夫、義母を見送り67歳で一人暮らしが始まったイラストレーターの本田葉子さん。さみしい。心細い。と思いながらも、楽しみな気持ちがいちばん大きかったといいます。暮らしをサイズダウンしながらも心が明るくなる工夫が満載の『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』より、本田さんが実践する手芸の効能。
解決できない悩みが頭に浮かんだら手芸で「無になる時間」に入り込む
そういつも頭を働かせている訳でもないけれど、なに食べようかなとか散歩どこら辺歩こうか……など何かしら考えちゃうね。この先どうなるか! なんて思い悩んだ日には結論など出ない問題にただただ疲れ果ててしまう。先のことを不安がるのはやめよっと♪ と安楽な終止符をバチッと打つ。
こんな時は手芸や工作に逃げるのがいい! 手だけ動かして無になる感じが好きだ。配色や手順は考えるけれど、それはダークな悩みではなくピンク色系の迷いね。あっちとこっちを合わせてみっか? なんて針や糸を触っていると頭皮と頭蓋骨がほぐれてくる気がする。脳みそまであとちょっと。
引っ越しの際に、手持ちの布や毛糸などごっそりと手放してきた。手芸したくなったら、とにかく「あるもので作る!」と決めて気に入っている物だけを選んで持ってきたのだった。それでもプラスティック衣装ケース一箱分も!
端切れたちは、頭を無にするためのお供だ。小布をランダムに繫げるクレイジーキルト、私は端の始末なしにただただ繫げていく。時を選ばずやりたくなったらチクチクッと。気がつくとあれま! こんなに大きくなってたの? とたまに会う親戚の子どものよう。
またコースターのような正方形の布にステッチを入れていくのも無になれる作業だ。刺し子ほど美しい規則性もなしに、こちらもひたすらの運針のみ。もっと小さな布はブローチに。めちゃめちゃな糸の縫い目が愛らしく見えてくるから不思議なものだ。仕舞ってあった夫の指輪を縫い付けてみた。あらいいじゃない? と白Tシャツの胸に。
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続きは、本田葉子『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』をご覧ください。
ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし
2024年9月4日発売『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』について