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あのニュースのホントのところ

2015.10.29 公開 ポスト

第1回 「軽減税率」のこと、ちゃんと知っていますか?

「軽減税率」は、実は低所得者支援策ではない!飯田泰之

最近、よく聞く「軽減税率」という単語。消費税を10%へ増税しつつ、特定の品目においては税率を低く定めようという施策だ。一見、消費者にやさしい制度のように思われているが、果たしてそんな単純な話なのだろうか? エコノミストで明治大学准教授の飯田泰之さんに「軽減税率」のホントのところを聞いてみた。

◆専門家の誰もが反対する「軽減税率」

「経済学者の意見が一致している問題ほど、世論の支持は得られない」という経験則がある。その典型的な事例が現在話題になっている軽減税率問題だ。私は、軽減税率(消費税率を品目毎に変える施策)の導入に賛成だという経済学者に会ったことがない。政治力学上やむを得ない妥協だという人はいるが、少なくとも積極的に賛成している専門家はいない。その一方で、日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査では74%が軽減税率を必要だと回答している。

 そもそも軽減税率の何が問題なのか. 財政学、政治学、再分配の3つの観点から軽減税率の問題点を整理するとともに、公共財としての経済政策について考えよう。

軽減税率に多くの経済学者、なかでも財政学の専門家が反対する第一の理由は、公平・簡素・中立という税制の大原則からあまりにもかけ離れているから――というものになる。

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飯田泰之

1975年東京生まれ。エコノミスト、明治大学准教授、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。

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