2024年10月3日　お墓参り辛酸なめ子

京都に行く用事があるたびに、祖父母のお墓参り……という思いがよぎるのですが、時間に余裕がなかったりして何年も行けていませんでした。
　
先日、GUCCI COSMOS展(京都市京セラ美術館)に伺えることになって、せっかくなので早めに京都入りしてお墓参りの時間を作ろうと思いました。
　
比叡山延暦寺大霊園はもよりの堅田駅から車で行く距離感です。京都で湖西線に乗るのですが、同じホームに草津行きなど別方面の電車も来るので、初心者には難易度が高いです。なんとか合っている電車に乗って、駅に到着。霊園のバスは少ないので、タクシーに乗るしかありません。行きの道で3000円以上になり、これは往復はかなりの額になりそうという予感が。そんなとき、おこづかいをくれた優しい祖母の顔が浮かんできました。あのおこづかいは、将来的にお墓参りのための交通費だったのかも、と思えました。祖父母は、今思うとかなり良い年金額を受け取っていたようですが、自分が高齢者になったときは、何十分の一になっていそうです。
　
また帰りのタクシーを呼ぶとなると迎車代がかかるので、お墓の横でタクシーに待っていてもらうことに。すごく広大な墓地で、しかもトラップ的に祖父母が墓石に戒名を刻んでいたので、一見してどれが祖父母のお墓かわかりません。でも、祖父母の霊が導いてくれていたのか、比較的スピーディに発見できました。手を合わせ、もう生まれ変わっているかもしれませんが、ゆっくり休んでください、とお祈りしました。

　
「お墓参りするとスーッとするでしょう」とタクシー運転手さん。眺めの良い高台のお墓なので、そこまでマイナスの気は感じません。そして話を聞くと、実際の延暦寺はここから遠くて、別の山に鎮座しているそうでした。また、てっきり京都にいると思ったら、ここは滋賀県のようでした。混んでいる京都と比べてゆったりした空気が流れていました。
　
運転手さんは昨今の京都のオーバーツーリズムぶりを嘆いていました。とくに清水寺がすごい人だとか、駐車場に入りきらない車で大渋滞しているとか、インバウンドの人が舞妓さんを追いかけ回しているとか……。滋賀県をすすめられ、滋賀県のマップをいただきました。琵琶湖を眺める旅もよさそうです。また、滋賀は内陸なので津波などが来ないとのことで、もしかしたら日本で安全な場所の一つなのかもしれません。タクシー代は8000円弱におさまりました。お墓参りすると開運する、という説もありますが、今のところその兆しはないようです。
　
京都に戻って下鴨神社や河合神社、平安神宮などにお参りしながら、おみくじを引きましたが、だいたい小吉や半吉で、読むとかなり厳しいことが書かれていました。「学業　仕事　成果あやうし　全力を尽くせ」「待ち人　来たらず。音信もなし」「病気　重し、信心せよ」など。「自分の不遜傲慢さが廻り廻って還ってくる」という戒めの言葉もあり、旅先でのテンションが沈静化しました。