
つくづく思う。
自分はなんて運がいいのかと。
先日、会社の同僚たちとフライフィッシングをした。
フライフィッシングとは、虫に見たてた毛ばりを川や湖に投げ込み、魚が食いついた所を引き上げる手法の釣りです。
起源がイギリスにあるというだけで、イギリスラブな僕にとってフライフィッシングをやらない理由はない。もちろん、それだけではなく、純粋に面白いしキャンプとの相性も抜群。

今回は、新潟県の栃尾という地域にあるフィッシングパークに15名ほどでお邪魔した。
渓流の中で釣りができる自然に近い形の釣り堀だった。
三時間ほど釣りを楽しんだ。みなじゃんじゃん釣り上げる。
しかし、自分ひとりだけ一匹も釣り上げられなかった。日が暮れ真っ暗闇の中、ひとり居残ったが、はたして釣れなかった。
初めてフライフィッシングをした時は30名ほどいて、その時も最後まで唯一僕だけが一匹も釣れなかった。
なんて運がいいんだろう。
心の底から魚を釣りたいと思っている。
でも、みんなは釣れているのに、自分だけが釣れていない状況って、オイシイではないか。釣り上げたヤマメを塩焼きにするより、よっぽどオイシイとほくそ笑む自分がいる。
そんなわけで今回も一匹も釣れなかった。
でも、またフライフィッシングをしたいと思っている。それは、再びオイシイポジションを得たいからではない。
また行きたいと思わせるほどの魔力がフライフィッシングにはあるのだ。
高校の部活動で一生懸命野球をしている自分の息子がたとえ三年間で一度も試合に出れなかったとしても、意味のない時間だったねなんて、ぜったいに言わないだろう。
大事なのは結果ではなく夢中になった時間なのだ。
高校球児が土埃舞うグラウンドで素振りをするがごとく、川へキャスティングをする。
高校球児が下校する生徒を横目に坂道ダッシュをするがごとく、藪の中へ突っ込んでいく。
高校球児が汗臭い部室でグローブを磨くがごとく、フライリールを磨き込む。
甲子園に立つという夢の瞬間を目指す高校球児のように、虹色に輝くあの魚を釣り上げるという夢の瞬間を目指すのだ。
僕はこれからも、キャップを深くかぶり、フィールドに入る前に一礼をし、竿を振る。

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