作家デビュー10周年を迎えた作家・真梨幸子さん。『殺人鬼フジコの衝動』の大ヒット以来、“イヤミスの女王”との呼び声高い人気ミステリ作家です。しかし真梨ミステリの最大の魅力は、後味の悪さでも、はたまた大どんでん返しでもなく、「女とは何か」という人類最大の謎に迫るミステリであるといっても過言ではありません。女のミステリを書き続けて10年。集大成でもあり最高傑作ともいえる作品が、このたび文庫化!!!その名も『あの女』。4月21日(火)にいよいよ発売を迎えます! 心底嫌いで、目障りで、死んでも負けたくない、女性なら誰もが心の中で飼っている“あの女”を題材にした話題作の魅力を、とことん紹介致します。
第一回目となる今回は、「『あの女』は、こんなあなたにオススメ!」です。以下の項目にドキッとする方、いますか?
●なぜ、女たちは、
“あの女”に囚われてしまうのかーー。
突然ですが、世の女性のみなさまに、うかがいます。
以下の項目、何個当てはまるでしょうか。
□ ついブログやインスタをチェックしてしまう女性がいる。
□ 喋り方ひとつとっても気に障る女性がいる。
□ 子供や夫、彼氏などスペックでは負けたくない女性がいる。
□ 先に結婚されると心がざわつく女性がいる。
□ 先に出産されると更にざわつく女性がいる。
□ 年賀状の住所で生活のレベルを比較してしまう女性がいる。
□ 同窓会で会う時は自分のほうが絶対綺麗でいたいと思う女性がいる。
□ 成功すれば浅ましいと思うし、失敗すればザマミロと思う女性がいる。
□ 仲は良いが心の底では本当は見下してる女性がいる。
あなたはいくつ当てはまりましたでしょうか。
その「女性」はもしかしたら、全部一人の女性かもしれませんし、状況などによって数人いたり都度違ったりするかもしれません。それでも、これらに当てはまる女性……「あの女には絶対負けたくない、心底嫌い、隙あらば蹴落としたい」と思う、“あの女”が一人は必ずいるはずです。
安心してください。あなたは決して嫌な女なんかではありません。
その黒い、どうしようもない感情。それはすべての女性が必ずや心に持っている感情なのです。なぜなら。女性なら誰もが、心のなかで“あの女”を飼っているから。
あなたが、心底嫌い、蹴落としたい、絶対負けたくないと思っている、
——“あの女”は一体誰ですか。
その女を思い浮かべながら読んでいただきたい本が、真梨幸子『あの女』です。
●女のドロドロなんて存在しない。
そこにあるのは、“幸せになりたい”女心。
女のミステリというと、「あ、ドロドロ系ね」と思うのが世の常。
確かに女がいるところに平和なし。みなさんが、心の中で“あの女”と戦うように、女たちはついつい女同士、戦ってしまうのです。しかし―—それをドロドロと片付けてしまうのは、「女」というミステリをまだまだ理解していない証拠。『あの女』に出てくる女たちは、必至で戦ってこそすれ、決してドロドロなんてしていません。ただ女たちは「幸せになりたい」というとっても可愛らしく女性らしい純粋な願いを心に持っているだけなのです。
ただ幸せになりたいだけなのにーーそれだけなのに、つい自分の幸せと誰かの幸せを比較して、ヤキモキし、勝手に必至に戦い、自爆していく。それが、女の戦いというものなのです。その姿は、ドロドロどころかもはや男前。自分の幸せの実現にためなら手段を選ばない女のその潔さは、いっそ爽快なほどです。
後味の嫌なミステリを「イヤミス」とは言いますが、そういった意味で、この小説は、痛快爽快ミステリ。真梨幸子の新しい魅力をたっぷりお楽しみください。