木の上で、寝てもうた。
公園のベンチで、熟睡。
ちょっと臭うけど、それが安らぎ。
ネコは植木鉢でまっるくなるっ。
勉強中に落ちました。
僕はギターでぐーぐー。
んじゃ母ちゃん、ケースいただき。
うつぶせ。
あおむけ。
はみ出し。
反りかえり。
ピキーン。
朝方は冷えるのう。
ティッシュ布団。
父・母・オレ──川の字。
「すぴーっ。すぴーっ」
「ちょっとごめんよー」「んぐぐ」
「すぴーっ。すぴーっ」「すぴーっ。すぴーっ」
今日はどんな夢を見るかニャー。
「バンザーイ!」の夢?
「潜水」の夢?
「(古いけど)シェーッ」の夢!
「走り高跳び(ベリーロール)」の夢!
「夏の湘南」の夢だろ?
「スリラー」の夢じゃないの?
「レシーブ」の夢だね。
「初夜」の夢だったりして。
「ふわあああーっ。そろそろ寝るか」
4時間睡眠
片岡 K
あれは、高一の夏休みが終わる寸前だった。昼前にやっと目を覚ましたボクは飼い猫(チョビ)とジャレながら、ふとこんなことを思った。
「24時間のうち毎日8時間寝てるよなあ。ということは、ボクは人生の3分の1を寝て過ごすのか?」
勿体ない。睡眠を2時間減らせば毎日1本ずつ映画を楽しめる。6時間睡眠なら、寝ている時間は人生の4分の1に減るじゃないか。よし、ならばもう少し頑張って睡眠時間を4時間にしたら? これなら寝て過ごすのは人生の6分の1だけ。残り6分の5を起きていれば誰よりも充実した生涯を送れる!すげえ。川端康成もびっくり、ノーベル賞級の発明だよ!そう思うだろ川端っ。トンネルを抜けるとどこだって? 雪国だって? 言うねーキミも。
さっそくその夜からボクは4時間睡眠を始めることにした。さすがに翌朝は辛かった。ボーッとしているうちに一日が終わってしまった感じだ。だが人間はすごい。あっという間に体が順応し、10日後には4時間きっかりで目が覚めるようになるんだから。
明日から二学期だ。冬休みに入るまでにボクは同級生たちに圧倒的な差をつけることだろう。なにしろ勉強時間だって今よりも…ちょっと待て。それより彼女と過ごす時間を増やしたい。そうすれば藤本君ひとりを残し校内チェリーボーイ2トップからオサラバできる。グッバイ童貞、ハローおとなの世界。今後の展開を想像し鼻息が荒くなったボクは、その勢いのまま高校生男子なら誰でも行うひとり遊びに没入した。
ハッと目が覚め、時計を見る。朝の5時半だった。しまった、ひとり遊びで眠りに落ちたまま6時間も寝てしまった。台所にはなぜか母がいた。かあちゃんおはよう今日は早いね、学校行くまで結構時間あるけどもうメシ作るのか。「今日から二学期?」と母は目を丸くした。まったく呑気な親だ。昨日で夏休みは終わったんだぜ!とテレビをつける。映し出されたのは大相撲中継だった。え? 大相撲?
事態を飲み込むのに20秒ほどかかった。朝ではない。二学期初日から欠席したボクが18時間の深い眠りから目を覚ましたのは夕方5時半だった。
人間の体って本当にすごい。睡眠不足が続けば、絶対どっかで爆睡して取り返すように出来てるんだ。翌日からボクの睡眠は8時間に戻った。
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