
とうとう二月になってしまった。
あの、一年の内で寒さが一番強く、骨にまで染み渡るで有名な二月が。
若い頃は真冬でも生足でショートパンツなんぞを気取って履いていた。
その度に、道行く知らないおばさん達に「ストッキングも履かなくて寒くないの?」
「冷えるからやめなさい」
などと声をかけられていた。
当時はなぜ知らないおばさんからそんなことを言われるんだろうと不思議に思っていたが、今なら分かる。
おばさんは自分が寒いのだ。
しかもおばさんは人生経験が豊富にあるから人の身になって考えられる。
だから知らない若者のことも心配になるのだ。
その格好を見ているだけで、我がことのように寒く感じるのだ。
ていうか、見ているこっちが寒くなるのだ。それが嫌なんだ。
だから声をかける。
かつてショートパンツを生足で履いていた私も立派なおばさんになった。
今や私だって見知らぬ若者に声をかけたい。
けれどこのご時世でそんなことをしたら不審者扱いだ。
だから声をかけたいのをグッと堪えて、心の中で思っている。
「ラクダの股引き履きなさい。毛糸のパンツを履きなさい。冷えたらトイレが近くなるし、お腹が痛くなっちゃうわよ」と。
ああ、もう、こうやって書いているだけで寒くなる。
で、私の仕事は俳優である。
俳優である限りは極寒の風が吹き荒ぶ中でだってロケをする。
衣装だってまちまちだ。
真冬に真夏の格好している時だってある。
もちろんスタッフさんは気を遣ってくれて、ホッカイロを渡してくれたり
カメラが回っていない時はストーブをすぐに足元に置いてくれる。
でもね、足りないの。芯まで冷えるともうダメ。
そんな時の強い味方はお馴染みUNIQLOの極暖ヒートテックの上下である。
以下はヒートテックのことを調べていたら出てきた文章だ。
UNIQLOのヒートテックシリーズは、その保温性と快適さで多くの人々に愛されていますが、特に「極暖」シリーズは一段と暖かく、寒い冬に最適です。極暖ヒートテックは、通常のヒートテックの約1.5倍の暖かさを持ち、冷たい風や低温の環境でも体をしっかりと保護してくれます。
ほらね、すごいでしょ?
こんなことは、すでに皆さんご承知だとは思うが、書かずにはいられない。
本当に真冬の心強い味方である。
で、先日もそんな寒がりの私が早朝から、ビル風吹き荒ぶ中で撮影をしてきた。
衣装はセーターとスカートのみ。
衣装さんもカメラが止まったらすぐに私に着せられるように、ずっとベンチコートを持っていてくれた。
が、その日は寒くなかった。全く平気だった。
もちろん極暖ヒートテックの上下は着ているがいつもならそれでも寒いはず。
なぜ、その日は寒くなかったか。
実はその時の私の役が、身体の大きな人の役で
極暖ヒートテックの上にさらに身体中に肉襦袢を着ていたから。
※肉襦袢とは
身体を大きく見せるために、全身を綿で覆った肌着のこと。
なんなら汗までかいた。
そうだ! 思い出した!
いつも冬になると忘れるが、冬以外、私は大汗っかきだったのだ。
そこからはそのシーンを撮り終わるまで、汗が止まらず
メイクさんに迷惑をかけてしまった。
全く、私のわがままボディをどうにかしてほしい。
でもね、肉襦袢は暖かいですよ。
寒がりの方。
ぜひお試しくださいませ。
そして本文とは全く関係ないが
2年前、色々あって我が家は犬二匹と猫一匹と人間一人の家族になった。


こういう写真を見ていると
寒がりになろうがなんだろうが、
時間が流れていくというのは最高にいいことだなあと思う。
山野海の渡世日記の記事をもっと読む
山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。