書好日連載「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」が話題の清繭子さん、初エッセイ『夢みるかかとにご飯つぶ』刊行記念の特設ページです。

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清繭子

エッセイスト。1982年生まれ、大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒。

出版社で雑誌、まんが、絵本等の編集に携わったのち、小説家を目指して、フリーのエディター、ライターに。ブックサイト「好書好日」にて、「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。連載のスピンオフとして綴っていたnoteの記事「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」が話題に。本作「夢みるかかとにご飯つぶ」でエッセイストデビュー。

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