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生きた宝石・甲虫の世界へようこそ!

2015.08.23 公開 ポスト

第9回

講演内容の一部をご紹介!丸山宗利先生の昆虫イベントレポート丸山宗利(九州大学総合研究博物館 准教授)

まるで銀細工のようなプラチナコガネ、日本の伝統紋様さながらに多様な柄のカタゾウムシ、虹色の輝きが美しいアトバゴミムシ……。
 甲虫の中でもとくに金属光沢が美しいもの、珍しい模様を背負っているもの、色合いが芸術的なものを厳選して紹介する写真集『きらめく甲虫』(丸山宗利・著)が刊行になりました。
 ここでは刊行を記念して、『きらめく甲虫』がもっと楽しめる情報を紹介いたします。


 去る2015年8月8日(土)ジュンク堂書店福岡店にて、丸山宗利先生の新刊発売記念トークイベントが開催されました。また、福岡では丸山先生の所属する九州大学総合研究博物館で「きらめく甲虫展」が開催中(~2015年9月25日)です。今回は暑い福岡の中でもひときわ熱い、2つの昆虫イベントの模様をお伝えします。


丸山宗利先生トークイベント@ジュンク堂書店福岡店
このイベントは『きらめく甲虫』と、丸山先生の新刊『アリのくらしに大接近』『アリの巣のお客さん』(あかね書房刊)の3冊の発売を記念したイベントです。

書店1階で大きく展開中の『きらめく甲虫』『アリのくらしに大接近』『アリの巣のお客さん』を発見

講演の題は「きれいな甲虫 おもしろい昆虫」。7月に東京の池袋で開催されたイベントのときも感じたのですが、今回も女性のお客様が多くいらっしゃったのが印象的でした。そして夏休み真っ只中ということもあるのか、小学生ぐらいのお客様が保護者の方と来てくれているのも見かけました。

気温35℃の酷暑のなか来場されたお客様からの、期待のこもった熱い眼差しを受け止めつつ、にこやかに話し始める丸山先生

 以下、講演内容をちょこっとご紹介します。

・昆虫標本は干し椎茸と同じで、水やお湯に浸けると戻すことができる。すると関節が動くようになるので、きれいに展足(脚の位置を整えること)することが可能になる。

・ふつう、きれいな甲虫は南に行くほど多くなるのに、オサムシはなぜか北に行くほどきれいなものが見つかる。

・ペルーのある地域では、針で攻撃する性質のアリをたくさん袋に入れて、そこに手を入れて刺されるのをひたすら我慢するという、大人になるための儀式がある。「ぼくだったらそこまでして大人になりたくない……」と丸山先生。

・熱帯の森はどんどん伐採され、そこにヤシが植えられている。そうして得たヤシ油は日本でも多く消費されているが、それによって数え切れないほどの昆虫の住処が奪われていることも知ってほしい。

 昆虫標本が干し椎茸と同じ、という話題には会場からどよめきが!
 続いて質疑応答からいくつかご紹介します。

Q. 標本を水に浸けて戻したら、色が変わってしまうんじゃないですか?

A. バッタやセミだと変わることもありますが、甲虫はほとんど変わらないです。水よりも、直射日光に当たるのがあまりよくないので気をつけましょう。

Q. どうしてアリの姿を真似する虫がいるんですか?
A. それは鳥がアリを嫌いで食べないからです。熱帯の大部分のアリは毒針を持っていて、ハチと同じように危ないので鳥は嫌がります。さらに、アリは集団で攻撃してきて凶暴です。だから他の虫はアリのふりをするのです。

Q. 丸山先生は海外でよくマダニに刺されるそうですが、刺されたときはどうしたらいいでしょうか?
A. 病院に行ってもマダニに対処したことのあるお医者さんは少ないので、やたらと肌を切られます。経験から言うと自分ですぐに取った方がいいと思います。先のごく鋭いピンセットでダニの口の横から挟み、ピッとひっぱります。このとき普通の毛抜きを使うのはだめです。接地面が広いのでダニのくちばしにあるウイルスを体内に残してしまうことがあります。他には、ヴァセリンを塗って窒息させる方法も有効です。

Q. 『きらめく甲虫』に載せたかった甲虫は他にもいますか?
A. いい標本が手に入らなくて載せられなかったのがブローチハムシとハンミョウです。この2つを載せられなかったのはちょっと心残りです。


 日本のアリを見ていると危険な昆虫という印象はあまりないですが、世界を見渡すと、アリは獰猛な生き物なんですね……。
 その後、丸山先生のサイン会を経て盛況のうちにイベントは終了しました。酷暑の中ご来場くださった皆様、完璧に準備を整えてくださった書店の皆様、そして丸山先生、ありがとうございました!

 

きらめく甲虫展@九州大学総合研究博物館
 博多駅から電車で15分、箱崎九大前駅で下車してすぐのところに九州大学箱崎キャンパスがあります。その中にある九州大学総合研究博物館で開催中の「きらめく甲虫展」に潜入してきました! 博物館の入り口ではキンギンコガネのポスターがお出迎えしてくれます。

九州大学総合研究博物館。昆虫標本の所蔵数はなんと400万点を超す

案内に沿って歩いてゆくと次々と甲虫ポスターが現れる
会場を案内してくれる丸山先生(逆光ですみません!)

 会場では、幅80センチほどの大きなパネルに1匹ずつ大写しになった、迫力満点の甲虫が楽しめるとともに、きらめく甲虫たちの美しい標本が展示されています。

実際は45ミリほどの大きさであるイボカブリモドキが巨大パネルになって登場。それぞれのパネルにひとこと言葉が添えられていて楽しい
ホウセキゾウムシのなかま。ターコイズブルーのもの、渋い和柄のもの……同じ形なのに色や柄はさまざま
タマムシのなかま。ずんぐりした形のフトタマムシや、白地が金属光沢を引き立てるルリタマムシが並んでいる
美しく飾られたプラチナコガネのなかま。いつまでも眺めていたくなる魔性の輝き

 展示の一部のみ紹介しましたが、その他にも生きたオサムシが観察できたり、『きらめく甲虫』の刷り出しが見られたりと見ごたえたっぷり! ぜひ会期中にお立ち寄りください

特別展示「きらめく甲虫」
会場:九州大学箱崎キャンパス 総合研究博物館 常設展示室
期間: 2015年7月6日(月)~9月25日(金)
時間:9:00~17:00 休館:土曜・日曜・祝日 (7/25(土)〜8/30(日)の土日は開館)
入場無料
■お問い合わせは下記へお願いいたします。
九州大学総合研究博物館 事務室 TEL 092-642-4252
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/event/index.html#beetles


 

 

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生きた宝石・甲虫の世界へようこそ!

まるで銀細工のようなプラチナコガネ、日本の伝統紋様さながらに多様な柄のカタゾウムシ、虹色の輝きが美しいアトバゴミムシ……。
甲虫の中でもとくに金属光沢が美しいもの、珍しい模様を背負っているもの、色合いが芸術的なものを厳選して紹介する写真集『きらめく甲虫』(丸山宗利・著)が刊行になりました。
ここでは刊行を記念して、『きらめく甲虫』がもっと楽しめる情報を紹介いたします。

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丸山宗利 九州大学総合研究博物館 准教授

1974年生まれ、東京都出身。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)研究員を経て2008年より九州大学総合研究博物館助教、17年より准教授。アリやシロアリと共生する昆虫を専門とし、アジアにおけるその第一人者。昆虫の面白さや美しさを多くの人に伝えようと、メディアやSNSで情報発信している。最新刊『アリの巣をめぐる冒険』のほか『昆虫学者、奇跡の図鑑を作る』『とんでもない甲虫』『ツノゼミ ありえない虫』『きらめく甲虫』『カラー版 昆虫こわい』『昆虫はすごい』など著書多数。『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』『角川の集める図鑑 GET! 昆虫』など多くの図鑑の監修を務める。

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