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ルポ・台湾黒社会とトクリュウ

2025.04.01 公開 ポスト

台湾でトクリュウの仕事を終えてきた日本人へのインタビュー

台湾トクリュウでの稼ぎは1回目120万円、2回目280万円。花田庚彦(作家、ライター、コメンテーター、ジャーナリスト)

トクリュウこと、匿名・流動型犯罪グループ。最近、ミャンマーやカンボジアでその拠点が発覚したが、実は台湾にもその大きな拠点がある。ジャーナリスト・花田庚彦が、台湾の「街頭」が仕切るトクリュウの現場に潜入取材し、誰も知らない闇バイトの恐るべき実態を暴いた『ルポ・台湾黒社会とトクリュウ』より、“スクープ”の一部をお届けします。今回は、台湾でトクリュウの仕事を終えて帰ってきたばかりの日本人男性へのインタビューを。

台湾のトクリュウに関わった日本人

話を本筋に戻すが、筆者は王氏の他にもさらに2人、この台湾におけるトクリュウに関わった人物に話を聞いている。そのうち1人は、王氏のインタビューの際、通訳を務めてくれた友人から、「11月29日まで台湾でのトクリュウに携わり、仕事を終えて日本に30日に帰る人間がいるので、会うならセッティングしますよ」と、紹介された人物だった。筆者が王氏にインタビューした2月から、9カ月以上の時を経ていたが、筆者は夏の終わりから秋口にかけて、トクリュウが行う詐欺電話のシナリオが変わったことを知り、それを追っていた。そんな中、台湾トクリュウの最前線を知るであろう人物と接触できるのは、まさに渡りに船とも言うべき提案だったのだ。

その人物が成田空港に到着するのが30日の夕方と聞いていたので、当初は成田空港周辺のホテルを手配したのだが、相手が一刻も早く自宅に帰りたいため、新宿にしてほしいと提案され、急遽場所を変えてインタビューを行うこととなった。

その人物の服装などといった特徴は友人から伝えられ、待ち合わせの場所である喫茶店で待っていたが、約束の時間を過ぎても指定した場所に現れない。若干の不安を感じたが、紹介してくれた友人から、高速バスの渋滞で少し遅れる旨がLINEを通じて連絡された。“飛ぶ”気であるなら、こうした連絡をよこさないだろう、とポジティブに考えた筆者は、根気よくその場で待つことにしたのである。

小一時間ほど待っただろうか、友人から聞いていた服装の人物がスーツケースを携え、喫茶店の中に入ってきた。三上氏(仮名)と名乗るこの男性と、挨拶を交わした後、取材の交渉を開始する。名刺を渡した筆者が「台湾のトクリュウについて、色々調べているので協力してくれませんか」と伝えると、三上氏は「もう行かないので、僕の身元さえ隠してもらえるなら、知っている限りの情報をお伝えできると思います」と、心強い返事をくれたため、さっそくインタビューを開始した。

――台湾には何回行かれましたか?
「2回です」

――報酬はどのくらいを提示されたのでしょう?
「ベースとなる給料は40万円で、相手から騙し取った総額の3%がボーナスとして支給
されていました」

――今回の詐欺案件、いわゆるトクリュウに参加したきっかけは?
「X(旧・Twitter)で何か仕事ないかな、と呟いたのがきっかけですね。ここに『# 闇バイト』『#高額』などのハッシュタグをつけると、リクルーターの方から声をかけてきてくれるんです」

――それで、実際にスカウトが来たわけですね?
「DMで10通以上のスカウトが来ました。その中から、一番条件が良く、話がまともそうで、こっちの言い分とか聞いてくれたグループに参加することにしたんです」

さらに話を聞いてみると、このグループとは先にインタビューした王氏のグループとのことだった。街頭の中では大きなグループであると王氏からは聞いていたため、三上氏の言う条件の良さなどについては納得できる部分があったが、世間とは狭いものである。

――観光ビザでは90日までの滞在となっていますが、2回の滞在は、両方ともフルで滞在した形でしょうか?
「そうですね。今年(2024年)の5月から7月が1回目、そこから一旦帰国して、9月から今日までいました」

――稼ぎはどのくらいでしたか?
「前回は120万円くらいでしたが、今回は280万円でした」

――日本へ持ち帰ることができる金額は100万円までですが、オーバーした分についてはどのように持って帰ってきたんでしょうか?
「1回目は手荷物の中に隠して持ち帰りました。今回はかなり多めだったので、オーバーしたお金は荷物と一緒に送りましたね」

――普通の荷物とお金を一緒に送ったわけですね。なくなるのが怖くありませんでしたか?
「通訳の人から、『日本の入国審査が厳しくなっているから、郵送が一番いい』と言われたので」

三上氏はこう答えたが、確かに筆者が台湾に2回渡航した経験からしても、1回目に比べて2回目は帰国の際の入国審査が、1年足らずで非常に厳しくなったような印象を受けた。しつこいほどの持ち物検査など、数多くの出入国を経験している筆者であっても、この時が初めてと言っていい。それだけ、こうしたトクリュウに関わる人間が台湾を訪れており、当局も警戒しているということなのだろう。

*   *   *

この続きは幻冬舎新書『ルポ・台湾黒社会とトクリュウ』でお楽しみください。

関連書籍

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トクリュウこと匿名・流動型犯罪グループの大きな拠点の一つは台湾にあり、日本の暴力団は完全に台湾黒社会の下請。 そんな情報を仕入れたジャーナリストが、台中のアジトに潜入取材した。 現地でトクリュウに励む10代から70代の日本人の勤務は9時から19時までで土日休。報酬は月約40万円。一見ホワイトな現場に近づいた彼は、犯罪チームに勧誘される。断ると「腕を千切る」と脅され、必死の逃亡劇が始まった――。 トクリュウ、闇バイトの恐るべき実態を暴いた衝撃のルポ。

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ルポ・台湾黒社会とトクリュウ

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花田庚彦 作家、ライター、コメンテーター、ジャーナリスト

東京都生まれ。週刊誌記者を経て、フリーライターに。独自のルートを活かし事件や違法薬物などアンダーグラウンドの現場を精力的に取材。源座は実話誌やwebメディアに記事を寄稿している。

三代目山口組組長代行補佐・一和会理事長、加茂田重政『烈侠』(サイゾー刊)では聞き手を務める。

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