最近、よく聞く「軽減税率」という単語。消費税を10%へ増税しつつ、特定の品目においては税率を低く定めようという施策だ。一見、消費者にやさしい制度のように思われているが、果たしてそんな単純な話なのだろうか? エコノミストで明治大学准教授の飯田泰之さんに「軽減税率」のホントのところを聞いてみた。
◆専門家の誰もが反対する「軽減税率」
「経済学者の意見が一致している問題ほど、世論の支持は得られない」という経験則がある。その典型的な事例が現在話題になっている軽減税率問題だ。私は、軽減税率(消費税率を品目毎に変える施策)の導入に賛成だという経済学者に会ったことがない。政治力学上やむを得ない妥協だという人はいるが、少なくとも積極的に賛成している専門家はいない。その一方で、日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査では74%が軽減税率を必要だと回答している。
そもそも軽減税率の何が問題なのか. 財政学、政治学、再分配の3つの観点から軽減税率の問題点を整理するとともに、公共財としての経済政策について考えよう。
軽減税率に多くの経済学者、なかでも財政学の専門家が反対する第一の理由は、公平・簡素・中立という税制の大原則からあまりにもかけ離れているから――というものになる。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
あのニュースのホントのところの記事をもっと読む
あのニュースのホントのところ
- バックナンバー
-
- トランプ大統領にも「苦悩」がある
- カショギ氏暗殺、サウジ指導部はアメリカの...
- メルケルが見失っていた国民の「本音」
- 対中強硬姿勢は、中間選挙狙いのトランプの...
- 米朝首脳会談、「体制保証」をめぐる大いな...
- 世界中に核兵器が拡散する地獄絵図を食い止...
- 「対話」は北の時間稼ぎと「食い逃げ外交」...
- 北朝鮮危機、始まりは何だったのか?
- 北朝鮮VS.アメリカ、最も早いXデーは年...
- NHK朝ドラセオリーを無視した『ひよっこ...
- トランプ大統領支持率36%は危険水域では...
- 今後の国会審議、チェックするポイントはこ...
- これで決まっていいの? 共謀罪法案、3つ...
- そもそも「共謀罪」は必要なのか?
- トランプ大統領の「本音むき出し」の精神構...
- 憲法改正が現実味を帯びる今、なぜ「日本会...
- 不倫する有名人に激怒りする世間の心理
- ドイツ人教授が、E・トッドらのドイツ脅威...
- 「おそ松さん」の爆発的ヒット、3つの理由
- 「優等生ドイツ」という虚像
- もっと見る