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余白をつくる練習

2024.12.26 公開 ポスト

「世界人助けランキング」ワースト2位の日本を変えるのは余白!? ~おせっかいリスクをとろう~永崎裕麻

「世界人助けランキング」ワースト2位の日本。その理由は?

イギリスのチャリティー機関「チャリティーズ・エイド・ファンデーション」が「世界人助け指数(World Giving Index)」というデータを毎年発表しています。
ショッキングなことに、最新版での日本の順位は142カ国中141位とワースト2位です。たまたま最新版の結果が振るわなかったのではありません。最下位になった年もあります。

ちなみに、1位はインドネシア、2位ケニア、3位シンガポール。
140位がカンボジア、141位日本、142位ポーランドという順位です。

このデータの調査項目は以下3つです。
この1ヶ月以内に

  • 見知らぬ人や助けを必要としている人を助けたか
  • チャリティーに寄付をしたか
  • 組織によるボランティア活動に参加したか

他国との比較でもっともスコアが低いのは「見知らぬ人や助けを必要としている人を助けたか」の項目で、総合ランキングと同様、ワースト2位の「24%」です。

なぜ見知らぬ人や助けを必要としている人を助けないのでしょうか?
いちばん多い回答は「助ける機会に出会っていないから」でした。

確かに、日本では発展途上国のように、道端で生活に困窮している人が目立つわけではありません。また、困ったときに遠慮しがちな文化もあり、助けが必要な場面が「表に出にくい」という側面も考えられます。加えて、多くのサービスやシステムが自動化され、直接的な人と人の関わりが少なくなっていて、困った人が近所で誰かに頼る機会が減っていることも一因かもしれません。

とはいえ、日本にも困っている人はたくさんいます。駅の階段で重そうなベビーカーを運んでいる母親や、買い物帰りに大きな荷物を抱えた高齢者、道端で自転車のチェーンが外れて困っている人、段差に悩んでいる車いす利用者、人見知りのため飲み会で孤立している人、飲食店で英語メニューがなく困っているツーリストなど。例をあげればキリがありませんが、日常の中に助けるチャンスは意外と多く存在するのではないでしょうか。

超おせっかいなフィジー人たち

僕が17年間生活をしたフィジー。相互扶助が当たり前の社会で、僕はいろいろと助けられました。思い出すのは、南半球史上最強のサイクロンがフィジーを襲撃した2016年2月20日のこと同日、手術が必要なほど妻の体調が悪化し、設備が整っている病院がある首都まで4時間かけて車で移動。生後11ヶ月の息子を抱えながら、サイクロンが来る方向に向かってです。

当時、語学学校の現地責任者をしていた僕は、約250名の日本人留学生たちが停電や浸水などのサイクロン被害に巻き込まれて、その対応に追われていました。そのうえで育児と看病を一人でこなすのは正直キャパオーバー。ベビーシッターを雇って息子だけは面倒をみてもらおうと思っていました。

ところが、病院に着くと、ベビーシッターを探す必要がないことを思い知ります。
息子は病院関係者たち(看護師や病院食の配膳係、警備員、院内カフェのウェイトレス、他の病室の患者やその家族など)が連れ去っていき(?)、みんなで四六時中、面倒をみてくれたのです。

本当に助かりました。おかげさまで、仕事と看病に集中できました。
別に頼んだわけでもありませんし、期待していたわけでもありません。もちろん彼らの仕事の範疇でもありません。ただただ、困っていそうな見知らぬ日本人の状況を想像して、前のめりに手を差し伸べて助けてくれました。

「助ける機会」というのは想像力次第で作り出せるのではないでしょうか。困っている人の状況を想像する余白(余裕)がないから、「助ける機会」が目の前にあるにもかかわらず、発見できていないだけなのかもしれません。

人を助け、余白感を高める

ウェルビーイングの研究の中で、「人に親切にする」ことが幸せのレシピの1つであることはよく言われます。人のお困りごとに対してアンテナを張り、少しの気遣いや声かけを実践することで、「あぁ、私は自分のことで精一杯なのではなく、周囲に目を配る余裕があるんだな」と認識でき、そこから余白を感じることができます。

「明らかに助けを求めている」場面ではなくても、おせっかいと思われてしまうリスクを取りながら、困っていそうな人を前のめりに助けていく。そんな感覚も必要なのではないでしょうか。
日本は世界でも便利な国かもしれません。だからこそ、地域コミュニティが薄れてつながりレスが進行しています。一人ひとりが身近なところから小さな行動を始め、人助けランキングワースト2位の汚名を返上していきたいですね。

余白があるから人を助けるのではなく、人を助けるから余白を感じられる。
忙しく自分のことばかりになりがちな毎日ですが、少しの人助けが「余白」を生み、心を豊かにしてくれるのではないでしょうか。その「余白」が次の人助けにつながっていってくれたらうれしいです。

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余白をつくる練習

効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。

世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。

バックナンバー

永崎裕麻

100カ国を旅し、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住。「探究ランド」所長、フィジー留学アンバサダー、武蔵野大学「ウェルビーイング学部」非常勤講師。

来年1月22日から開講予定の「余命の学校(残り60日編) 〜Die with Zero〜」は1期生を絶賛募集中。

著書に『世界でいちばん非常識な幸福論』『南の島フィジーの脱力幸福論』

 

 

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