ニュースから流れる「忘年会シーズン」というワードをなんとなく聞き流していたのですが、気付いたらほとんど忘年会に誘われていませんでした。忘年会という風習は消えつつあるのか、それともただ誘われていないだけなのか……。
10年ほど前、誘われた忘年会に、早く帰りたいと思いながら参加し、誰も見ていない隙に出入り口に行く方法など考えていた、その苦労すら今は懐かしく思えます。去年の記事ですが「企業の『忘年会離れ』が顕著」という記述を見かけました。やはり全体的に減っているのでしょうか……。
唯一、一時間ほど参加させていただいた知人の会社での忘年会は、かなりディープで一回だけでも満たされる感覚がありました。
会場に入るなり、珍スポットを取材している素敵な夫婦が「バリ島の風葬を取材に行く予定で……」と話すのが聞こえました。風葬? 鳥葬は知っていますが……聞いたら、そのまま吹きさらしの状態で葬るそうでした。他の人が「アメリカにも死体牧場と呼ばれる、遺体の変化を観察する施設がありますよ」と補足。「九相図」の再現のようです。知らないことだらけです。
そのご夫婦は、来月はタイに胎盤の風習の取材に行く予定だそうです。その村では、人間が生まれたときにまとっているのは体液や胎盤などなので、胎盤を兄弟として大切に保管する習わしがあるとか。水洗いしてココナッツに詰めて聖なる木に吊るすそうです。自分の兄弟があそこにいる、とか確認するのでしょうか。日本では、とっておくのは臍の緒くらいでよかったたです。
実は日本でも、各地に皇族などの御胞衣(おえな/胎盤)を埋めた塚があるようです。高尾には、最近の皇族の方々の胞衣塚が。徳川家宣の胞衣は根津神社の境内に埋められているなど、どんなご利益があるかわかりませんが、お参りに行くのもおもしろそうです。やはりやんごとなき人々はこういう儀式で守られて無事に過ごせるのでしょう。
「川柳で追体験 江戸時代 女の一生」という本を執筆中に調べたところによると、江戸時代、庶民も吉方位に胞衣を埋め、木を植えて、胞衣を養分として育った木で、大人になったとき嫁入り道具を作る、という風習があったようです。タイの、兄弟の風習と少し似ています。胎盤を養分として育った木で作った家具は一生の友だちのようです。
本にも掲載させていただいたのですが、「もめるはず 胞衣は狩場の絵図のよう」という川柳もあり、これは、江戸時代に産後に胎盤を洗うと、父親の家の紋が浮き出てくるという言い伝えがあって、実際の家紋と違うと揉めることもあったそうです。遺伝子検査とかがないので、こんな方法で自分の子か調べていたんですね。見ようによってはいろいろな柄に見えそうです。菊の御紋が浮き出てきたら嬉しいかもしれません。
水だけ飲んで胎盤トークで盛り上がった忘年会。不思議と癒された時間でした。
次元上昇日記の記事をもっと読む
次元上昇日記
「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。
この連載が電子書籍になりました!『次元上昇日記 ベストセレクション50』
- バックナンバー
-
- 2024年12月26日 忘年会で胎盤トー...
- 2024年12月23日 猫の気配
- 2024年12月18日 中央線セレブ感
- 2024年12月16日 推し石イベント
- 2024年12月12日 別荘の夢と現実
- 2024年12月8日 紅葉の京都
- 2024年12月4日 様々なご利益
- 2024年12月2日 貸金庫対策
- 2025年11月27日 大阪詣
- 2025年11月25日 宇佐神宮のお作法
- 2024年11月21日 太宰府の霊力
- 2024年11月16日 九州の絶景スポッ...
- 2024年11月13日 中野で未知との遭...
- 2024年11月10日 リス霊
- 2024年11月7日 酉の市の縁起
- 2024年11月5日 紙の手帳
- 2024年11月1日 プチ英会話体験
- 2024年10月30日 食の可能性
- 2024年10月26日 星の動きの展望
- 2024年10月23日 脳内マーケティン...
- もっと見る