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恋する旅女、世界をゆく ~世界中に友達1000人できるかな~

2015.06.16 公開 ポスト

予約の取れない病院で本格的にシミ・ソバカスを撃退──1日10人の日本人女性が押しかけるフルーツ酸ピーリング(後編)〜『恋する旅女、美容大国タイ・バンコクにいく!』より〜小林希(旅作家)

恋する旅女・小林希の新刊『恋する旅女、美容大国タイ・バンコクにいく!』 の発売を記念して、書籍の一部を本日より7日間連続で特別公開します。旅女が体験したタイの病院でフルーツ酸ピーリングの結果はいかに!

 フルーツ酸の施術を受けながら、そんな記憶が甦って、私は楽々フルーツ酸のパンチを受け止めることができた。
 施術が終わった後も、ぶるるるると回り続ける扇風機を渡されて、しばらく自分で顔に風をあてなくてはならない。そうしながら、今度はクリナの施術を見学する。
 原液が彼女のソバカスにちょこちょことつけられる。
 やはり1秒後、「痛い、痛い!」と彼女も騒ぎ始めた。眉間にシワの入った顔面に、先生はせっせと原液をつけ続けた。彼女も必死でフルーツ酸パンチを受け止めているところだろう。がんばるのだ、美の道は忍耐とともにあり。
 施術後、二人とも卓上用の扇風機を顔にあてながら、先生の話を聞く。まず、フルーツ酸をつけたシミ・ソバカスがどんどん黒くなってくるという。それで焦ったり、触ったりしてはダメ。7日のうちに、シミ・ソバカスが瘡かさ蓋ぶたのようになって、ポロポロと自然にはがれ落ちてくるらしい。それまでは普通に日常生活を送り、化粧もできる。とにかく重要なのは、紫外線に絶対あたらないこと。
 ぶるるるるると回る扇風機のスイッチを切り、「わかりました」と返事をして施術室をでた。 

 帰り、再びトゥクトゥクに乗って家へと向かう。もうすぐ、子供たちが学校から帰ってくるのだ。
 なんだか、たいそうな手術を受けた後のように、ぐったりとして、しかしながら心地よい疲労感に満たされていた。7日後のシミ・ソバカスのなくなった肌が待ち遠しい。
 長男が学校から帰ってきた。
「おかえり~」と言うと、「どうしたの?」と顔を指さして言う。「どうしたの?」の前に「ただいま」でしょ~? と、気になって鏡で自分の顔を覗いてみた。
 ぎゃあああ。
「ク、ク、ク……(リナ)、顔!」
 キッチンで夕飯の準備をしていた彼女は作業の手を止め、二人でお互いの顔をまじまじと見た。
「ひえええええ!!」
 そして、爆笑。なんと、顔にマジックでソバカスを書いたみたいに濃くなってしまっている! しかも、これまでほとんど目立たなかったようなソバカスまでハッキリと濃く。当日でこんな変化があるなんて、驚きでしかない。
「ねえ、このままポロッと取れず、濃くなった状態で止まったらどうする?」
「え……一生、道化師として生きていくかな……」
 爆笑した数秒後、我々は無性に怖くなってしまった。

 多少、いや、だいぶ不安に襲われながらも、ひたすら7日間を待った。変化というと、さらにシミ・ソバカスの色は濃くなり、ほぼホクロのようになって、次第に立体的に浮きでてきた。それがさらに進むと瘡蓋のようになるらしい。
 化粧は大丈夫と先生に言われた通り、毎日化粧はするものの、ファンデーションなんかで隠せるような濃さじゃない。
 何度も心で祈る。
「どうかはがれますように」
 7日が経った朝、顔を洗うと、ポロポロッと顔から瘡蓋が落ちた。待ちに待った、その日が来た! ところが一度にすべてがはがれ落ちるわけではないらしい。引き続き「取れますように……」という祈りは続く。
 10日ほどで、目に見える程度のソバカスが綺麗になくなった。毎日の祈りが天に届いた。神様、ありがとう!
 マジックで塗った道化師のソバカスは消え、シミ・ソバカスのない綺麗な肌へと生まれ変わった。
 とはいえ、よーく見ると、まだまだ性悪なソバカスはいくつか残ったままだ。たしか先生が、完璧にすべてを取るにはやはりレーザーで取るべきだし、フルーツ酸も1ヶ月に一度の施術をしばらく続けない限り、本当のソバカスのない顔にはなれないと言っていた。
 というのも、一度紫外線を受けた色素は、またソバカスを作りやすい状態になってしまっているそうだ。だから、何度も続けないと、紫外線によってまた同じ場所にソバカスはできてしまう。
 やはり、美への道のりはそう簡単にはいかぬ。けれど、一発での効果と、3000円という費用を考えると、かなり満足な旅女なのであった。

 ちなみに、サミティヴェート病院では、フルーツ酸ピーリングだけでなくて、レーザー治療によるシミ取りや顔のたるみをリフトアップさせるダーマリフト、酸素を肌の奥まで浸透させるオキシーライフ、ボトックスなどなど、さまざまな美容治療が整っている。いろいろやってみたいが、そう、焦る必要はない。いずれ、嫌でもすべてに挑戦する日はやってくるのだから……。

(試し読み公開終わりです。続きは書籍でお楽しみください・『恋する旅女、美容大国タイ・バンコクにいく!』より)


「幻冬舎plus」での記事公開予定
6月10日(水)はじめに
6月11日(木)「美」への道はタイ航空から始まる(前編)
6月12日(金)「美」への道はタイ航空から始まる(後編)
6月13日(土)カサカサな肌をひと剥き、さようならオス肌(前編)
6月14日(日)カサカサな肌をひと剥き、さようならオス肌(後編)
6月15日(月)予約の取れない病院で本格的にシミ・ソバカスを撃退 (前編)
6月16日(火)予約の取れない病院で本格的にシミ・ソバカスを撃退(後編)

作品情報
書籍は6月10日より全国主要書店およびネット書店で発売しました。さらに電子書籍も同時に発売。なお電子版は著者が帰国後に追加取材をして執筆した 「"タイ国際航空"の現役日本人キャビンアテンダント(CA)の皆さんに聞いた美の秘訣」を電子版限定特典として収録!  どちらも要チェックです!

恋する旅女、美容大国タイ・バンコクにいく! / 小林希(著) 
→アマゾンで買う(書籍版)


恋する旅女、美容大国タイ・バンコクにいく!【電子版限定特典付き】/ 小林希(著)
→アマゾンKindleで買う(電子書籍版)
 


�目次
はじめに


第一章 「旅でオス化したあれこれ、美(オンナ)を取り戻せ!」 

・「美」への道は、タイ国際航空から始まる――機内からタイがスタート! 女心と旅心を満たしてくれる美しい始まり
・カサカサな肌をひと剥き、さようならオス肌——駐在員妻の流行のシミ取りクリームで肌ピーリング
・予約の取れない病院で本格的にシミ・ソバカスを撃退―−1日10人の日本人女性が押しかけるフルーツ酸ピーリング
・見た目が悪いほど、効果絶大なかっさマッサージ―—滞った体の血液を流して全身のくすみと疲れを取る
・体にこびりついた強情なセルライトを除去ーー不思議なマッサージ屋で、脂肪とともに体についたアレも取って、スッキリスリムに!?
・脱・おばさんの一歩として化粧を見直すーータイのプチプラコスメとタイ美人のメイクに学ぶ
・クーパーを守れ!――オス化による女性ホルモン減少で、バストがしぼむ&垂れるのを食い止める
・女性らしい身のこなしレッスンーーミススカート美女に習う、バイクタクシーを白馬に見せる乗り方
・旅先で、イケイケのファッショニスタになるーープチプラファッションで着てみたい服をとことん挑戦する
・美人は「保湿」で作られる——タイの美女達に直接聞いた、美しい肌になるためにしているすべて

第二章 「旅でもっと綺麗になる!」

・人生初のオートクチュール―—布選び、身体測定、デザイン……私だけの服を作って姫になる
・ボディジュエリーで輝く―—ブロンズ肌にタトゥ気分で、ワイルドでかっこいい女を気どろう
・爪先から女子度をあげる——ネイルはゲイにお任せあれ。ついでに見習うべきあれこれ
・パワーストーンを作って柔らかく素直な女になる―—駐在妻御用達のヤニンさんによるスピリチュアル鑑定
・美味しい屋台料理は美の宝庫―—地元のイケメンとの交流で胸きゅん、気づけばおかわり3皿目
・ムエタイを観戦&体験レッスン―—トキメキながらストレス発散して引き締まった体になる
・絶叫から始めるタイ料理教室——美容によいタイ食材を使いこなし、料理のできる女に生まれ変わる

第三章 「旅女が試した美アイテム、嘘なしトーク」

・【フェイスケア】
・【ボディケア】
・【ヘアケア】
・【お役立ちグッズ】
・【食べ物】

おわりに
・女二人のプチ美をめぐる旅 その1ーーチェンマイの豪華ホテルに宿泊、プリンセルツアーで女である喜びを味わう
・女二人のプチ美をめぐる旅 その2ーー占い師マダム・エヌによる壮大な時空旅行と美しい人生について考える

あとがき


電子書籍特別付録 "タイ国際航空"の現役日本人キャビンアテンダント(CA)の皆さんに聞いた美の秘訣(電子書籍のみ)

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恋する旅女、世界をゆく ~世界中に友達1000人できるかな~

29歳で会社を辞めて世界放浪をはじめる。結婚や出産という女のピークを迎える30歳を前に、敢えて旅女(たびじょ)になると決めたのは、自分らしく生きることへの挑戦だったーー。世界で友達1000人を目標に、旅ライター小林希が南米巡りながら出会った人々や場所を紹介する旅日記。

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小林希 旅作家

一九八二年東京生まれ。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。旅をしながらネコの写真を撮り続ける。また、執筆活動の傍ら、瀬戸内海の島にゲストハウスをオープンするなど島おこしに奔走する。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)など多数。現在五十五カ国をめぐる。『デジタルカメラマガジン』(インプレス)で「世界のネコに恋して」を連載中。
◆インスタグラム&ツイッター:nozokoneko

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