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夢みるかかとにご飯つぶ

2024.11.03 公開 ポスト

【夢ごは日誌】私、ちゃんとやってた。清繭子

夢みるかかとにご飯つぶ』でエッセイストデビューした清繭子の、どちらかといえば〈ご飯つぶ〉寄りな日々。

私、ちゃんとやってた。

退院後、すぐバリバリ働けると思ったけれど、甘かった。結局、また出血や腹痛が起こって、退院後も何度も病院のお世話になる羽目になった。

体調がぐずぐずになったことで、自信がなくなって、とてもやりたかった仕事を泣く泣くひとつ断った。「もう私、このままダメになっちゃうのかもしれない……」そんな風にメンタルも悪い方向へ落ちて行った。

仕事先の人はみんな優しく、「とにかく今は体を休めて」と労わってくださった。

今朝起きたら、体と心が嵐から抜け出した感じがした。

あ、今日は仕事できる気がする。

この冬、「夢みるかかとにご飯つぶ」がオーディオブック化することになり、その録音を一日かけてチェックする。私の書いた本が、私ではないプロのナレーターの方の声で読まれていく。これまで自分の中にだけあった言葉が、こうやって、それぞれの読者の頭の中でそれぞれの読者が思う声で再生されていたんだ……と思ったら、幸せすぎて泣きそうになった。

発売後、どうにもこうにも恥ずかしくて、読み返していなかった。あらためて丸ごと一冊分読み聞かせしてもらったら、「も、ものすごい良い本じゃないかっ!」と思った。

今まで、宣伝するのも、「すみません、ちょっとこんなの出したので、もしよかったら読んでみてください……」と恐る恐るだったのだけど、「ちょっと待って! みんな、この本絶対読んだ方がいいよ! めっちゃ元気出るよ!」って思った(笑)。もっと宣伝頑張ろうって思った。オーディオブック、めっちゃ沁みるのでお楽しみに。

自分をダメだと思った時、助けてくれるのは、過去の自分。やれてない、と思ってたけれど、私はちゃんとやれていた。

関連書籍

清繭子『夢みるかかとにご飯つぶ』

母になっても、四十になっても、 まだ「何者か」になりたいんだ 私に期待していたいんだ 二児の母、会社をやめ、小説家を目指す。無謀かつ明るい生活。 「好書好日」(朝日新聞ブックサイト)の連載、「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」が話題のライターが、エッセイストになるまでのお話。

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夢みるかかとにご飯つぶ

好書好日連載「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」が話題の清繭子さん、初エッセイ『夢みるかかとにご飯つぶ』刊行記念の特設ページです。

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清繭子

エッセイスト。1982年生まれ、大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒。

出版社で雑誌、まんが、絵本等の編集に携わったのち、小説家を目指して、フリーのエディター、ライターに。ブックサイト「好書好日」にて、「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。連載のスピンオフとして綴っていたnoteの記事「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」が話題に。本作「夢みるかかとにご飯つぶ」でエッセイストデビュー。

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