『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が日本・韓国2か国で累計230万部突破など、今話題の<アドラー心理学>とはいったいどんな思想なのか?
アドラー心理学の第一人者・岸見一郎氏の原点ともいうべき『生きる勇気とは何か』、『人生に悩んだらアドラーを読もう。』の2冊同時発売を記念して、幸せに生きるためのアドラーの教えを抜粋して4回連載でご紹介します。
第2回は、性格はいかにして決まるかについて考えます。
性格は生まれつきのものではない
自分を知るということについて第一章で見ましたが、自分を知るという時、すぐに思いつくのは「性格」のことです。自分の性格がどんなものかについて関心がある人は多いように思います。そういう人は、血液型占いや星座占いなどに書いてある自分に該当する性格についての記事を熱心に読みます。
ある殺人事件の容疑者が、取り調べに対して「自分はすぐにカッとする性格。話しているうちに、イライラすることをいわれて殺した」といったことを先にも書きましたが、人はこのような「すぐにカッとする性格」を生まれついて持っているわけではありません
。
同じ親から生まれ、ほぼ同じ環境で生まれ育ったきょうだいなのに性格が違うことはよく知られています。同じ家庭に生まれたきょうだいよりも、むしろ他の家庭で育った、例えば、末子同士の方が似ていることがあります。これは性格が生まれつきのものではないことの一つの証拠だといえます。なぜきょうだいの性格が違ったものになるかはもう少し後で取り上げます。
何か特別な出来事が起こるわけではなく、後から振り返れば人生の節目とでもいえるような時期があるように思います。それは自分が生きていることを意識するようになった時です。それがいつ頃かは、人によって違いますが、小学校の三年生、四年生頃からの人生は、順を追って今でもわりあいはっきり思い出せませんか?
それ以前のことになると、大きな出来事、例えば、怪我をしたとか、病気で熱を出して寝たとか、引っ越しをしたというような大きな出来事は覚えていますが、それが起こった順番も、何歳の時のことだったかもはっきりとは覚えていません。しかし、小学校の三年生、四年生頃からのことは覚えているのではありませんか? 同じクラスにいた友達の顔を思い出せますか? 担任の先生の顔を思い出せますか?
この頃に、性格を形成し始めたといわれています。この性格は生まれつきのものではなく、その頃までにいろいろな性格をいわば試したのですが、この性格で生きていこうと決めたのです。そしてその後は大人になっても、子どもの頃から姿、形は多少変わっても、性格はそれほど変化するわけはありません。
自分で決めたわけですから、本当は後に変えることはできますが、一度この性格で生きていこうと決めてしまうと、それが時に不便だったり不自由に思えても、性格を変えるのはそんなに簡単ではなくなります。なぜ変えることが簡単ではないかにはわけがあります。
このコラムは、『人生に悩んだらアドラーを読もう。』より抜粋しています。詳しくは本書をご覧ください。
第3回「子どもをほめることも叱ることも必要ない」は5月4日公開予定です。
今日から幸せになれるアドラーの教え
『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が日本・韓国2か国で累計230万部突破など、日本のみならず世界で話題の<アドラー心理学>。
第一人者の岸見一郎氏による、電子書籍『生きる勇気とは何か アドラーに学ぶ』『人生に悩んだらアドラーを読もう。』の2冊同時発売を記念して、アドラー心理学の思想をわかりやすく紹介いたします。