「セックスレス、私の場合」　vol.18アラサー女子研究所

 恋愛やセックス特集の取材中に必ず聞こえてくるのが、アラサー女子たちに蔓延するセックスレスについての悩み。パートナーがいるにも関わらずセックスレス状態に陥り、妊活ストレスや女としての自信崩壊など、心や体のバランスを崩してしまうケースも多発している。この連載では、セックスレス当事者やそのパートナー男性への取材をもとに、現代のセックスレスに実態をレポート。アラサー女性たちが抱える知られざるセックス・クライシスに迫ります。

取材＆原稿
楠 真由美

くすのき・まゆみ。恋愛・結婚・セックス企画ひとすじ15年のベテランライター。40才。アラサー女子やメンズへのインタビューは1000人以上。セックスレスが原因で、精神的に追い込まれている女性たちがあまりに多い実態を知り、今回、アラサー・セックスレスについての本格的リサーチを開始した。特技はアラサー女子の人生悩み相談、メンズの本音座談会の司会。仕事ひとすじだったが１年前に運命の出会いから電撃結婚。

アウトドア大好き、ヘルシー美女（29才）の
セックスレス告白 前篇

今回のセックスレスさん
山下陽子さん（仮名）28才。
結婚１年目。埼玉県出身。

●現在、鈴木さんは都内のメーカーにて営業事務を担当。
●紹介で知り合い、交際６ヶ月になる彼（31才）は、都内近郊の市役所に勤務。
●都内にてひとり暮らし中で、彼も同じ沿線上でひとり暮らし。
●趣味は、ドライブ、スポーツ、ハイキングなど、アウトドア派。
●週末は、彼とドライブに行ったり、ハイキングに行ったり、カラダを動かすことが多い。

少し日焼けした肌に爽やかなボブヘア。白シャツにフレアスカートのコーディネートにスニーカーを合わせたヘルシー美人の鈴木さん（仮名）。初カレとのセックスがトラウマとなり、7年間一度もセックスしていないというーー。彼女がセックスに嫌悪感しか抱けなくなってしまった理由とは？

楠（以下：Ｋ） 彼とは付き合ってどれくらい？
鈴木（以下：Ｓ） ちょうど半年経ったくらいですね。
Ｋ じゃ、まだセックスレスじゃないんじゃない？
Ｓ それが、違った意味でのセックスレスとでもいいますか…。実は、まだセックスしてないんです、私たち。
Ｋ そっか！ でもそんなに珍しいことでもないんじゃない？ 半年だからそろそろって感じなのかな？ ちなみに彼は何才？
Ｓ ２つ上で、31才です。
Ｋ 31才の健康的な男性なら、きっとセックスしたいんじゃない？ 
Ｓ そうなんです。でも、ひたすら私が避けている状態でして。私がこうしてセックスレスだって告白しているのは、いま始まったことじゃないからなんです。いまの彼の前に付き合ってた人ともセックスしないまま別れたんですよ。それ以前にも、好きな人に告白されたにもかかわらず、セックスのことを考えて告白を断ったこともありますし。
Ｋ ってことは、バージンってこと？ セックスに嫌悪感があるからしたくないとか？
Ｓ バージンじゃないんです。でも、セックスには嫌悪感しかない。
Ｋ バージンではないってことは、セックスの経験はあるんだよね？一番最初にしたのと、一番最後にしたのはいつ？
Ｓ 最初も最後も同じ人で、大学時代に初めて付き合った彼で、もう７年前です。いま29才なんですけど、大学時代のその彼と卒業と同時に別れてから、７年間もセックスしてないんです。
Ｋ 鈴木さん可愛いし、スタイルもいいし、ぶっちゃけ誘われたことは何度もあるでしょ？ その度に回避してきたの？
Ｓ 好きな人の誘いも、色んな口実をつけて避けてきました。

少し日焼けした肌に爽やかなボブヘア。白いシャツにフレアスカートのコーディネートにスニーカーを合わせたところも、男女ともに好かれそうなことが一見してわかる。健康美そのもので眩しいくらいの鈴木さんに、セックスに対する嫌悪感があるなんて、誰も想像できないだろう。

Ｋ その大学時代の初めて付き合った元カレとのセックスがトラウマになってそうだね。元カレはどんな人？
Ｓ ２つ上で、私が大学3年のときに彼が大学院生で、スポーツサークルで出会ったんです。
Ｋ シチュエーションとしては、よくある感じだよね。鈴木さんにとっては初めての彼氏なんだよね？ 彼は交際歴あった感じ？
Ｓ 私で３人目って言ってました。
Ｋ サークルの先輩だし、彼がリードして交際がスタートした感じ？
Ｓ そうですね。彼の友達と私の友達と数人で仲良くなって、次第に毎日一緒に遊ぶようになって、いつの間にか付き合ってたんです。
Ｋ 男らしくて引っ張っていくようなタイプ？
Ｓ サークルではまさにそんな感じなんですけど、いざ付き合ってみると、私に対してはめっちゃ甘えん坊だったんです。常に何をするにも私と行動したがるし、だんだん私の時間や行動を束縛するようになっていって。
Ｋ なるほどー。女性に依存しちゃうタイプの人だったんだね。
Ｓ そうなんです。スポーツ全般得意だし、サークル内でも目立つ存在で、私もずっと憧れてたので、付き合うことになったときはホントに嬉しかったんですよ。でも、いざ付き合ってみると束縛男。私を自分の思い通りにしないと気が済まないっていう人だった。大学卒業間近になったときに、この人と一緒にいたら私の自由な時間はなくなるなって思って、別れを決意したんです。
Ｋ そうゆうタイプだと、別れるのも大変そう。
Ｓ 何回話し合っても納得してくれなかったですね。家で話してると疲れて寝てしまうので、最終的に公園に呼び出してギャアギャア泣きながら説得したんです。
Ｋ でもさ、大学３年から卒業までだから約２年も付き合ってたんだよね？ 好きな部分もあったんでしょ？
Ｓ そうですね。束縛されても好きは好きだったんです。なんせ初めての彼氏だから、男の人ってこうゆうものかなって思ってたし。でも、別れの最大の理由は、彼とのセックスが嫌で嫌でしょうがなくなってしまって…。
Ｋ セックスの嫌悪感はここにつながるんだね。だんだん嫌になっていったの？ それとも最初から違和感とかあったの？
Ｓ セックスも彼が初めてだったので、他の男性と比較することができないんですね。だから、最初はこんなもんだろうって思ってたんです。でも、頭でそう思っていても、感情というか気持ちが抑えきれなくなっていったんです。比較対象がなくても、純粋に嫌だっていう生理的な気持ちって抑えようがないですよね。
Ｋ そうなんだけど、女性って愛情があればたとえ気持ちよくなくても、ココロが満たされる感覚があると思うんだけど、その辺はどう？ 彼のこと、最初は大好きだったじゃない？
Ｓ そうですね。なので、最初の半年くらいは満たされてたと思いますね。特に気持ちよかったワケではないんだけど、彼に求められることや、一緒に抱き合ってることだけで嬉しいじゃないですか。
Ｋ 半年経って、何か嫌悪感を抱きはじめる出来事があったとか？
Ｓ そうなんです。もうとにかく自分勝手の一言に尽きますね。いつしか、私はこの人の性の捌け口なんだなって思うようになっていって。
Ｋ 自分勝手っていうと、鈴木さんの気持ちを考えずに、彼は自分の快楽だけを追求したとか？
Ｓ そうですね。私が未経験で何もわかってないことをいいことに、彼は自分のしたいように命令してくるようになったんです。

サークル内で目立つ存在だった憧れの先輩と、念願叶って付き合うことになった。しかも鈴木さんにとっては記念すべき初カレ。そんな誰もが羨むようなカップルに訪れたセックスの大きな影。この影が闇となって、今もなお鈴木さんの心に立ちふさがっている。一体、それはどんな風にして闇となってしまったのか、次回深く掘り下げます。