1. Home
  2. 生き方
  3. あぁ、だから一人はいやなんだ。
  4. 第232回 還暦合宿

2024年7月22日。ウッチャン、還暦。

先日オンエアの「世界の果てまでイッテQ!」。『夏の一芸大合宿IN山梨県』と題して、内村さんを含むメンバー20人で5日間の合宿ロケをしてまいりました。

課題は20人で行うピアノリレー連弾“運動会メドレー”の習得。両手弾き、片手弾き混ざって最大5人が一台のピアノの前に横並びとなる。自分のパートが弾き終わったら素早く次の人と交代。特に女芸人、という事になりますが、大き目サイズが揃っておりますので、そもそも横並びもキツイし、交代なんて絶望的。前の人の肉の間をぬって身体、または手だけ入ってゆく。アメフトさながら。

 

広い会場に何台も並べられたキーボードたち。女芸人一芸合宿は何度もやっていますが、周りを見渡すといつもと違う風景。大輔さん、中岡氏、みやぞん、イモト、ガールズ3人、そして、内村さん。それぞれがそれぞれの色のジャージを着て、散らばって練習をしている。もうそれだけで顔が笑っちゃう。自分の練習がひと段落した時、お一人で黙々と練習している内村さんに気づく。背中を丸めて弾いているそのお姿は、まるでスヌーピーに出てくるシュローダーのよう。ふふ。事務所の後輩のわたくしが“ちょっかい隊長”として内村さんのもとへ。「あ!(弾いている部分が)知ってるとこだ! かけっこがワクワクするとこだ。すごいとこもらってんじゃん!」ズカズカ。「ウッチャンのお祝いだから頑張らないと。」するとウッチャン。「じゃあ俺弾かねえよ。自分のお祝いで何で弾かな……」その言葉を遮って「ウッチャンのお祝いなんだから。一番花持たせてもらってんだから」と言いながら肩と腕をモミモミ。なんと楽しき時間。後日、スタジオで大輔さんが「あさこ見てたら、いろんなテーブル周って『大丈夫よーがんばってー』って。何なんあれ?」ムーさんいわく“徘徊”だそうです。あはは、たしかに。

練習以外もいろいろ。まず大輔さんの“祭り”でスイカ早食い競争。3チームに分かれてリレー方式。この時、なんか不思議な感覚がありました。“祭り”はシャッフル企画で一度やった事はあるんですが、何て言うんだろう。「わあ、テレビで観てるアレだ」的な。やっぱり大輔さんがいらして、みんなもいて。いつものようで、ちゃんといつもじゃなく。どこか不思議な。うまく説明できないけどそんな気持ち。みんな、それぞれのスピードでスイカにかぶりつき、種が飲み込めない人やキラキラ寸前の人などいろいろいて笑っている。贅沢です、ホント。

そして標高2531mの蓼科山登山も。誕生日前日21日の午後から登り始めて、山小屋で一泊。22日のご来光を山頂で拝もう、というもの。まあもちろん? いろいろありました。お菓子食べ過ぎて気持ち悪くなり、最終的には泣き出す大島ちゃんにムーさんが「みんなさ、大島さんの体に気を遣ってお菓子やめとけって言ってるのにお菓子食べてさ。気持ち悪くなってさ。9個も上のあちゃこがさ、荷物持ってあげようかって」と大島ちゃんを怒る。その様子もなんともめっちゃ面白く、こうやって20年以上一緒にいるんだなぁ、なんてしみじみ&ニヤニヤ。キツイところも多々あってフラフラしながら夕方蓼科山荘に到着。カレーと豚汁が用意されていて。生ビールなんかもいただいちゃって。ああ、やっぱり山、最高。夜20時にはサプライズで仕事終わりの出川さんも合流。「チェンの還暦の誕生日に俺がいないはないでしょう!」とスタッフさんと共にお一人で登山。夜の登山なんてしんどかったでしょうに。素敵。

7月22日午前3時集合。内村さんのお誕生日当日です。ハッピーバースディ大合唱からスタート。かなりガスってるけど、信じて山頂目指して出発。やはり頂上に向かう道はキツイ。大小さまざまな岩で足元ガタガタ。みんな喋らずしっかりと足元を見ながら歩を進める。1時間くらいかかったかな。山頂に着いた時、周りが何にも見えないほど霧で真っ白。全員で日の出を待った。4時42分日の出。霧が晴れる気配は一切なし。風もかなり強く、ものすごい勢いで雲が流れていく。すると突然ご来光チャンス! 一瞬雲の切れ目が出来て、青空が。「うぉーーーー!」と大歓声。が、あっという間に雲に覆われ、暗くなり「あーあ」と落胆の声。しばらくこれの繰り返し。その後またずっと霧の状態に。スタッフさんが「1曲みんなで歌いますか」と、美空ひばりさんの『川の流れのように』の歌詞カードが配られた。歌詞、いいんですよねぇ。元々大好きな1曲なのですが、歌詞見ながら内村さんの人生考えていたら、まさかの歌う前に泣けてきて。ウッチャンすげぇ、って。「引退しないから!」と内村さん。ですね。

その後も太陽は出てこず。すぐ近くにある延命長寿で有名な山頂蓼科神社へ移動。内村さんだけ鳥居の前へ。すると奇跡が。内村さんがお参りすべく帽子を脱いだとたんに、まさかの太陽が雲の隙間から急に顔を出したんです。出川さんいわく「世が世ならチェン教が始まる」と。でも本当にそのくらいのものすごい奇跡。気づいたらみんなで肩組んで泣きながら岩の上で飛び跳ねていた。本当に一生忘れられない瞬間。

宴会は、それこそお祝いされるべき内村さんもまさかの参戦。ヘルメットおじさんブラックでロケの文句を散々言った後にテイラースウィフト「ShakeItOff」で踊る、という。面白すぎる。めちゃくちゃ笑った。その後、外へ。夜空を見上げると500機のドローンが織りなすドローンショーが。地球(世界)、「イッテQ!」の文字、遠泳部・大車輪・バック転など今までの内村さんの功績などなど次々に描かれていく。内村さんがボソッと「史上最高のバースデー」と。それ聞いて、また涙。

一度仕事で合宿を抜ける朝、一人で朝ごはんを食べていると内村さんも「起きちゃった」と食堂にいらして。2人でゆっくりお喋りしながら食べたのもいい時間だった。本当にいろいろあって大変でしたが、もうずっと感動だったな。大事な先輩・内村さんの還暦を迎える瞬間、仲間の皆々様と一緒に迎えられたこと。こんなに幸せで贅沢な事があるだろうか。スタジオで20人でやったVTRいく時の「イッテQ!」のコールも震えた。そこに自分がいる奇跡。ああ、内村さん。還暦、本当におめでとうございます。60代もますます素晴らしき時間となりますように。

【本日の乾杯】やたらと豆腐が食べたい時期がある。今だ。絹ごしと木綿、そのタイミングはいろいろだが、今は木綿。しっかりした豆腐に梅風味のなめ茸をたっぷりのせて。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

{ この記事をシェアする }

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP