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衰えません、死ぬまでは。

2025.01.03 公開 ポスト

第22話 苦闘の末につかんだ筋トレ三原則 前半

ついに中性脂肪が大幅に減少した!その理由を、教えましょう宮田珠己

前回で、”1日10分くらいでクリアできる、ハードじゃない数値”を設定し、「サステナブルな筋トレ」を始めたところ、3週間続いたという奇跡が起きた! ※とりあえずの毎月の目標は、腕立て伏せ300回(日平均10回)、プランク2700秒(同90秒)、バックランジ900回(同30回)

その後の宮田さんは、どうなったでしょう…?

*   *   *

体が重いので、健康診断へ行ってきた。

 

ただの重いではなく、朝起き上がるのが新規事業かと思うぐらい重い。何か病気が隠れているのかもしれない。

この歳になると健康診断はタダである。自治体からもらった受診券を持って病院へ行き、血液検査、尿検査、検便、血圧測定、レントゲン、心電図などを行なって、さきほど結果を聞いてきた。

(写真:宮田珠己)

案の定というべきか、大きな病気が見つかったりはしなかった。ついでに行なった風疹の抗体検査でも、ワクチン接種が奨励される数値が6未満のところ、私は23もあって、ワクチンは不要と太鼓判を押されたのである。

つまり体の異常な重さは、ふつうに老化のせいだったということだろう。そんなことじゃないかと思った。

ただ、今回の検査で驚いたことがある。中性脂肪の数値が大幅に改善されていたのだ。2年前の検査では331もあって、これは治療を要する数値と言われたのだが、今回は148と半分以下に減っていた。基準値は149以下ということで、ぎりぎりセーフ。

「ぎりぎりですから正常範囲内と言っても調子に乗らないように」

と医師に釘を刺されたものの、それでも数値が半分以下に改善って、素晴らしいのではないか。

これまで中性脂肪をあまり気にしていなかったが、ずっと過去を遡ってみると、20年前でも190ぐらいあって基準値を超えていた。つまり数十年ぶりに正常化したことになる。

健康になっとるがな。

どういうこと?

謎だ。こんなに体が重いのに。

このことから、老化は数値で測定できないことが判明したとも言えるが、一方で、中性脂肪が大幅に減少した理由はなんだろう。

(写真:宮田珠己)

実は目下、超低ノルマ筋トレが2カ月近く継続できており、その件についてこれから述べようと思っているが、そのせいかというと、それと中性脂肪は関係ない気がする。筋トレはたかだか2カ月のことであり、短期間でこれほどの効果はないだろうから。

とすると散歩だろうか。コロナのパンデミックだった2020年に始めたから、関係あるかもしれないと思ったものの、過去の数値をよく見ると、2021年には183だった数値が2022年に331に増えているから、やっぱり関係なさそうだ。

だとすると、考えられるのは食事ということになる。そう、私は去年から毎朝2枚食べていたバター浸み浸みパンをやめたのである。現在は低糖低カロリーのブルーベリージャムととろけるチーズをのせて食べている。

たぶん、その効果だ。

家族に叱責され愛しのバター浸み浸みパンを食べられなくなった件については、未だ納得がいってないのであるが、絶大なる効果が出てしまって残念である。中性脂肪がそれでも300以上あれば、意味ないじゃんとか言って、バター復活の可能性もあったのに、その夢は潰えた。

何度か書いているが、わが家は息子と娘が筋トレマニアというか、筋トレ狂、否、筋トレ教低カロリー修道会無糖派と化しており、今や献立をひと目見ただけで、おおよそ何カロリーと目算で弾きだしてしまう特殊能力を身につけるに至っている。

しかも息子は母親の料理は手ぬるいとばかりに、毎日低カロリーにこだわった料理を自分で作るようになった。昔から食べることに興味が持てず、ただ目の前に出されたものを食べて生きてきた私は、目の前に出された息子の料理を食べ、図らずも低カロリー修道会の食生活に染まっていった。一気に中性脂肪が減ったのは、禁バター浸み浸みパンと、この低カロリー糖質脂質制限生活のおかげと考えられる。

息子が言うには「ダイエットは運動より食事」とのこと。「運動しても食べたら終わり」だそうだ。「お父さんはべつにダイエットしているつもりはないんだが」と反論すると、「内臓脂肪を落とすのがダイエットじゃなくて何なのか」と論破された。

そうして、知らず知らずダイエット食生活に染まってみて思ったのは、カロリー・脂質・糖質を取り過ぎないようにすると、食生活が大幅に変わってくるということだ。

(写真:宮田珠己)

今まで外食でラーメンでも焼肉でもカレーでも気軽に食べていたが、そんな食事はもってのほかで、ラーメンや焼肉は月1食程度まで、カレーはルーを使わないものに限定。ケーキだめ、ジュース絶対だめ、菓子パン、スナック菓子は論外、フライドポテトなど存在を忘れよ、とのこと。

バター浸み浸みパンのかわりに、ハチミツきな粉パンを食べていたら、きな粉も結構カロリーがあるのでほどほどにと言われる始末。んー、厳しい。

息子はアイスクリームも低カロリーで低糖のものしか食べないというので、試しに自分も食べてみたら、味うっすー! こんなのアイス食べてる気にならんと抗議すると、自分にはこれで十分うまく感じると息子は言うのだった。味うすうすの低糖アイスがうまいと感じられるぐらい濃い味付けを制限すること。それがダイエットというものらしい。

今では私も、これまで見たことすらなかった食品のカロリー表示をチェックするようになった。今日などはパンに塗るジャムで何か目新しいものはないかと店に行き、気になるジャムをチェックしたが、どれも100gで100kcal以上あって買わずに帰ってきたのである。この歳になって、カロリーを考慮するようになるとは。

ハッキリ言って、景色が変わった。

スーパーに行っても、見る棚が半分ぐらいになる。

街を歩いていても、レストランが目に入らなくなる。

もともと食に興味のない私だから耐えられるが、グルメな人は絶対無理だろう。そんな私でさえつらいのが肉で、魚と鳥以外ほとんど食べないので、淡白すぎて物足りない。鳥も主にムネ肉、たまにモモ肉が限度で、焼き鳥で何より好きな鶏皮は却下された。

動物性の脂食べたい!

だが、あるとき、見たのである。

息子が大量のドーナツを買ってきたのを。

(後半に続く)

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衰えません、死ぬまでは。

旅好きで世界中、日本中をてくてく歩いてきた還暦前の中年(もと陸上部!)が、老いを感じ、なんだか悶々。まじめに老化と向き合おうと一念発起。……したものの、自分でやろうと決めた筋トレも、始めてみれば愚痴ばかり。
怠け者作家が、老化にささやかな反抗を続ける日々を綴るエッセイ。

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宮田珠己

旅と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。著書は『ときどき意味もなくずんずん歩く』『ニッポン47都道府県 正直観光案内』『いい感じの石ころを拾いに』『四次元温泉日記』『だいたい四国八十八ヶ所』『のぞく図鑑 穴 気になるコレクション』『明日ロト7が私を救う』『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅』など、ユルくて変な本ばかり多数。東洋奇譚をもとにした初の小説『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』で、新境地を開いた。

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