ゴールデンウィーク
一家3人になってから初めてのゴールデンウィーク。バタバタと忙しそうな夫の様子から、きっと家でいつもと変わらぬ日々だろうなあ……と半ばあきらめかけていたら、「連休は休みを取るよ~」とのこと。じゃあ、どっかいきたい! としつこくアピールし、そこから急ピッチで旅の手配をすすめ、家族で沖縄旅行へと出かける事になったのです。
実は私にとっては、初沖縄。島めぐりもしたいし、沖縄料理もいろいろ食べまくりたいなあ、なんて期待はいろいろあったけれど、今回はゆっくり休養したいという夫のリクエストと、まだハイハイの息子が一緒ということで、海近くのホテルでゆっくり+那覇観光というコースに。
ということで、いざ沖縄のホテルに行ってみると、子供連れがたくさん。同じくらいの赤ちゃんもいて、ちょっと安心。大人の二人旅とは違って、子供連れとなると気を遣うところもいろいろでてくるので、人出の多い連休ではあるけれど、子供が多くて当たり前のこの時期の方が過ごしやすいのかもしれません。
ホテルでの食事も、赤ちゃんがいるということでシート席を用意してもらい、息子も機嫌良く楽しそう。おかずにカボチャを蒸したものがあったので、すかさずつぶし、お水でちょっとのばせば、即席離乳食に。息子用に瓶詰めの離乳食も用意して行ったのですが、ここではみんなと同じものが食べられました。朝食もビュッフェ形式のもの。そこに、必ずおかゆってあるんですよね。それにバナナをちょっとつぶして入れて、バナナがゆに。
旅先の食事でも、こうやって息子の食べられるものは~? と、探してみると実はけっこうあります。またまた即席離乳食のできあがり。いやいや、ホテルの食事に感謝感謝です。
たっぷり2日間のんびり過ごしたあと、どうしても市場を見たくって那覇へと移動しました。コンクリートの四角い家並みなどを見ていると、沖縄にきているんだなという気分に……。
市場では、豚がずらりと並んでたり、色鮮やかな魚や、南国フルーツなどもたくさん並んでいます。そこで、気になったのが、野菜でも魚でも豚でもなくって、「にんじんしりしり」。乾物屋さんの軒先で、笑顔が素敵なおばちゃんに売られていたこの金物。「これなんですか?」と聞くと、「しりしりよ」と。「えっ? しりしりって?」「炒めるのよ。これでやったら人参2本なんてぺろっと食べられるんだからー」「ん?」こんなやりとりが続いて、どうやらこれはすり卸し器で、すり卸したものの料理のことも≪しりしり≫とよんでいるよう。この形や木と金物でできている佇まい。それに、≪にんじんしりしり≫という響きも気に入って、買ってみることに。帰ってから、言われた通り人参2本をしりしりして、チャンプルー風に卵と炒めてしょうゆと塩で味つけ、すると本当にぺろっと食べちゃえたのでした。
そして、せっかく沖縄に来てるんだからと、ホテルの方に教えてもらった沖縄そばの店にもお出かけ。地元の方にも人気だというお話通り、昼の3時頃でもお店はお客さんでいっぱい。麺は自家製の手打ち麺で、昆布とかつおの出汁が香り、あっさりしていて美味しい。近所にあったら確実に通ってるねえ、何て話しながら、満足な気分になったのでした。
翌日に福岡へ戻る前に、「さ、行くよ!」と夫。どこに行くんだろう……と思いつつ、付いていったら、なんと昨日の沖縄そばの店に! 夫は、如何にしてももう一度食べたかったんだとか。私も、昨日は売り切れだった≪ジューシー≫という炊きこみごはんと、≪フーチーバーそば≫というよもぎ入りのおそばを食べられて、またまた大満足に。「てぃーあんだー」という新都心にあるここのお店、おすすめです。
大人も赤ちゃんも嬉しい朝ごはん
那覇の市場を探検
これで“しりしり”します
左からジューシーとフーチーバーそば。
初節句のお祝い
5月5日はこどもの日。ということで、うちで息子の初節句の簡単なお祝い昼ご飯をすることに。こいのぼりを買ってくれた、夫のお父さんとお母さん、お兄さん、お姉さんも揃ってのお祝いです。
さてさてなにをつくろうか? うーん……と悩むそんなときに必ずリクエストされるのが、ばら寿司(手ごね寿司)。すし飯にしょうゆ漬けにしたお刺身をまぜこんだもの。人が来るときや、そうでなくっても夫の好物でもあるお寿司。今回はお祝い事なので、うに、いくら、サーモンの紅ものを上からのせるタイプに。
他にも、鯛を尾頭付きで蒸して(お食い始めのときの鯛バージョン)、半身はお刺身に。人がたくさんだから、手まり寿司もつくり、春らしく新ごぼうを炊いて山椒みそであえたものに菜の花を添えて。それから湯葉を炊いたもの。
こんなに和食ばかりなのに、ジャガイモのスープが飲みたいという夫のために、ビシソワーズも。お料理が食卓いっぱいに並んだら、まあお祝いなムードにはなったかな。全員で席に着くとちょっときゅうきゅうだけど、それもまた嬉しい感じでした。
おめでとうの乾杯のあとには、お父さんの謡曲のご披露が。それに合わせて、親子3代で同じ杯をかわすといったお祝いの儀。私は初めてだったので、なにが始まるんだろう? とソワソワしながらも、実際に見ると感激でした。こんなお祝い素敵だなあって。自分たちがおじいちゃん、おばあちゃんになったときも、やってあげられたらいいなあと思うのでした。
それと、私がうれしかったのは、お母さんが「おいしいねえ」とお料理を食べてくれていた事。ごぼうはどうやって作っているの? と聞かれ、ちょっと得意げに答えてしまいました。家族、いいものですね。
この日は気持ちのいい快晴で、鯉のぼりもきもちよさげに泳いでいました。
お祝いごとにはやっぱり華やかなお寿司
みんなで食べるごはんが一番おいしい
お稲荷さん
揚げが巻いてあるお稲荷さん。珍しい!
地方それぞれに食べ方や形がちょっとちがうというお稲荷さん。関東は俵型が多いのに対して、関西では三角形、福岡でも三角形のものをよくみかけます。うどん屋さんでは、大抵かしわおにぎりと稲荷寿司がメニューがあって、うどんと一緒に食べている人が多いです。
この間、友人が「ここのお稲荷さんおいしんだよ」と持って来てくれたお稲荷さんは、ただの俵型ではなくって、揚げで包まず、揚げが巻いてある俵型。なかにゴマがはいった酢メシが、甘過ぎない味付けの揚げにくるっと巻かれていて、とっても美味しい。山葵がちょこっと塗ってあってあるのも利いています。
これは家でも出来るかも、と油揚げを買いに行ってみると、板状の油揚げを発見! 「南関あげ」という熊本の名産だそう。水分を抜いたさくさくの油揚げで、保存もききます。袋状の油揚げと同じように甘辛く煮て、少し小振りに握ったすし飯に山葵をぬって巻けばできあがり。これは、うちのお稲荷さんのメニューに追加決定です!
揚げが巻いてあるお稲荷さん。珍しい!
さて、この1年間おつきあい頂きました「うちの食ノート」ですが、今回で最終回となりました。東京から福岡へ移っての新生活をここに綴りながら、各地の食文化の違いのおもしろさや、家ご飯のおもしろさを改めて感じています。自分のための、食ノートはこれからも綴っていこうと思っています。
ご愛読いただきまして、ありがとうございました。
今回のおすそわけレシピ≪手ごね寿司≫
材料
お刺身:適量(好きなお刺身を適量。2、3人分のお刺身盛りで十分できます)
a(しょうゆ:大さじ1と1/2 みりん:大さじ1と1/2)
<酢メシ>
米:3合
水:540cc
昆布:10cm長さ1枚
b(米酢:大さじ4 砂糖:大さじ4 塩:小さじ2)
レンコン:4cm長さくらい
しょうが:ひとかけ
胡麻:大さじ2
のり:適宜
作り方
1)米はといで水気をきり、鍋に入れて、昆布、水を加え30分吸水させて中火にかけ、沸騰したら弱火にして12分火をとめて10分むらす。(炊飯器の場合は普通に炊く)
2)レンコンは皮をむき薄切りに切り、4等分にきっていちょうぎりにする。しょうがはせんぎりにする。
3)まぜあわせたaにさしみを漬け(10分ほど)、食べやすい大きさに切る。
4)ボールにbを入れ、2を加え電子レンジに1分半かける。
5)ご飯が熱いうちに4をまわしいれ、あおぎながら切るように混ぜる。
6)あら熱がとれたら、3、胡麻を加えまぜあわせる。
7)器に盛り、いくらなどがあったらのせ、海苔をのせる。
☆お祝いの時など、うに、サーモン,いくらを上からのせると華やかになります。
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うちの食ノート
フードコーディネーターとして活躍する広沢京子さんの新連載、「うちの食ノート」が始まります!住みなれた東京を離れ、九州の福岡へと嫁ぐことになった広沢さん。食の宝庫・福岡での新生活は発見の毎日で、その食文化に好奇心が止まりません。やがて“うちの味”である日々の食卓にも様々な変化が……。広沢家の食にまつわるおいしい話を綴ったノートをぜひ開いてみてください。みなさんへのお裾分けレシピもお楽しみに!
※本連載は旧Webサイト(Webマガジン幻冬舎)からの移行コンテンツです。幻冬舎plusでは2010/05/15のみの掲載となっております。
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