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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2024.10.30 公開 ポスト

第234回 同級生とキャンプやら伊代ちゃんやら<前編>いとうあさこ

同級生。このコラムでも何度も出てきておりますが、私は小中高一貫校だった為、12年間、中学から入ってきた子とは6年間、一緒に過ごした。ただ卒業後、私は家出をしたのでもうみんなと会えないかも、と思っていた。当時は携帯もなかったので、もし友達に電話をするとしたら、おうちにかけるわけで。

 

そうすると、親御さんが出る→私の実家に連絡がいく→みつかる、そんな事を想像したりして電話するのもためらってしまった。ちょっと時間はかかってしまいましたが、まず親友の“くわちゃん”と連絡をとり、そこから本当に少しずつ、近しい人たちとだけですが、再び会うようになった。ただその頃は殿方の借金を返したりなんだりでお金もなかったですし、バイトも朝から晩までだったので時間もなく。ちょうど第一次結婚ラッシュでしたが、式も出席出来ず。それは今でも悔しく思っている。

その後27歳でお笑いの世界に入った私。30代はお笑いの仕事もなく、バイトとライブ出演に明け暮れる日々。深夜バイトだったものでお給料はまあまあ。と言っても1ヶ月の生活ギリギリちょい、くらいでしたが。本当に少しは、程度ですが遊びにいけるぞ、となった時、友人たちはちょうど絶賛子育て中、みたいな人も多く。だから結局なかなか会えず。

それが、ここ10年くらいかなぁ。やっとタイミングが合ってきたんですよね。同級生とプライベートで会う機会もちょいちょい増えてきまして。こないだも書きましたが、山田ジャパンの公演も誰かが誰かを呼んで観に来てくれるもんだから、下手したら卒業以来、みたいな人も含め、たくさんの同級生に会えるように。そんな時、必ず言うのが「変わってないねぇ。」そりゃお化粧していたり、髪型やら服装やら、あの頃から何十年と経っているわけですから、もちろん変化はありますよ。性格だって生活だって、みんなそれぞれいろいろあって、いろいろ変わっていて当たり前なんですけどね。なんか“変わってない”と感じてしまうのは何でしょうね。皆からも「あーちゃん変わらないね」って言われて。それこそ学生時代より20キロくらい太っておりますから、私。性格や雰囲気も、だいぶ変わったと思うんですけどね。昔はもう少しは女の子らしかった気が。声ももっと澄んでいたし。ええ。何か感覚なんですかね。お互いに“変わってない”と心から思っちゃうんだから面白いもんです。

そんな同級生と先日、2連発でおでかけしてまいりました。1発目は“おか”。何度かコラムに出てきておりますが、中高時代、私はBALLOONというフォークデュオを組んでおりまして。そのデュオの相方がこの“おか”。チャゲ&飛鳥「万里の河」やグレープ「蝉時雨」など渋めの選曲で文化祭にて披露したりしておりました。そんな“おか”とキャンプへ。彼女とキャンプ行くのは3回目。あ、今年もまたわたくしのキャンプの季節がやってまいりました。ただホント冬しか行かないものですから、毎シーズン1回目の“久々キャンプ”ではいろいろ忘れちゃっているもので。毎回テントを建てる時、まあまあ大変なので真冬でも汗びっしょりになってしまう。今回はまだそこまで寒くない分、真冬よりももっと汗かくはず。そこは気づけたのよ、私も。だからちゃんと半袖のTシャツに羽織を一枚。あと夜用のヒートテック的なものなどの防寒具はリュックに入れる、という完璧さ。なのに「どうして?」なのですが、下半身、完全に間違えたんです。キャンプに“いつも”履いていくズボンと靴がありまして。ズボンは裏起毛&ヒートテックで、靴も真冬に裸足でも爪先が汗かくくらい優れているワークマンのスリッポン。それをびっくりするほど何も思わず、“キャンプ”ってだけで履いてっちゃったんですよね。もう一度書きますが、本当に「どうして?」なんでしょうかね。まあ“いつもの”って事で履くとこまでは許しましょう。でもね、履いた時に「あ、暑い」ってなぜ感じなかったのでしょうか? 当然、そりゃそうなんですが、キャンプ場に向かう車の中で、すでに汗ビショに。下半身あっためるとホントに全身暑くなるのね、とやった事のない半身浴の凄さを勝手に体感したりして。

今回のキャンプは西湖へ。富士五湖の1つ。富士山は見えないのですが、湖が凪でとにかく美しく、しかもお天気悪いでお馴染み“あさこキャンプ”がまさかのよいお天気。と言っても晴れではなく曇り。ですが、言っても“明るい”曇り。だって週間天気予報だと、この日だけ雨マークがついていたんですよ。それが数日前から曇り予報に変わりまして。しかも翌朝は晴れ、とまでなりましたから。十二分によいお天気です。

キャンプ場に到着したらテントを建てる前に、椅子と机だけ出しまして。一番近いコンビニで買ったコロッケでまず乾杯。いつものスタイル。ああ、至福の時とはこの事だわ。しかも今回はこれだけじゃないんです。最近ウチの近所のスーパーでラム肉がいろいろ売っていて。ずっと気になっていたタレに付け込んであるジンギスカン&もやしを購入して持っていきました。焚火の準備もまだなので、カセットコンロにフライパンをセットしてジューッ。ラム大好きなのですが、やはり家で焼くとどうしてもにおいが残りがちなもので、次キャンプ行ったらやろうとずっと狙っていたのです。平日だったのもあってか、他に数組しかいなかったので、本当にのんびり気分。目の前に広がる美しい湖を見ながら、BGMは鳥や風など自然の音と、時折聞こえる人の声。で、ここが同級生のいいところ。もちろんそんなしょっちゅう会えるわけではないから積もる話もありつつ、黙ってぼんやりしていても気にならないというか。要は居心地がいいんですよね。フライパンから直接、アツアツのジンギスカンをお箸でつまんではビールをグビリ。いと美味し。

同級生との話だからかいつも以上にのんべんだらりと話しちゃっていますね。この続きと“伊代ちゃん”のお話はまた次回お付き合いいただければ。

 

【本日の乾杯】あん肝。大久保さんと行く近所のお寿司屋さん。これきたら、もう冬でしょう。季節をおつまみで感じるオンナです。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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