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沖縄陸軍病院南風原壕を“奇跡の戦跡”にした男たち

2015.12.23 公開 ポスト

第1回

日本初の戦争遺跡文化財は沖縄の小さな集落にあった大平一枝

村民が軍と一緒に戦い、村民の半分が命を落とした南風原村

 こののどかな原が、3キロ先に歩く野良猫1匹が見えるほどの焼け野原と化した。1945年、今から70年前のことだ。 南風原町と書いて「はえばるちょう」と読む。南風が吹く原とは、なんと沖縄らしい爽やかな字面だろう。「はる」「ばる」の語源には、平地、稲作があったところ、はるばると景色が良いところなど諸説ある。南風原町は、平地のなかに黄金森(くがにむい)という小高い丘があり、穏やかで風光明媚。路地を歩くと、琉球絣の工房や織物を洗う井戸が、住宅のなかに隣合う。’80年までは「村」だった。

 4人にひとりが亡くなった沖縄戦で、南風原村の沖縄での戦死者は3505人。人口の44%にあたり、2人にひとりが亡くなった。うち61%が同年6月1~23日までの間に死亡。終戦のわずか2か月前に、ひとりあたり52発といわれる米軍の砲弾にさらされ、絶望的な状況の中で、住民が軍と一緒に戦いを強要され村民の半分近くが命を落とした。

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大平一枝

文筆家。長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に「東京の台所」シリーズや『人生フルーツサンド』『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』『そこに定食屋があるかぎり』など。「東京の台所2」(朝日新聞デジタル&w)、「自分の味の見つけかた」(ウェブ平凡)、「遠回りの読書」(サンデー毎日)など各種媒体での連載多数。

HP:https://kurashi-no-gara.com/

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