1. Home
  2. 読書
  3. アルパカ通信 幻冬舎部
  4. 恩田陸『珈琲怪談』/賀十つばさ『ドゥリト...

アルパカ通信 幻冬舎部

2025.04.26 公開 ポスト

恩田陸『珈琲怪談』/賀十つばさ『ドゥリトル先生のブックカフェ』- コーヒーと一緒に味わいたい小説2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
賀十つばさ『ドゥリトル先生のブックカフェ

妻が仕事と偽って近所のカフェに通って​
​​​いる。常連客は不登校の小学生や定年退職
した男性……。自分の居場所が見つからない
彼らに、店主は美味しいコーヒーと焼きたての
スコーンと共に、絵本を処方する。
心が満たされるブックカフェ、本日開店!

一方こちらは、NHK でドラマ化され話題になった『バニラな毎日』の
著者最新刊。贅沢にも書き下ろし文庫として登場だ! 

主人公の「ぼく」は作家で、ある日ひょんなことから妻の行動に不審を抱く。仕事に行くと偽って、毎週金曜は別の場所に出かけているようだ。夫が尾行すると、妻が訪ねていたのはあるブックカフェだと判明。後日、一人でそのカフェに客として「潜入」すると、店主は、父がイギリス人、母が日本人の男で、常連客からは「ドリトル先生」と呼ばれ親しまれていた。妻はこの男と? と妄想を膨らませるが、いつしか店主の人間的な魅力や店の空気に引き込まれ、今度は自分が妻に内緒でこの店に通うことに……。

この店の常連は小学生の女の子から老人まで多種多様。それぞれに問題を抱えているが、控えめな店主がそっと差し出す本に皆がいつしか癒されていく。作中に出てくる名作(『ドリトル先生航海記』や『長くつ下のピッピ』など多数)の知られざるエピソードも紹介されていて、読者は複数の物語を同時に楽しめる。妻はこのカフェでなにを? という一見シリアスな謎を、あふれんばかりの優しさと温かさで包みこんだ上質の作品だ。

さあ、次の休みにはこの文庫を手にして、近くのカフェでじっくり楽しんでほしい。

{ この記事をシェアする }

アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

バックナンバー

アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP