裏社会、ダークヒーロー、男たちの嫉妬や人間の欲望など”ダーク”な魅力に溢れた『キングダム』(新野剛志著)を、広告でいかに読者の方々に届けるか。全五段広告ともなると、あれこれ入れたくなるのですが、ポイントを絞ってネームを決めていきます。数行を入れ替えるだけでも神経を使う新聞広告。微妙な差異をお楽しみください。
①『キングダム』の世界感を伝える。
メインメッセージを中心に、登場人物の台詞を紹介。世界感、物語の中での人間関係、登場人物の欲望などをわかりやすくしました。また、帯では紹介できなかった、本作の魅力のひとつである”女たち”の存在も紹介。男たちの狂気に巻き込まれ利用され、その中でも自分の人生を生きようとする女性の存在を少しだけ感じられるようにしました。
②登場人物のキャラクターで物語を伝える。
登場人物の台詞をより性格や立場、憤りが伝わりやすいものに変更し、物語の躍動感を伝えるようにしました。真嶋の男としてのプライドを感じられるように「俺はお前を殺す。手打ちはありえない」を変更。同級生の岸川は真嶋への嫉妬を更にわかりやすく「男の勝負はそんなところで決まらない」という決意に変更。真嶋が戦うことになる暴力団、夷能会の若頭・松中は、武蔵野連合との戦いの発端になった事件を匂わす「上納金、六割に上げる」に変更。女子高生の月子は女性としての渇望や狂気がよりわかるように、「欲しいーー」という台詞に変更。それぞれのキャラクターをより具体的に伝えられるように、物語の躍動感を更に伝えられるようにという意図でした。
③一気読みの物語の躍動感と面白さを伝える。
あらすじを追加し、次々と展開する事件の流れを伝え、よりエンターテインメント小説としての面白さを伝えるようにしました。発売から一週間。既に本を購入して読んでくださった方々からのリアルな反応が届き始めました。「息つく暇のない物語展開がたまらない」「暴力団に立ち向かうところに惚れる」などの具体的な感想から、読者にとって魅力的に見える要素を抽出し、武蔵野連合と暴力団の関係、男同士の戦いなどが想像できるような具体的なあらすじを追加することしました。真嶋とは何者なのか、どんな仕事をして、どうしてヤクザと戦うことになったのか。その物語に引き込まれるのではーーという狙いでした。