初対面のネイティブとのスモールトークに役立つ表現375! 直訳だとわかりづらい〝生きた英語〟のみを収録した『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』(モーゲンスタン陽子著)が、今じわじわ拡大中。すぐ覚えられてすぐ話したくなる、そんな具体的なフレーズは本書で見ていただくとして、この連載では「雑談力をあげる会話のコツ」をまとめたコラムを抜粋してお送りします。
英語でも、流行りすぎ、使われすぎて耳障りになってきた言葉や表現というのがあります。たとえば、perfect という語。会話の終わりや、何かきかれて(レストランで注文するときなど)返事をするたびに、いちいち “Perfect!” と言う人がいますが、「いったい、何がパーフェクトなのか」とイライラする人も多いようです。
grab「つかむ」は、言葉そのものより、その使われ方がウザいという人がいます。たとえば、“I'll just grab you a receipt.”「今レシートを持ってきます」、 “I'll grab a sandwich.”「ちょっとサンドイッチを買ってきます」、“Do you wanna grab lunch?”「お昼、買ってく?」など、本来の意味と違うので気になる、あるいは「急ぐ、ひっつかむ」感じが失礼、という人も。あらたまった場面では使用を避けたほうがいいかもしれませんね。
ミシガン州のレイク・スペリオール大学は毎年、使われすぎの語・誤用の多い語などをリストアップしており、2012年にはamazing「すばらしい」が使われすぎの言葉の1位に選ばれていました。ほかにも、baby bump「赤ちゃんこぶ」→「妊婦のお腹」などが選ばれています。
一方、2013年には、オックスフォード英語辞典入りした、selfie が選ばれたといいますから、これはもう主観によるものかもしれませんね。
さて、表現では、“Thank you in advance.”「前もってお礼を言わせていただきます」が「お礼言ったんだからやってよね」と言われているみたいでいやがる人が多い、というのは前に触れました。ほかにも、“Just saying.”「言ってみただけ」というのがあります。メールなどでは “Just sayin’.” と語尾のgを省いてアポストロフィにすることもよくあります。たとえば、“ ’Cuz I earn more than you do ― just sayin’. ”「だって私のほうがいっぱい稼いでるじゃん? なーんてね」といった感じでしょうか( ’cuz は because の略)。「言ってみるだけなら言うな」「尻すぼみ感が余計に腹立つ」ととらえる人がいるのも事実です。ほかに、「はじめに」でもふれましたが、お決まりすぎるイディオムや使われすぎの表現は、cliché(「クリシェ」もとはフランス語)と呼ばれ、避けられる傾向にあります。
流行り言葉とうっとうしい言葉は紙一重。また、流行り言葉は、えてして若者が使うことが多いもの。英語には日本語のような細かい敬語はなく、また職場での上下関係などもきわめてカジュアルですが、若者言葉の多用は相手の気分を害することや、失礼になることもあります。私たち英語学習者は注意が必要です。
(最終回へ続く)