
誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽をモチーフに、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに言葉を綴っていただきます。
太陽の照れ隠し、月からの光は走馬灯、緩やかに熱を帯びる雪、そして春への足音
踏みしめた波打ち際の石は、遠い記憶の海から届く報せを告げる
一方、宇宙との約束に同期するように、スクランブル交差点の雑踏には、淡白で滑稽なナルシシズムが響き渡り
それぞれの痛みや恨み、悲しみと快楽、適当に時間をやり過ごす共鳴しない波動たちが、分刻みのパーティを繰り返して
もっと忘れっぽく生きる術を、あの日あの時に習得できたタイミングを見事に逸して
君は東へ、僕は西へと魂の放浪を経て、自転する地球で起こった奇跡の中の本当の奇跡に巡り合う
彼らは言われるがままに武装して、彼は思いつくままに綺麗な暴言を吐いて、あの人が勢いでスイッチを押さぬ前に、春の光が導く単純明快な波動が、まろやかな未来を紡ぐことを導けるように
君は楽園から生まれたレコードばかりを集めだして、僕は消化に良くて眠りが深くなる料理だけを作る
営みは過去と今を定義せずとも、星巡りや暦その他を超越して、新しい春を受け入れてゆくのだろう
朝目覚めてすぐに、例えばね?って、笑顔になるような言葉を、眠りにつく前から待つことにして
星野源『Eureka』(2025年、Victor Entertainment)
渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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