
ドキュメンタリーを「聴いて」いたら、あることに気がついた
忙しくて気が立っている時は、同じように気が立っている人を見ると安心する節がある。だからそういう時は、ドキュメンタリーに限る。もちろん演出は入っているんだろうけど、物語よりも生々しい掛け合いで行われる口喧嘩や意見のぶつかり合いは、とても心が落ち着く。焦燥感を感じているのは自分だけではないんだと思えるから。映像は見ないで、音だけイヤホンで聴きながら、家から現場へ、現場から現場へ移動し続ける一ヶ月だった。沢山の話し合いを耳から摂取する中で、最も印象に残っている言葉。それは「結論」だ。今、結論がアツい。

ありとあらゆる動画に出てきた単語「結論」。私にとってはあまり口馴染みのない言葉だ。「結論」という言葉を使った記憶として鮮明なのは、国語の授業の時。説明文を読み解く授業で「結論」とノートに書いた記憶がある。この連載の中でも時々使っているかもしれない。でもそれは「書き言葉」の話だ。口に出して「結論」と言うこと、まぁない。自分の人生にたぶんほぼなかった。「片腹痛い」くらい言ったことがない。みんなもあんまりないよね?「片腹痛い」って言ったこと。だけどもしかして「結論」は言ったことあるんじゃないですか? なんせ今、結論はアツいのだ。
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キリ番踏んだら私のターン

相手にとって都合よく「大人」にされたり「子供」にされたりする、平成生まれでビミョーなお年頃のリアルを描くエッセイ。「ゆとり世代扱いづらい」って思っている年上世代も、「おばさん何言ってんの?」って世代も、刮目して読んでくれ!
※「キリ番」とは「キリのいい番号」のこと。ホームページの訪問者数をカウントする数が「1000」や「2222」など、キリのいい数字になった人はなにかコメントをするなどリアクションをしなければならないことが多かった(ex.「キリ番踏み逃げ禁止」)。いにしえのインターネット儀式が2000年くらいにはあったのである。
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