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超魔球スッポぬけ!

2006.12.15 公開 ポスト

第29回

ひとまず最終回朱川湊人

 こんにちは、シュカワです!
 2006年も残り二週間ほどになりました。『歳月人を待たないぜ』とは、よく言ったものです。みなさん、今年はどんな年でしたか。
 ちょうど今頃の時期から一年のまとめ的な特集が雑誌やテレビで組まれるようになりますが、世間的にはいろいろありましたね。ワタシにはお隣の国がミサイル飛ばしたり核実験したりしたのが一番ショックでしたが、それ以外にも毎日毎日、悲喜こもごもの出来事がありました。
 どうも人間は悲劇の方が記憶に深く残るらしく、じっくり考えてみるとコワイことの方が多かったような気がしますが、そう思うと、とりあえず今日まで無事に生き残れてラッキーでしたね――ワタシにしても、これを読んでいるアナタにしても。
 来年も、とりあえず命だけはなくさずに、できれば少しずつ上向きに、明るく生きていきたいものです。

 さて、この連載も今回が最終回。
 思えば一年と少し、幻冬舎ウェブマガジンの貴重なスペースをお借りして、おバカな話ばかりしてきました。原則的に一ヶ月2回の更新でしたが、原稿の遅いワタシは、そのたびに担当編集S氏や文章校正の方、ウェブ担当の方など、もろもろの関係者にご迷惑をかけてしまいました。おそらく、みなさんの『怨みリスト』に名前を書き込まれてしまっていると思いますが、今となっては楽しい思い出として笑って許していただければと思います。別に楽しくないですか。そうですか。
 最後くらい、何かグッと来る話をしたいものだ……とも思いますが、もともと人間が高級にできていないので、あんまりカッコいいコトも言えないのでした。特に前回でトンデモナイ話をしてしまったために(周囲の人間の食いつき方がすごかったです)、急にマジメな話というのもねぇ。
 もともと、この『超魔球スッポぬけ』は、とにかく面白おかしい読み物にしよう……という意図で始めた連載でした。
 リアルなワタシを知っている方は実感できることと思いますが、はっきり言ってワタシはおしゃべりです。前にも書いたように、マイクを向けられてのスピーチなどは苦手なのですが、雑談は大好きで、止められなければ、いつまでもしゃべります。特に得意なオタク話などは、相手があからさまにウンザリしてもやめません。しかも、やはり大阪人の血なのか、どんな話にでもボケたりオチをつけたりしなくっちゃ気が済まないのでした。
 そのくせ書いている物語はグロかったり暗かったりですから、その落差が編集担当氏には面白かったのでしょう、『一回に一度は必ず笑わせる』という条件で、このページの連載の話をいただきました。毎回、話題を選ぶまでが大変でしたが、決まってしまえばストレスなく、むしろ楽しく書けました。それでもギリギリまで遅くなっているんですから、困ったものですよね。
 ちょっと散漫な話ばかりし過ぎた気もしていますが、今現在のワタシの頭の中身をそのまま出した(うわっ、今、コワイこと想像しちゃった)というコトで、ナットクしていただければ幸いです。またの機会があれば、さらに突っ込んだ話もしてみたいのですが、サテどうでしょう。
 連載は今回で終わりですが、もちろんワタシはずっと物語を書いていきますので、書店でお目に止まった時は、よろしくお願いいたします。次に出るのは『空をみろ』(祥伝社)という長編小説、その次は『いっぺんさん』(実業之日本社)という短編集になるかと思います。それ以降も決まっていますので、オタノシミに。
 また、以前にも触れた『ウルトラマンメビウス』ですが、脚本を書かせていただいた二作品が、一月に放送されます。
両作品とも監督は小中和哉氏で、一本は一月十三日、「無敵のママ」というタイトルです。かなりドタバタ要素の強い作品で、ヒロインのサユリ役を美保純さんに演じていただきました。六人の子供のお母さんという役どころですが、美保さんの明るい笑顔はイメージピッタリです。もう一本は翌週の一月二十日で、「ひとりの楽園」というタイトルです。打って変わってホラータッチの話ですが、小中氏が叙情豊かに撮ってくださいました。ヒロイン役の仲里依紗さん(劇場アニメ『時をかける少女』の声でおなじみ)の繊細な演技にも注目です。ぜひ、ご覧になってみてくださいね。

 では、これにて――お別れでございます。
 くれぐれもお体には気をつけて、楽しい毎日を過ごしてください。みなさんの年末年始が、すてきなものでありますように。

〔担当編集S氏、登場〕
「いやぁ、シュカワさん、お疲れサマでした」
「Sさんもお疲れサマでした」

「さすがに少し、こみ上げて来るものがありますね」
「二日酔いですか?吐いちゃった方がいいですよ」
「じゃあ、ちょっと失礼して……って、そうじゃないでしょ」
「痛っ!肩ぶったね」
「ぶってませんよ。今のはツッコミです」
「ぶったらブタによく似てるぅ」
「失礼な!似てませんよ。むしろ痩せ過ぎてるくらいです」
「じゃあ、ぶったらブッダによく似てるぅ」
「パンチパーマもかけてませんよ!それに、それは不謹慎でしょ」
「じゃあ、ぶったらブエノスアイレスによく似てるぅ」
「もうワケわかんないっすよ!このヒト、ホントに大人なのかな」
「年が明けたら44歳ですが、何か?」
「うわぁ、何かイタい」

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超魔球スッポぬけ!

新直木賞作家が徒然なるままに綴った、世の中のいろんなことを、みなさんと一緒に笑い飛ばして行こう……と言う趣旨のエッセイです。考えようによっては「人生を考える」というコトにも通ずるかもしれませんが、全然通じない場合もありえます。何回続くか現時点ではまったく読めませんが、よろしくお付き合いください。

※本連載は旧Webサイト(Webマガジン幻冬舎)からの移行コンテンツです。幻冬舎plusでは2006/12/15のみの掲載となっております。

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朱川湊人

1963年1月7日大阪府大阪市生まれ。81年東京都立淵江高等学校卒業。86年慶応義塾大学文学部国文学科卒業。出版社勤務を経て文筆業に。平成14年「フクロウ男」(『都市伝説セピア』文藝春秋刊=第130回直木賞候補所収)で第41回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。平成15年には「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞、平成17年に「花まんま」で第133回直木賞を受賞した。他の著書に『さよならの空』(角川書店)、『かたみ歌』(新潮社)がある。

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