20年以上、毎日300~500歩程度しか歩いていなかった超絶インドアだらしな生活だったのに、突然フッ軽オタ道を走り出したこの数年。もう「いつかそのうち」なんて言ってられん! 見たいものは見ておきたい! 寄る年波を乗り越えて、進め! ヨタヨタオタヲタ見聞録。
唐突に布施明!
突然ではありますが、布施明のコンサートに行ってきました。
「AKIRA FUSE 60th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2024-2025」。
数年前から、もうこれからは、見たい、行きたいと思っているものは積極的に見に行こう! という気持ちが自分のなかで膨らみはじめ、ちょこちょこ出かけてはいたものの、行く先々で(そうか。やはり良席というものはFC会員優先で用意されるのだな)という現実を目の当たりにし、しかし「ちょっと見てみたい」程度の熱量でFCに入りまくれるわけもなく、花占いモードになったりもしていたのです。
行く、行かない、行く、行かない、行く、行かない。
概ね、迷った末に「行かない」となるのはライブでも舞台でも、容姿含めて出演者の姿を「生で見てみたい」気持ちが強いとき。
「見たい」が勝のに2階の後列だと、やはりちょっとしょんぼりしちゃうから。裸眼視力0.1ないし。
でも! 歌ウマ人ならば! 別に席なんてどこでもいい!(そりゃもちろん近ければ嬉しいですけどね、えぇ)
というわけで、夏頃、生協のチラシで見つけた布施明のコンサートに申し込んでみたのでした。
なぜ布施明? といえば、大昔に何かのミュージカルを観に行ったとき、ひとり群を抜いて歌が上手い演者さんがいて、それが布施さんだったのです。
何この人! すごい上手い! っていうか、ひとりだけこんな声量あるってどういうこと? と演目も覚えていないのにその衝撃は忘れられず、以来、歌番組で見かけるたびに、やっぱり上手いわぁ、楽しそうに歌われるのねぇ、ほんとに体が楽器みたいねぇ、などと密かに感嘆していたのでした。
あの歌声を浴びてみたい!
その気持ちが通じたのでしょう。無事抽選に当選し、単身乗り込んだのは練馬文化センター大ホール。
見渡してみたところ、今まで行ったコンサートのなかでも観客の平均年齢はいちばん高そうなのに、「お足元が悪い」あいにくの雨でも1300超えの座席は2階後列までぎっしり。自席は2階3列のセンターブロックでした。
早めに着いたところで話し相手もいないので、ぎりぎりに入場したこともあって、ほどなく開演。
そうだろうなーと思っていたとおり、誰も立ちません。2階だから、ではなく1階席も。私をヲタ道に走らせた旧ジャニーズのライブでは、概ね、座って公演を観たい人は「着席ブロック」通称着ブロを申し込む、というシステムなのですが、布施コンは何も記されていないのに全席着ブロ。素敵。
もしかして人生初、生ブラボーかもしれない体験
ホールコンサートなので、セットなどはシンプルだけど、当然のように6人編成の生バンドで、幕が開いてスポットライトに照らされた明(もちろん明なんて呼んだことはない)が登場すると、キャー! という声援もあちこちから上がり、(人はいくつになってもキャー! って言うのね)(っていうか、もうスター! 立ってるだけでスター!)(キャー! が相応しい感じ!)と早くも高まる。
でも、歌われている曲は知らない。聴いたことがない。っていうか、正直、明(言いたい)の曲で私が知っているのは「君は薔薇より美しい」と「シクラメンのかほり」と「積み木の部屋」くらい。
なのに、その本日最大の楽しみであったといっても過言ではない「君は薔薇より美しい」が、4曲目に歌われてしまうという予想外の展開に(予想するほどの知識もないんですけど)。
陽気で明るいメロディライン。歌詞を表現するような手振り(翼ひろげてるぅ~!)。昭和の大ヒット曲を後期高齢者(なんと今年の12月には77歳!)になっても歌いこなす圧倒的な歌唱力!
なんというか、多幸感がすごい。
曲終わりには、大拍手とともに「ブラボー!」の声があがり、え? 日本人の歌手が日本語の曲を歌ってもブラボーってありなんだ!? と驚きつつも、そりゃこりゃブラボー! ですよね! と納得してしまう。
その後、「シクラメンのかほり」も早々に歌われ、後は知らない曲ばかりが続いたのに、まったく飽きない。曲とか詩がどうという以前に、もう「声」が気持ちいいんだな、と理解しました。
近くの席のおばさま方は概ねover70の、おそらく私と同様に生協や会場販売経由(文化ホールや市民会館って会場の「友の会」的な会員システムがありがちで、公演チケットの優先予約や割引などの特典が)で、ちょっと近くに布施明が来るっていうから観に来たのよ~ってなノリの、たぶん私とどっこい程度の明知識と見受けられたのに、そうした一見(初めて見るわーという声があちこちから聞こえたので)の観客を前のめりにし、頭の上で拍手をさせるほどの「生歌」パワーで、あっという間の1時間半。
後半、前列のお姉さま方が、どんどん前のめりになるので、どんどん私の視界から明が消えていったのですが(座席の背から背中を離すと後ろの視界が遮られる@観劇マナー)、それすらも(いい。別にいい。私は見なくても明を感じられればいいわ~)というよくわからない善人の心で受け止められました。汚れた魂も明に浄化されたのかも。
さらに、アンコールで日本語詞の「MY WAY」が歌われたときには、両隣のお姉さまが、そっと眼鏡をはずし、ハンカチで目尻をおさえ、会場中が「感無量」の空気に包まれていることを肌で感じるという、初めての経験も。
世代的に自分の心のままに生きることは難しかったであろうお姉さま方が、歌を愛し心の決めた道を進むと歌う明に涙する。いうても、そんなに熱心なファンでもない観客の心までも揺さぶる。そして再びあがる、今日イチの歓声と「ブラボー!」。
いや凄かった。歌うために努力して保たれているであろう体型も、ちょっと茶目っ気のあるMC(唐突なきみまろ味とか)も、会場をキラキラした幸福な空気で満たしてしまうスター性も素晴らしかった。
「いいもの見せてもらったわねー」「良かったわー。やっぱり歌上手いのねー」「素敵だったー」といった、ものすごく普通の感想を幸せそうに語り合いながら帰路につくお姉さま方の顔がみなさんニコニコで、本当にブラボーでした。
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