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詩人のドバイ感覚紀行

2015.03.15 公開 ポスト

第二回

詩人、お祈りに行く文月悠光

2015年1月27日

 いよいよイスラム教の礼拝堂〈モスク〉を訪ねる。肌を露出できないため、長袖のニットと足首までのマキシスカートを着て出かけた。汗ばむほど暑いが、できる限り現地の人の文化に近づきたい。
 ムスリム(イスラム教徒)のお祈りは一日に5回。礼拝の時刻が近づくと、〈アザーン〉という呼びかけの声が街のあちこちのスピーカーから流れ出す。お祈りのためのスペースは、図書館にもデパートにもオフィスにもあるけれど、礼拝堂〈モスク〉で行うのが基本だ。特に休日の金曜は、集団礼拝のために多くの人々がモスクへと向かう。

 日本の友人から不意にメールが届いた。ISILの人質事件を受け、「くれぐれも気をつけて!」と注意をうながす文面。いま日本がどのような雰囲気なのか、日に日にわからなくなる。焦る気持ちとは裏腹に、ドバイは至ってのどかに見えた。イスラム教はISILとは違う。けれど、人質事件のために、イスラム教そのものを「危ない」と敬遠する人もいるだろう。それは日本人にとっても不幸な事態ではないか。1ヶ月という短い期間ではあるが、精一杯UAEの文化を吸収し、伝えたい思いにかられた。

 

初めて訪ねたモスク。陽光を背に浴びて、その荘厳さが際立っていた。

 訪ねたのは、ドバイ最大のモスク〈アルファ・ルーク・モスク〉。青を基調としたデザインが美しい。トルコのブルーモスクをイメージして作られたそうだ。ストライプ柄のアーチの下には金色の扉が幾つかあり、一間挟んだその奥が礼拝堂になっている。

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文月悠光

詩人。1991年北海道生まれ、東京在住。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。そのほかの詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。エッセイ集に『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)がある。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、詩作の講座を開くなど広く活動中。 Twitter:@luna_yumi

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