
先日オンエアになりました「世界の果てまでイッテQ!」の『女芸人一芸合宿』。今回は産休明けでバービーも参加出来、久しぶりに12人揃って兵庫へ。大正時代に日本で生まれた楽器、大正琴を習得してまいりました。課題曲はMISIAさんの「アイノカタチ」。♪あのね で始まる、優しくあたたかい、大好きな曲です。
この大正琴、実は密かに興味はありました。と申しますのもこの楽器、形状としましてはギターのヘッドとネック部分を横に置いて、それを音階順に並んでいる、まるでタイプライターのようなボタンを左手で押し、右手に持ったピックで弦をはじく、といったもの。ポイントはこの“タイプライター”。本当に大正時代、タイプライターからヒントを得て出来た楽器だそう。私、タイプライター、めっちゃ好きなんです。まあタイプライターと言うより“ボタン”ですかね。大好きなんです、ボタン。小さい頃は何でもいいからボタンを押す仕事につきたかったくらい。若い方はわからないと思いますが昔、エレベーターガールという職業がありまして。今もたまに残っているのを見かけますが、昔はエレベーターのボタンが丸くて白い、しっかり押すスタイルだったんですよ。あれをずっと押せる、と憧れたのです。あとはレジのお姉さん。これまた今やバーコードをピッ、もしくはセルフになっておりますが、昔の、ちゃんとピッピッとボタンを押してチーン、みたいな。あの頃の、あのレジは押したかった。だから今でも計算する時は携帯のアプリではなく、出来うる限り“押しています”感のあるボタンの電卓を買って使っております。そんな大好きなボタンを押せる楽器、大正琴は、私にとって楽しみでしかありませんでした。
と言いながらも、いつもそうなんですが新しい楽器に挑戦するのはやっぱり大変。毎度言っておりますが、今回が一番大変、ってついつい言っちゃう。その“大変さ”は毎回違いまして。正直、大正琴は“音を出す”に関してはすぐ出来ました。あ、ボタン押してピックで弦をはじけば音が出る、レベルの話ですよ。そこから“いい”音を出す、までは本当に難しかった。例えば音の強弱。弦でその差をちゃんとつけるのは、素人には至難の業。その上、大正琴はアンプにつないで演奏するので、またそこで音が変わる。しかも今回ソプラノ・アルト・ベース・テナーと4パートに分かれたのですが、練習の時はアンプ1個でやっていたので、どこかのパートの音が大きく出ちゃうと他が聞こえない、とか。でも楽器からも直接音が聞こえるので、何をどうしたらバランス良くなるのか、弾いている側から判断がつかず。「じゃあ、小さく弾いてみよう」と小さく弾くと今度は「聞こえない」と。その調整は、本番前日までああでもないこうでもない、と続きました。
あと“トレモロ奏法”。小刻みにピックを動かし、1つの音を連続して鳴らす弾き方のこと。大正琴はパートによって、弦の数だったり、ボタンの位置の幅だったりが違いまして、私のいたソプラノは弦が4本。トレモロの時はその4本のうちの3本だけ弾くのですが、1本1本が近い弦の1本だけ弾かない、はめちゃくちゃ難しく、どうしても触れてしまう。しかもジャカジャカ弾くので、ピックが弦に引っかかっちゃったりして。力が入り過ぎると手首も痛くなるし。その塩梅がなかなかうまくいかず、本当の事を言うと本番も含め最後まで、そこは“運”でした。もちろんめちゃくちゃ、本当にめちゃくちゃ練習しましたが、その微妙な力の入れ具合や、ピックや手首の角度など「これだったら絶対ばっちり!」は見つかりませんでした。成功率は一応増えてはいきましたけど。やる度に「さあ、今回は? ドルドルドルドル」と頭の中でドラムロールが鳴っておりました。すいません。
ただ今回一番の“激ムズ”ポイントは、指使い。大正琴の楽譜は数字で書かれておりまして。ドが1、レが2、シが7といったように順番に番号がついています。これは以前、お琴をやった時もそうだったので“理解”は出来ました。ただですね、その数字の上に指使いが書いてあるんですが、例えば“2”とあれば、“レを薬指で弾く”と言う意味。ここが私、こんがらがっちゃって。ピアノをやった事がある方はわかりますかね? ピアノの楽譜に指使いを書き込む際、数字を用いるんです。人差し指が2、薬指が4、みたいに。だから2に“薬指”と書かれていると、ゆっくりならわかりますが、速く弾く時だと「2? 人差し指? あ、薬指か」と一瞬で判断できなくて。そこに“355423”なんて出てきてごらんなさいよ。ただ立ち尽くすだけ。かと言ってじゃあ2を人差し指で弾けばいいじゃないか、って話でもなく。どのみち数字も7までありますし。あと次の音に行く時までボタンをおさえてないと、音がビヨンってなったり、他の音が混じったりするので、ここで指定されている指通りに弾かないと、その移動がうまくいかないんですよね、やっぱり。ただ森三中のムーさんとかは手が小さいから、この通りの指使いではボタンが届かない。今度はムーさん用の指使いを探さなきゃいけない。元々数字がビッシリの楽譜に、新・指使いを書き込んでいくと、もう何が何だか状態で。いやはやムーさんも相当大変でした。
とにかく見ている楽譜に書かれているものを瞬時に判断して、左手でそのボタンを押し、右手でピックを弦に当てる。この繰り返し。身体ももちろんですが、脳もクタクタ。すると大島ちゃんが「これは脳トレだ」と。確かに。そしてバービー。「(こんなに頭使っているなら)大喜利うまくなりますかね?」やってみる。お題:大正琴でこんな師範はいやだ。バービー「趣味がエレキギター。」うん、これは違ったみたい。こういうやりとりが、楽しい。練習中のリフレッシュタイム。
こうしてみんなで一生懸命練習をしておりました合宿3日目の朝、事件がおこりました。そうです。わたくしの“ギックリ事件”です。次回はこの大事件についてと、私が感じたいろんな“アイノカタチ”のお話をば。
【本日の乾杯】初鰹を行者ニンニクのタレで。東京に戻ってからも続く大正琴の練習。ある日早く終わったので、帰りにムーさんと飲みに行った時に出てきた一品。最高の気分転換。