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金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ

2025.03.28 公開 ポスト

なぜ金持ちは騙されず普通の人だけが狙われるのか? 投資詐欺のリアルな裏事情我妻佳祐

業界が隠したがる「本当に安全なお金の守り方」とは? 金融庁を経て現在は保険・金融コンサルタントとして活躍する我妻佳祐さんが、投資初心者~中級者向けにさまざまな罠から身を守る術を伝授する幻冬舎新書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』。本書より一部を抜粋してお届けします。

SNSで誘ってくる投資には近づくな

大勢の人々からお金を集める行為は、誰にでも許可されていることではありません。資格を得られるのは、国による一定の審査をクリアした者だけです。無登録で勝手に出資を募れば、出資法や金融商品取引法などのさまざまな法律に違反することになります。

これから投資をしようと考えている人にとって、詐欺はもっとも大きなリスクです。投資には「予想したほどの利回りにならなかった」とか、「元本割れしてお金が減ってしまった」といったレベルの失敗もありますが、詐欺師に騙されたら、それどころの話ではありません。最初から儲かる可能性などなく、一瞬にして大切なお金をまるごと失うのです。

人を騙そうとする儲け話は、その大半が向こうからやってきます。もちろん違法であることを自分からいうわけもなく「合法な投資」であることをうたってカモを探しています。

とくにいまはインターネットが普及したことで、詐欺師が不特定多数の人にアプローチすることが容易になりました。この数年、発覚した投資詐欺事件の多くは、フェイスブック、インスタグラム、LINEといったSNSを利用したものです。

 

たとえば、フェイスブックで見知らぬ20代の女性とつながった高齢男性が、仮想通貨への投資をすすめられる。あるいは、投資に関係するネット広告を見たら「あなたがしている投資よりFエフXエツクスをやったほうが儲かります」という広告が表示される。──そういった話は、ネット上に山ほどあります。

ちなみに「FX」とは、ドルやユーロなどの通貨の為替かわせ変動へんどうを予想して投資し、買った通貨が値上がりすれば儲かるというもの。これも詳しくは第6章でお話ししますが、きわめてギャンブル性が高くて危険なので、まったくおすすめできません。ギャンブル依存症いぞんしようおちいる危険性も高いものなので、興味本位で手を出さないようにしましょう。投資の世界におけるいわば「合法ドラッグ」のような存在です。一生やらなくてもまったく問題ありません。「貯蓄から投資へ」の「投資」の中にFXは含まれていないと考えてください。

大勢から少しずつお金を集めるのはすべて詐欺だと思え

向こうからやってくる儲け話は、もちろんネット上だけのものではありません。電話による勧誘もありますし、営業マン風の人物が訪ねてくることもあるでしょう。「投資セミナー」のようなイベントにたくさんの人を集めて、投資のプロを自称する講師が「みなさんにだけ儲かる方法をお教えします!」などと講義を行うのも、よくあるパターンです。

いずれにしろ、儲けの大きい投資の話をすすめられたら、まずは疑ってかかりましょう。「否定から入るのはよくない」とはよくいわれますが、投資に関しては絶対に疑うことから入らないといけません。というのも、簡単に大きな利益が出そうな「おいしい儲け話」は、それが本物であれば、ふつうの人のところには持ち込まれません

ここでいう「ふつうの人」とは、大金持ちではない人のことです。もし本物の儲け話があって、それを仲介することで手数料収入などを得ようとするなら、あまりお金を持っていないふつうの人を相手にしようとは思いません。

 

それはなぜか。仮に、ふつうの人が投資に回せるお金が100万円だとしましょう。全体で1億円の投資額が必要だとしたら、100人からお金を集めなければなりません。断る人もいますから、勧誘の声をかける人数はその何倍にもなります。

お金持ちを相手にすれば、そんな手間はかかりません。大きな投資に慣れた富裕層には、それが本当に儲かりそうだと判断すれば、1億円ぐらいならポンと出す人がいくらでもいます。そういうお金持ちをひとりだけ口説き落とせば、目標額の1億円は達成できてしまうのです。何人かには断られるかもしれませんが、100人にお金を出させるよりもはるかに楽なのは間違いありません。

しかも先ほどお話ししたとおり、不特定多数の人たちからお金を集める行為は、法律で厳しく規制されています。その資格を得るための国の審査をクリアするのはかなり面倒です。それに対して、富裕層に投資をしてもらう場合は、そういう法的な縛りがとても緩かったりします。その意味でも、お金持ちを相手にしたほうが手間がかからないのです。

それなのに、わざわざ100倍もの手間をかけて、ふつうの人たちからチマチマとお金を集めようとするのは、その儲け話が投資経験が豊富なお金持ちには相手にされないものだからか、もしくはそもそも詐欺だからでしょう。日頃からさまざまな投資を行っている富裕層は、その投資先が「本物」かどうかを見抜く目が養われています。それを嫌って、手間をかけても投資の素人しろうとからお金を集めようとするのは、その儲け話が「偽物」だから。要するに、騙しやすい相手を探しているのです。

 

ですから、ふつうの人を勧誘してお金を少しずつ集めている時点で、その「おいしい儲け話」はまったく信用できません。本当に儲かる投資なら、自分でやるか金持ちを探すかのどちらかです。これさえ頭にしっかり叩き込んでおけば、ほとんどの詐欺被害は防げるはずです。投資の世界で性善説は通用しません。「否定から入るのはよくない」などというスタンスでは金融地獄を渡っていくことはできません。

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この続きは幻冬舎新書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』でお楽しみください。

関連書籍

我妻佳祐『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』

銀行預金はどんどん目減りする、投資はインデックスファンドだけにしろ、生命保険は共済がいちばん、老後対策はNISAとiDeCoで十分…etc. 金融庁のお役人の「本音」がすべて書かれた“真っ当なスキャンダル本” !――橘玲(作家)

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業界が隠したがる「本当に安全なお金の守り方」とは? 金融庁を経て現在は保険・金融コンサルタントとして活躍する我妻佳祐さんが、投資初心者~中級者向けにさまざまな罠から身を守る術を伝授する幻冬舎新書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』。本書より一部を抜粋してお届けします。

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我妻佳祐

マネックスライフセトルメント代表取締役社長。1981年生まれ、山形県米沢市出身。99年、京都大学理学部数学科入学。2006年、京都大学大学院理学研究科修士課程にて生命保険の研究で修士号を取得する。同年、金融庁に入庁。保険、証券、企業会計、銀行等、幅広く金融行政に関わる。14年、京都大学大学院理学研究科博士後期課程を修了し、生命保険の研究で博士号を取得。19年に金融庁を退官。その後、アクセンチュア等のコンサルティング会社勤務を経て、21年に生命保険の買取サービスを提供する株式会社ライフシオンを設立。24年よりマネックスグループ株式会社傘下のマネックスライフセトルメント株式会社にて引き続き生命保険の買取サービスを提供するとともに、光通信グループ保険事業のアドバイザリーなど、保険・金融コンサルタントとしても活動中。

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