現地時間の11月13日夜、パリで起きた同時多発テロのニュースが世界を震撼させました。犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。
国際政治学者で中東問題の第一人者である高橋和夫さん(放送大学教授)が、『イスラム国の野望』を刊行したのは、今年1月。パリでイスラム過激派による連続テロ事件が起きた直後でした。本の「はじめに」で高橋さんは、「イスラムと中東問題は、今後とも世界情勢を左右するでしょう」と述べていますが、2015年は、まさに世界中が、イスラム過激派の脅威にさらされた1年となりました。
今回の事件をどう理解すべきなのか。今後、どんな点に着目して、事態の推移を見ていくべきなのか。11月15日の午後、高橋さんにインタビューお話をうかがいました。
■導かれる不幸な結論
今回の同時多発テロで、フランスのオランド大統領はいちはやく「イスラム国」(IS)の犯行であると断定し、「イスラム国」側も犯行声明を出しました。私も犯人は「イスラム国」と考えてよいと思います。
今年1月のシャルリー・エブド襲撃事件の直後に刊行した著書『イスラム国の野望』で、「テロリストたちが、アルカーイダを名乗って、勝手連的に動いたのではないか。今後も国内にいる過激派の勝手連的なテロを防ぐのは難しいでしょう」と書きました。しかし、今回は一匹オオカミ的なテロではなく、同時多発、非常に大規模で組織だって行われていることから、「イスラム国」本体もしくは支部の主導によるものだろうと考えます。
これまで「イスラム国」は、基本的に自分の支配地域以外では大規模なテロを行ってきませんでした。今回の事件はその意味では例外です。先日のロシア機墜落事件でも犯行声明を出しており、これも例外とすると、イスラム国の戦術が変わったと考えるべきです。
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