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英語の雑談力があがるちょっとしたコツ

2014.12.16 公開 ポスト

英語の雑談力があがるコツ⑥

英語にも、使われすぎてウザい表現があるモーゲンスタン陽子( 翻訳家・作家)

初対面のネイティブとのスモールトークに役立つ表現375! 直訳だとわかりづらい〝生きた英語〟のみを収録した『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』(モーゲンスタン陽子著)が、今じわじわ拡大中。すぐ覚えられてすぐ話したくなる、そんな具体的なフレーズは本書で見ていただくとして、この連載では「雑談力をあげる会話のコツ」をまとめたコラムを抜粋してお送りします。

 
英語でも、流行りすぎ、使われすぎて耳障りになってきた言葉や表現というのがあります。たとえば、perfect という語。会話の終わりや、何かきかれて(レストランで注文するときなど)返事をするたびに、いちいち  “Perfect!”  と言う人がいますが、「いったい、何がパーフェクトなのか」とイライラする人も多いようです。

grab「つかむ」は、言葉そのものより、その使われ方がウザいという人がいます。たとえば、“I'll just grab you a receipt.”「今レシートを持ってきます」、 “I'll grab a sandwich.”「ちょっとサンドイッチを買ってきます」、“Do you wanna grab lunch?”「お昼、買ってく?」など、本来の意味と違うので気になる、あるいは「急ぐ、ひっつかむ」感じが失礼、という人も。あらたまった場面では使用を避けたほうがいいかもしれませんね。

 ミシガン州のレイク・スペリオール大学は毎年、使われすぎの語・誤用の多い語などをリストアップしており、2012年にはamazing「すばらしい」が使われすぎの言葉の1位に選ばれていました。ほかにも、baby bump「赤ちゃんこぶ」→「妊婦のお腹」などが選ばれています。

 一方、2013年には、オックスフォード英語辞典入りした、selfie が選ばれたといいますから、これはもう主観によるものかもしれませんね。

 さて、表現では、“Thank you in advance.”「前もってお礼を言わせていただきます」が「お礼言ったんだからやってよね」と言われているみたいでいやがる人が多い、というのは前に触れました。ほかにも、“Just saying.”「言ってみただけ」というのがあります。メールなどでは “Just sayin’.” と語尾のgを省いてアポストロフィにすることもよくあります。たとえば、“ ’Cuz I earn more than you do ― just sayin’. ”「だって私のほうがいっぱい稼いでるじゃん? なーんてね」といった感じでしょうか( ’cuz は because の略)。「言ってみるだけなら言うな」「尻すぼみ感が余計に腹立つ」ととらえる人がいるのも事実です。ほかに、「はじめに」でもふれましたが、お決まりすぎるイディオムや使われすぎの表現は、cliché(「クリシェ」もとはフランス語)と呼ばれ、避けられる傾向にあります。

 流行り言葉とうっとうしい言葉は紙一重。また、流行り言葉は、えてして若者が使うことが多いもの。英語には日本語のような細かい敬語はなく、また職場での上下関係などもきわめてカジュアルですが、若者言葉の多用は相手の気分を害することや、失礼になることもあります。私たち英語学習者は注意が必要です。

(最終回へ続く) 

関連書籍

モーゲンスタン陽子『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』

自然に聞こえる。気まずくならない。街や店で、SNSで……話題をキャッチし切り返す表現375 「文化的背景」「言い回し」「ニュアンス」といった英語のすき間を知れば、トークはもっとスムーズに、楽しくなる――。大人になってから英語を学び直し、現在は英語での小説・エッセイの執筆活動をカナダや米国で展開、海外での子育てや地域活動、企業勤めの経験もある著者。英語圏に住んで出会った“生きた英語”の知識とトリビアを紹介。すぐ覚えられるから、すぐ使いたくなる! 英語を勉強する人のかゆいところに手が届く、かつてない“サプリ”本。

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英語の雑談力があがるちょっとしたコツ

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モーゲンスタン陽子 翻訳家・作家

東京都出身。カナダ滞在中に英語で創作活動を始め、エッセイや短編小説をカナダ全国紙のグローブ・アンド・メールや、アメリカ・カナダの文芸誌グレート・レークス・レビュー、モントリオール・レビューなどに発表。2011年にはトロントの出版社主催の短編小説賞のロングリスト候補となる。著書に小説Double Exile(Red Giant Books社、アメリカ)、訳書に『北斎と応為』(彩流社)がある。筑波大学にて政治学学士、カナダのシェリダン・カレッジにてジャーナリズムのディプロマ、ドイツのバンベルク大学大学院にて英米文学の修士課程を修了。日本ペンクラブ会員。ドイツ在住。2児の母。

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