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山野海の渡世日記

2024.11.25 公開 ポスト

階段効果、恐るべし!山野海(女優、劇作家、脚本家)

今年も11月の後半。

誰しもが言っていることではあるが、まあ時が過ぎていくのが早いこと早いこと。

気づけば私も59歳。来年は還暦。年女である。

そろそろ老後に向けて体力作りをしていかなければならないお年頃。

 

だが私は子供の頃から運動が大嫌い! 身体を動かすなんてもってのほか!

だって汗かいちゃうじゃん!(無類の汗っかき)

とにかく身体を動かすのが嫌いすぎて、電車ギリギリに駆け込むとか絶対に嫌だから

出かける時は必ず時間に余裕を持って家を出る。

信号が赤になりかけてたって走らない。次の青まで待つ。ひたすら待つ。

駅のホームで階段が目の前にあっても登らない。エレベーターがあるところまで、どんなに遠くたって歩いていく。そのくらい徹底した運動嫌い。

でも死ぬまで俳優であり続けると決めているんだから、本当はもっと積極的に身体を鍛えたほうがいいに決まっている。

今まで怪我もなく俳優業をやってこられた事が奇跡に近いのだ。

強い身体に産んでくれた親に感謝はしている。

分かっている。感謝だけではダメなんだ。自分で努力しなくては。

だから私は、清水の舞台から飛び降りるつもりで

50歳の時にフィットネスクラブに入会した。

意気揚々と運動用の服を買った。なんならプールにも入ろうと水着も買った。

形から入る事だって時には必要だ。

それで終わり。

結局一回しか行ってないフィットネスクラブの会費を1年間払い続け

ある日突然、なぜこんなバカらしいお金を払っているんだと気づき退会。

これ、おそらくこの10年で3回はやっている。

当たり前だが体力は一ミリだってつかなかった。

 

話は変わるが、私は今年の6月にまた引っ越しをした。

(前に何度かこのエッセイで書いたが、諸事情がありこの3年で4回の引っ越しを経験)

これまた毎度お馴染みであるが、我が家には犬二匹と猫一匹がいる。

当然犬は毎日の散歩が必要だ。我が家の犬は13歳と12歳の老犬だが

ありがたい事にむちゃくちゃ健康で、一回の散歩で30分ほど歩く。しかも早足で。

さすがの運動嫌いの私でも犬の散歩だけは必ずいく。これは慣れたものだ。

ここからが今回の本題。

新しく引っ越したマンションはとても古くエレベーターがない。

しかも我が家は4階。

今までは犬の散歩の30分だけが、私の運動だったのに毎日二匹で約7キロの犬を抱き

階段をえっちらおっちら4階まで登り降りしている。

もちろん登り降りするのは犬の散歩の時だけではない。

仕事に行くのだって買い物行くのだって、ベロベロに酔って帰ってきた時だって4階分の階段が待っている。容赦なく待っている。

「心臓が口から飛び出る」と言うのを毎日体現している。

 

ここで一つ、そんなに運動が嫌いなら、なぜエレベーターのあるマンションに引っ越さなかったのかと言う疑問があると思う。

そりゃあ私だって、エレベーター付きのマンションが良かったさ。

だけど今時、犬猫三匹連れて住めて、家賃が安いのは築古マンンションだけなのだ。

そんなこんなの理由で、私はここ半年近く、4階まで階段を登り降りしている。

 

はい。お察しの通り体力つきました。

 

駅の階段も楽に登っております。ちょっとくらいの坂ならハアハア言わなくなりました。

撮影で走っても、足がもつれることもなくなりました。

ここで調子に乗ってフィットネスクラブに再入会するのがいつもの私だが

年齢を重ねて経験値が増えた私はそれをやめ、家で地道にストレッチなどをしている。

身体が軽い。

階段効果、おそるべし!

 

そしてつい先日。

新しいドラマの衣装合わせに向かうためにマネージャーと二人で歩いていた。

現場は駅から遠い場所にあって、いつもの私ならマネージャーに

「バスに乗りたい」だの「タクシーで行こう」などと言っていたところだが

体力のついた私は文句も言わずに歩いていた。

そしたら偶然前からチャンス大城さんが歩いてきて、連ドラ終わって以来の再会を果たした。

これだって歩いていたから会えたのだ。

偶然会えたチャンス大城さんと体力がほんのりついた山野海。

いやあ、体力っていいですね!

と、誰しもが知ってることを改めて実感する59歳でした。

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山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。

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山野海 女優、劇作家、脚本家

1965年生まれ。東京新橋で生まれ育ち、映画女優の祖母の勧めで児童劇団に入り、4歳から子役として活動。19歳で小劇場の世界へ。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家「竹田新」としてふくふくや全作品の脚本を手がける。好評の書き下ろし脚本『最高のおもてなし!』『向こうの果て』は小説としても書籍化(ともに幻冬舎)。

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