誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽をモチーフに、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに言葉を綴っていただきます。
何にイライラしているのか、君は口を開けば不平不満か拘りを盾にした言葉の暴力ばかり
地球温暖化や酷暑の体感度だけが上昇した夏、エアコンの設定温度を下げるほどに、僕の心と体の距離が剥離してゆく
高齢化社会そしてミッドライフクライシス、心の体温が下がるような事柄ばかりが目に入ってしまう
人間てこんなに長く人生のピークを過ごすように設定されていたのだろうか?
20世紀中期に活躍していた偉人の全盛期なんて、5年から長くて10年くらい
大衆に印象づけたイメージや成功を運用して、あとは余生を生きられたはずなのに
死んだゾンビを何度も何度も生き返らせて、進化するテクノロジーは墓を掘るだけでは飽き足らない
伝説も繰り返し上塗りを続けたら、神々しさを失ってしまう
君はハロウィンで混雑する渋谷には今夜行きたくないと、また僕に向かってネガティヴな言葉を吐き出すけど、正直なだけで無理はない
明日の朝にはゴミだけが転がっていて、あとは僅かに運命みたいなものの種から何か芽吹くのか?
数日前には痺れるほどのスーパームーンに殺気だったり、天からのガイダンスを手にしたり、感情も天候に同調して疲れ気味だったから、もう二度とこの世界を泳ぎたくないなんて、僕もThreadsに呟いた
もう少し平穏な対話を心がけて、心の目を優しく見つめていたい
君と僕は世界の濁流に飲み込まれて、知らず知らずのうちに二人の秘密の楽園から遠い場所に
そんな想像を口にする君のメガネを外して、何も視界には映らないようにするから
二人が好きな音が鳴る方にだけ、ゆっくりと焦らずに歩いてゆこう
先ずは僕がハロウィンの仮装みたいな化粧をおとして、二人で買った白いシャツに着替えることから始めて……
Chappie『NEW CHAPPIE』(1999年、Sony Music Entertainment(Japan)Inc.)収録
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渋谷で君を待つ間に
誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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- 純真無垢なあの感触を抱けることを想像して...
- ゾンビを何度も生き返らせて - Chap...
- 心だけは処女航海のイメージで - Suc...
- それでも新しく生まれ変わるのならば - ...
- 僕はイニシャルの導きだけを頼りに - M...
- 目も眩みそうな優しさに魅了されて - H...
- 都会でしか生きられないと思い込んでいた僕...
- 車窓から眺める朝焼けは東京を美しく照らし...
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