「金の星社」といえば、大正8(1919年)に創業され、現在もつづく老舗の児童書の出版社です。創業と同時に刊行されはじめた童話雑誌「金の船」(のちに「金の星」)は、野口雨情の数多い名作童謡の発表の舞台となりました。また、戦後は、童話『かわいそうなぞう』や高木敏子の『ガラスのうさぎ』など、太平洋戦争下の東京での戦禍を語るすぐれた作品を世に問うた出版社として知られています。その金の星社が「創業95周年記念出版」と銘打って(100でなく95という年数はちょっと中途半端な気もしますが)、「シリーズ 漫画家たちの戦争」(全6巻、中野晴行指導・監修)という企画セットを発表しました。
これは、少年少女向けの日本戦後マンガのなかから戦争を扱った秀作を選んで編んだ、総計1700ページ以上にのぼる5巻のアンソロジーです(残りの1巻は、昭和の戦争および戦争マンガの解説、記録写真や年表を収めた「別巻資料」になっています)。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
マンガだけでも、いいかもしれない。の記事をもっと読む
マンガだけでも、いいかもしれない。
いまやマンガは教養だ――。国内外問わず豊穣なる沃野をさらに掘り起こす唯一無二のマンガ時事評論。
※本連載は雑誌「星星峡」からの移行コンテンツです。幻冬舎plusでは2011/04/01から2014/04/17までの掲載となっております。
- バックナンバー
-
- 「大島弓子――失われた性を超えて」序論福...
- 世界の全マンガ史を通じて最高峰『リトル・...
- 生誕60周年のゴジラ論変容
- 「男になりたい」という根源的欲望小林まこ...
- 2014年の邦訳刊行されたフランス・マン...
- 「国境なき医師団」を描いた戦闘なき戦争の...
- 手塚治虫文化賞選考会での白熱論争から、2...
- 「マンガとは何か?」に答えた繊細なる知的...
- 吉沢潤一とは何者か?このデタラメな展開、...
- 2つの「マンガベスト10」から思うこと—...
- 陶然とせよ! 空間変容の魔術ペータース&...
- 記憶の迷宮―ルーヴルを流れる時間マチュー...
- 2011年のマンガ・ベストテン│スタンダ...
- マンガを超えた!? 多彩なユーロマンガの...
- 没後22年、甦る手塚治虫「赤本時代」の情...
- ウェルメイドな8作品岡崎京子『森』、高橋...
- 絶対に神の姿を描く―いがらしみきおの決意...
- No.1は本当に日本か!?日本人が知らな...
- 描くべきことがない│緻密で高度な作画技術...
- 第20回手塚治虫文化賞選考現場から村上も...
- もっと見る