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次元上昇日記

2025.02.20 公開 ポスト

2025年2月18日 銀座の走馬灯辛酸なめ子

1月にオープンしたばかりの「Ginza Sony Park」。先日立ち寄ったら、コンクリートの吹き抜け空間が解放感がありました。何もない踊り場的なフロアなどあって一等地なのに贅沢です。羊文学やbouncyなどアーティストの世界を体験できる予約制のスペースもあり、若い方々が並んでいました。
地下に「Nibun no Ichi」という1/2サイズの料理を楽しめるレストランもオープンしていました。

 

前に「Surfvote」で「世の中のコース料理のボリュームが多すぎる件についてどう思いますか?」というテーマで意見を募らせていただきました。選択肢をいくつか挙げた中で、一番多かったのは「どうしても食べられなければ残すので、普通のボリュームのコースでもかまわない」が37%。「料金が少し安い設定で、半分の量のコースを作ってほしい」も37%、「同じ料金で、少なめで、とオーダーすれば良い」が11.2%、「大食いの人に食べてもらえれば良い」が3.7%という結果になりました。半分の量は料理人の手間がかかる、という意見や、「あんまり食べ過ぎると糖尿病になるので、料金は安くほどほどで腹八分目医者いらず」「食べられない人はアラカルトを選ぶ」といった意見などがあり、参考になりました。

私の場合、好き嫌いが多くて、肉を食べないなどもあり、さらに量が多すぎるとなると、会食はハードルが高いです。この「Nibun no Ichi」は半分の量ずつ、パスタやオムライスやカツサンド、フムス、オープンサンドなどを選んで、少なめのポーションの一食にできるという画期的なスタイルでした。小食じゃない人にとっては物足りなさそうですが、小食の身にとっては一皿1650円という銀座では手頃な価格で、理想的なレストランでした。オープンキッチンでは半分の量のパスタの形を整えるのに時間をかけていて、たしかに料理人の手間は増えそうです。

「Nibun no Ichi」で食べたエリンギのナポリタンと豆乳と大豆ミートのグラタン。かなりクオリティ高かったです。

「Ginza Sony Park」は、ちょっと前に新しい打ちっぱなしのビルがオープンしたのに、それをすぐ壊してまた建て替えて……と資材が値上がりしているのにもったいない気もします。
調べたらもとのソニービルがオープンしたのは1966年4月。そこから50年以上銀座に存在して銀座のシンボルとして親しまれました。地下のソニプラとか、音が鳴る階段とかなつかしいです。
2018年に旧Ginza Sony Parkがオープン。植物がたくさん植えられていて2021年から約3年間、営業していました。中にあった魚料理のレストランとか、日本茶のカフェとか、おしゃれなコンビニとか、オーガニック系の食料品店とか思い出深いです。そのまま何十年も営業できそうでしたが数年でまた新しいビルに建て替え。 Ginza Sony Parkとして2025年1月にグランドオープンしました。ソニーの財力を感じます。

そして向かいにある「東急プラザ銀座」はオープン10年で香港系ファンドが買収。こちらも一等地なのですが、やはりビル内の動線など難しかったかもしれません。エスカレーターで3階へはアクセスしやすいのですが、地下にはエスカレーター移動の場合は一回出ないとならなかったり難しいです。このビルができたときテンションが上がって勝手にご祝儀とかいってオープン日にバッグを買ったのがなつかしいです。そのバッグもどこかになくなってしまいました。場所は良いのに、店が次々撤退し、今は建物内が公園のような休憩スペースになっています。

栄枯盛衰を感じるフロア。かつてここにはたくさんの商品が……。

駅直結で入れる地下のシティベーカリーやアダムエロペ系の店が入っているフロアはわりとにぎわっています。でも香港系ファンドに買収されたあとはどうなるのでしょう……。館内を巡りながら物欲の思い出が走馬灯のように流れ、形あるものはいつかなくなるのだと寂寥感に襲われました。

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次元上昇日記

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バックナンバー

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

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