【選評】
何が重要なのかを再確認する時期にきているかもしれないと思った選考会でした。自分はいったい誰に向けて何を作っていくのか、再度見直してみると良いかもしれません。ここ最近は、流行に乗ったイラストや、誰かに似ている作品ばかりが増えているように思います。 「次は誰のイラストを真似しよう?」「いま売れている人って誰?」と、これから描いていくべき新たな方向性を模索している人もいるかと思いますが、まずは「自分が何を描きたいか」を考え、次に「描きたいものを描いて、継続的に仕事ができるイラスト表現ができているか?」を自問自答し、自分のスタイルを再確認しながらイラストを構築していくべき時期だと思います。「いったい自分の描いているイラストはなんなんだ?」と……。疑いながら、探りながら、新たなる何かを見つけてください。
(アートディレクター 松 昭教)
「デッサンが大切!」イラストレーターを志す人が一度は聞いたことがある言葉だと思います。なぜ大切なのか、考えたことがありますか? 以前、某作家の作業風景を拝見した時、たったひとつのペンタブレットで肌、布、鉄……あらゆるモチーフを描きあげていくさまに衝撃を受けました。「どうして色々な種類のモチーフをペンツールだけで描き分けられるのですか?」不躾に質問させて頂いたところ、答えは「デッサン」。ものを見る時、鉛筆ならどう表現するか想像すること、そしてデッサンの訓練を重ねること。素材の違いをスミ一色で描き分けられれば表現の幅が広がる、そのようなことを仰っていました。応募作を見ていると、デッサンをおろそかにしている人が多いように思えます。まずは基盤を固めること。礎あってこそ、初めて独自の表現が成り立つのだと思います。
(幻冬舎デザイン室 室長 平川 彰)
何度かここに書いているように、第一次選考は、大会議室に応募作品をすべて並べて、そこから各選考員が気になる作品をピックアップします。第二次選考に進むのは、毎回、多くても15人程度。さて今回は……と並んだ作品の隙間を歩き回ってみたものの、なぜか一作も選べないまま。「今回は初の大賞ナシかなぁ」なんて呟きも聞こえてきて焦りました。「次号から表紙イラストはどうすんだ!?」と。比較的バラエティに富んだ大賞受賞者を生み出してきた本コンペですから、応募すべき作品の傾向が読み切れず、みなさん迷ってしまったのでしょうか。まあ、傾向はないのですけれど。なにしろ、書籍のカバーをデザインするための、過去に見たこともないイラストを探しています。Uuumiさんの作品は物語があって、今っぽくて、良かったです。
(「PONTOON」編集長 茅原秀行)
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