
「健康診断結果は気にしない」「毎日の晩酌は欠かさない」「お金はためるより使う」……。ホリスティック医学の第一人者で現役医師の帯津良一先生が実践する、人生100年時代を楽しく健やかに老いるコツとは。新刊『ときめいて大往生』より、一部をお届けします。
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シニアこそ自分より年上と付き合おう
私が79歳のとき、ある雑誌の新年号に次の言葉を綴りました。
「今年はいよいよ傘寿である。死ぬ日がいつ訪れるかわからない。いつでも(死に向けて)加速できるように、日々心身を調えておきたい」
正直な気持ちでした。
ところが、そんな私の思いをガツンと打ち砕く出会いがあったのです。
女優・司葉子さんのご主人で元経済企画庁長官の相沢英之さんとの出会いです。当時、相沢さんは96歳。私より17歳年上でした。
対談企画でお会いすることになったのですが、いやぁ、驚きました。
まず、肌艶がいい。目には力強い光が宿っています。そして、歩き方が軽快。お話ししてみると、脳の衰えをまったく感じさせない明快さもあります。
さらに、若くてモデルさんのような秘書を従えていらして、対談が終わると近くの寿司屋にサッと入っていかれました。その姿が男女としてサマになっているのですから、あっぱれです。
とても96歳とは思えない相沢さんのお姿を目の当たりにして、私などまだまだひよっこであると反省しました。
「たまには若い人と交流してエネルギーをもらおう」という考え方が世の中にはあるようです。
たしかに、若い人はエネルギッシュですが、エネルギーは人からもらわなくても、ときめきをキャッチしていけば自分で増やすことができます。だから私はむしろ、シニアこそ自分より年上と交流したほうがいいと考えています。人生経験豊富な先輩だからこそ学べることはたくさんあります。
内に志を秘めた人は魅力的
人生の先輩から学べることは多いですが、もちろん、自分より若い人の中にも魅力的な人はいます。そういう人とは積極的に付き合っていきましょう。その人が与えてくれる心地よい刺激が、ときめきとして体内に流れ込んでくるからです。
それでは、魅力的な人というのはどういう人を指すのでしょうか。
私は、内に志を秘めた人だと思います。
貝原益軒の『養生訓』の中に、「道を行い善を楽しむ」という言葉があります。解説によると、「善」は、道を行うことによって身に付いた徳や品性、そういうものを指しているそうです。つまり、己の道を進んでいく中で身に付いた徳を楽しめということです。
道というのは、志とイコールです。自分が一生かけて追求したい生きがいとか、あるいは生きる目標・目的というようなものを「道」と言っているのだと思います。そういう志を秘めている人は、命のエネルギーが燃えているので、生命エネルギーも高まります。それが、その人の魅力としてにじみ出てくるのではないでしょうか。
志は、必ずしも「すごいことを成し遂げてみせるぞ!」というようなギラギラしたものではなく、ただ、遠くに思いを馳せるだけで充分だと思います。
体力が衰えようが病気になろうが、それでも自分は成長し続けるんだという意識で生きる。そして、そうした中で身に付く徳や品性を楽しむ。それが志につながるのです。
そういう人と交流していると、生命エネルギーは高まっていきますし、自分自身がそうなれば、より一層命のエネルギーが高まります。
ときめいて大往生

ホリスティック医学の第一人者が教えるごきげんに長生きする秘訣とは。新刊『ときめいて大往生』より、試し読み記事をお届けします。