ロザンの菅広文さんの書いた『京大芸人』と、シリーズ第2弾の『京大少年』は、累計20万部を突破する大ベストセラーです。
京大卒のインテリ芸人としてクイズ番組などで活躍しているロザンの宇治原史規さんは、独自の合理的な勉強法を編み出し、それを生かして京大合格を果たしました。その方法について、相方の菅広文さんが『京大芸人』で紹介しているのは、ご存知の方も多いでしょう。
そして、この度、シリーズ第3弾が刊行されることになりました。その名も『京大芸人式日本史』。「日本史を学ぶコツは物語のように教科書を読むことだ」という持論を持っている宇治原さん。そんな彼の方法論を生かして、菅さんは「読みやすい日本史の物語」を新たに作ることにしたのです。笑って学べるオリジナリティにあふれた日本史小説。果たして、この作品はどうやって生まれたのでしょうか?
(インタビュアー:ラリー遠田)
――『京大芸人』にも書かれていた、宇治原さん独自の勉強法について具体的に聞きたいと思います。日本史では、まず教科書を最初から最後まで読む、ということですね。
宇治原 そうですね、一度アタマから流れで読んでみてほしいです。1回目から全部頭に入らなくてもいいですから。日本史を勉強するときには、あまり細切れにしないほうがいいんですよね。普通の本を読むみたいに、教科書を“通して読む”時間を設けてください。
――まずは教科書を、ということですが、その宇治原さん流の勉強法の中では、この本(『京大芸人式日本史』)はどういう位置づけになりますか?
宇治原 教科書を読む前に読んだらいいんじゃないですかね。日本史に限らず、勉強って「面白いと思ったもん勝ち」っていうところがあって。これを読んで「日本史って面白いなあ」って潜在意識に刻むことができたら勝ちなんです。
――確かに、面白ければ勉強もはかどるし、語句も自然に覚えますよね。
宇治原 そうなんですよね。面白いと思って読んだり見たりしたもんって勝手に覚えてますから。もちろん、受験対策としては最終的には問題解いたりっていうのもちゃんとしないと駄目なんですけど、それまでに「日本史をどれだけ面白いと思えてるか」っていうのが大事なんです。
――また、宇治原さんは「教科書に線を引かない」ということも言われていますね。
宇治原 勉強していると、みんな、「重要なところに線を引く」って言うじゃないですか。でも、僕に言わせると、「重要じゃないとこってどこやねん!」って話なんですよ。教科書に書いてあることは全部重要ですから。線を引き出したら全部の文字に引かなあかんやん、と。
――部分的に引いてもしょうがない、ということですね。
宇治原 菅さんも、僕に教科書を借りてるっていうの忘れて、勝手にアンダーラインを引いていたことがあって。戻ってきた教科書を見たら、「江戸時代」っていうところに線が引いていた。どこに引いとんねん、って(笑)。
――大事ですけどね(笑)。
宇治原 もちろん大事は大事ですよ。でも、それ言い出したら全部に引かないといけないですから。
――特に日本史の教科書って、覚えなければいけない語句もたくさんありますが、そういうところ以外に、流れを知る上で重要な文章があったりするんですよね。
宇治原 そうなんですよ。みんな、人物名とか事件名に線を引きますけど、それをするから逆に覚えられない、っていうのがある。例えば、教科書の中に、さっき(第2回を読んでください)菅さんが言ったみたいな「土地の奪い合いをしていた」っていうことに関する文章があったら、本当はそっちのほうが重要なんです。そこに線を引こうとはみんな思わないですからね。
――また、宇治原さんは暗記の極意として「書く、声に出す、歩きまわる」というのを挙げていました。
宇治原 これはまあ、暗記のコツですよね。何かどうしても覚えないといけないってなったときには、五感を使って覚えるといい。目で見るだけじゃなくて、書いたら手が動くし、声に出すと自分の耳で聞くことにもなりますから。
歩きまわるっていうのは、自分でやっていて、これは何となく覚えやすいなあ、って思ったんですよね。自然に分かったことですけど、体を動かしたほうが脳も働きやすいんです。
――ちなみに菅さんは、浪人時代にどんな勉強をされていたんですか? 宇治原さんの勉強法を取り入れたりしたことはありましたか?
菅 僕は予備校に通っていたので、予備校のカリキュラム通りやっていたら、成績が上がって大学に受かりました(笑)。予備校は予備校で受験のプロですから、プロに任せるのが一番いいんではないだろうかと思っていて。特に自分で考えてやっていたことはなかったですね。
――宇治原さんは独自の勉強法をどうやって編み出されたんでしょうか? 参考にした人や本などはありましたか。
宇治原 基本的には、自分でやりながらそこに落ち着いたっていう感じですけどね。例えば、1日に何時間勉強したらいいのか、っていうことを考えて、先生に聞いてみたんですよ。「京大受かってる人って何時間勉強してるんですか?って。そしたら、「10時間やってる人が受かってるよ」って言われたので、11時間やれば絶対受かるわって思って、11時間やることに決めました。
そんなふうに人に何かを聞いて、じゃあこうしようって理屈で決めていったものはあります。でも、割と自分で考えて決めていたと思いますね。
――「このやり方のほうが効率いいなあ」とか、自分で考えながらやっていく感じですか。
宇治原 そうですね。例えば、普通に小中高と勉強してきてたら、数学の問題って全部似てるなあ、とか気付くんですよ。でも、日本史の問題はあんまり似てなくて、いろいろな問題出てくる。
だったら、数学は同じ問題を何回も解いたほうがいいし、日本史はできるだけ違う種類の問題集をやっていったほうがいい、とか。そうやってもともとの理屈はあるんですよ。それに基づいて決めているっていう感じですね。
第4回につづく
ロザン菅広文『京大芸人式日本史』刊行記念 特別インタビュー・集中連載の記事をもっと読む
ロザン菅広文『京大芸人式日本史』刊行記念 特別インタビュー・集中連載
高学歴芸人コンビ・ロザンの菅広文さんが書いた大ベストセラー『京大芸人』には、宇治原さんの独特の勉強法について書かれています。「日本史は、物語のように一気に読めば、絶対に頭に忘れない」というのが、宇治原さんの論。ところが、そんな面白い日本史の本などありません。そこで、菅さんが、笑って学べる、爆笑日本史物語を作りました! さて、この本がどんないきさつで、どんな思いで書かれたのか、発売直前の集中連載です。