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だらしなオタヲタ見聞録

2024.12.19 公開 ポスト

丁寧!美味しい!ゆったり!都会のオアシス「喫茶二十世紀」藤田香織

喫茶二十世紀は本当に都会のオアシスだった

 

突然ですがみなさん。「喫茶二十世紀」をご存知でしょうか。

私はその界隈に属するグループを推している(遠回しな表現)ので、もちろん知ってはいました。
知ってはいましたが、昨年の2023年11月に20th Century(通称トニセン。もしかするとここから説明が必要な可能性もありますが、そこは個々で検索してください!)がプロデュースした喫茶店がオープンします! と聞いたときは、正直「ほほう」くらいにしか思っていなかった。

ほほう。新たな試みですな。いやもう、いろいろやっていかないと大変ですしね。なるほど、古き良き喫茶店文化の継承。いいね! 喫茶店のナポリタン? いいね! 私は喫茶店ならピザトースト派だけども。

え? 原宿なの? なになに? 表参道から徒歩13分、外苑前から8分、明治神宮前から10分……ってことは原宿からも12分くらい? つまりどこの駅からも実質徒歩15分くらいはかかるってことか。まあ駅近だと賃料もお高いでしょうしねぇ。

にしても。いや、遠くね?
ふらっと行ける距離じゃなくね?
あ、完全予約制なんだ。じゃあ、ふらっと行くわけじゃないからいいのか別に。
んー、でも喫茶店を予約して行くのかー。喫茶店ってふらっと入るものじゃない? なんかこう、ちょっと疲れたね、じゃあお茶してくー? みたいなさ。

てな感じで、「ほほう」のわりにはいろいろ思いつつ、でもまあ、積極的に行きたい! というほどでもありませんでした。だって徒歩15分て。日々400歩前後しか歩いていない身としては遠足ですよそんなん!

が、しかし。
この度、遠路はるばる北海道からやって来たヲタ友の糸ちゃん(仮名。50歳を過ぎて、我々がいかにしてヲタ友になったのか詳細はこちら! 地味なヲタ活に急展開! 行って来ました北海道!!(7月12日~19日)|結局だらしな日記|藤田香織 - 幻冬舎plus)が、「フジター、喫茶二十世紀の予約取れたから行かない?」と、あらゆる物事に腰が重いわたくしを誘ってくれたのです。
行く。行くよ! 行ってみたい気持ちは多少あったのよー。自分から積極的に動いてまでではなかっただけで。行きます。行かせて下さい。ぜひ!

というわけで、11月某日、土曜日の朝11時。店前集合の約束をしたのでした。

パンからして美味しい「さばマヨサンド」

かなりガッツリな「さばサンド」。

そして迎えた当日。
土曜日の原宿は凄かった。そりゃまあ「混んでるでしょうな」とは思っていたけど、その倍くらい人がいた! とりあえず遊びに来ました! 的な若者や家族連れに加えて、何らかの人気物が発売されたりお安くなったりしているらしく、あちこちに人々の列ができている。私はとにかく列に並びたくない族なので、大人しく3列4列に並んでいる若者(ほぼほぼ10代20代だった)たちを横目に、熟考の末選んだ明治神宮駅からひたすら店を目指して歩いたのです。

案の定、15分ほどかかり、予約の5分前に到着すると、糸ちゃんは既に来ていて、何やら店のウエイトレス(って今も言う? 言わないとしたら何が正解? 店のスタッフの方? 店員さん? 20世紀だからウエイトレスでいいか)さんと話をしていた(後からHPを確認したところ、どうやら予約の15分前には到着しているべきだったらしい)。
ほどなく、案内されて1階の入り口から地下へ下りて行く。おぉ! これは確かに昭和レトロな雰囲気あるあるー!

通されたのはカウンターの奥の席。メニューを吟味して、私は「喫茶二十世紀の“コーヒー飲み比べセット”」(¥1350)と、「さばマヨサンド」(¥1400)。糸ちゃんは「秋限定の無花果とシナモンの紅茶」と「喫茶店のナポリタン」(¥1600)にトッピングで温泉たまご(¥150)をオーダー。お値段は明らか二十世紀ではない。でも、メニューによっては食事と飲み物で2千円以内におさめることも可能なので、原宿と青山の現状的には、高すぎるってほどでもない。

提供されるまでの時間で、「店内の写真を撮っていいですか?」と確認し、「お客様が写らないように気を付けて頂ければ大丈夫です」との返事だったので、店内をウロウロしながら撮影。ウエイトレス(もうこれでいく!)さんが、「こちらからですと反射なく撮れますよ」など親切にいろいろ声をかけてくれ、なるほどオタ客慣れしていて素晴らしい、と感動する。

トラジャのアクスタを出していたら、ウエイトレスさんに「可愛いですね!どなたですか?」と丁寧に聞かれました。トラ…まだまだたな!と思いながらも笑顔で「Travis Japan(トラヴィスジャパ〜ン♪)です!」とお伝えしてきました。えぇ全力で!

飲み物と料理が届き、トニセンのグッズがないので、トラジャのアクスタを出して写真を撮るも、店内にはオタクしかいない故に周囲を気にする必要もない。しかもこれがまた、失礼ながら驚いたことにコーヒーも紅茶もさばサンドもナポリタンもきっちり美味しかった! こういうときに(まあ、別にそんなにきっちりしなくても、オタクの方々は喜んで来てくれるでしょうし?)みたいな雰囲気を感じてしまうと、(そりゃ行きますけど、2度目はないな)と思いがちなので、ちゃんと美味しいことに、どんどん嬉しさが増していきました。

総じて。喫茶二十世紀、良かった。

気取ってないけど丁寧で、場所と価格的に落ち着いていて、気を許せる雰囲気のなかでまったりできる。これはまさに都会のオアシス!
ついうっかり原宿あたりに足を踏み込んで、どこもかしこも混みまくりでうんざりしたとき、さくっとHPを確認すれば当日の予約枠が空いてることもある(現に今これ書いてる日の予約は空いてる。平日だけど!)ので、使い方次第で便利な店にも成り得そう。
次回は「あつ焼きフレンチトースト」を食べてみたい!

店内に流れるBGMの手書きプレイリストも。イノッチ(DJ-YOSHI)。絵も選曲も興味深い。

関連書籍

杉江松恋/藤田香織『東海道でしょう!』

かたや体重0.1t、こなた日常歩数400歩。出不精で不健康な書評家2人が、なぜか東海道五十三次を歩くことに。吉原宿では猛烈な暴風雨に全身ずぶ濡れ、舞坂宿の真夏の国道では暑さに意識朦朧、凍える鈴鹿峠で雪に見舞われ、濃霧の箱根峠であわや遭難!? 日本橋~三条大橋までの492kmを1年半かけ全17回で踏破した、汗と笑いと涙の道中記。

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だらしなオタヲタ見聞録

20年以上、毎日300~500歩程度しか歩いていなかった超絶インドアだらしな生活だったのに、突然フッ軽オタ道を走り出したこの数年。もう「いつかそのうち」なんて言ってられん! 見たいものは見ておきたい! 寄る年波を乗り越えて、進め! ヨタヨタオタヲタ見聞録。

以前の連載『結局だらしな日記』はこちら

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藤田香織

1968年三重県生まれ。書評家。著書に『だらしな日記 食事と読書と体脂肪の因果関係を考察する』『やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記』『ホンのお楽しみ』。近著は書評家の杉江松恋氏と1年半かけて東海道を踏破した汗と涙の記録(!?)『東海道でしょう』。

Twitter: @daranekos
Instagram: @dalanekos

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