『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が日本・韓国2か国で累計230万部突破など、今話題の<アドラー心理学>とはいったいどんな思想なのか?
アドラー心理学の第一人者・岸見一郎氏の原点ともいうべき『生きる勇気とは何か』、『人生に悩んだらアドラーを読もう。』の2冊同時発売を記念して、幸せに生きるためのアドラーの教えを抜粋して4回連載でご紹介します。
第4回は、他者の評価にどう向き合うかについて考えます。
他者の評価から自由になる
子どもの頃に親がほめてくれなかったから自分のことが好きではなくなったという人のことを先に見ましたが、他の人がたとえほめてくれなくても、自分のことを好きになることはできます。自分のことを好きになるためには、他の人からの評価はいらないということです。
例えば、他の人から「あなたはいやな人ね」といわれたからといって(そんなことを面と向かっていわれることがあるかはわかりませんが)、そのことであなたがいやな人になるわけではありません。反対に「あなたはいい人ね」といわれたからといって、そのことでいい人になるわけではありません。自分の価値は人からの評価によって少しも下がりもしなければ、上がりもしません。
他の人が自分をどう思っているかまったく気にならない人は少ないでしょうが、すべての人が自分について同じように評価することはありえませんし、そもそも人からの評価は自分の価値を決めません。
ほめられたいと思う人は、人の評価に自分を合わそうとしています。しかし、他の人の評価を気にかけ、他の人の期待に添うような自分になることに意味があるでしょうか?
さらに、人の評価を気にする人は、評価を得るために手段を選ばなくなります。評価を上げるためには、カンニングをすることも厭いません。評価されることを怖れて、例えば、試験を受けないということもあります。試験を受けなければ、可能性の中に生きることができます。もしも試験を受けていれば、と思えるからです。
勉強したらもっとできるのに、といわれても勉強しません。実際に勉強してよい評価を得られないより、もしも勉強していればという可能性を残しておく方が得策だと思えるからです。しかしいずれの場合も、評価を怖れるあまり、何も学べないことになってしまいます。
このコラムは、『人生に悩んだらアドラーを読もう。』より抜粋しています。詳しくは本書をご覧ください。
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今日から幸せになれるアドラーの教え
『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が日本・韓国2か国で累計230万部突破など、日本のみならず世界で話題の<アドラー心理学>。
第一人者の岸見一郎氏による、電子書籍『生きる勇気とは何か アドラーに学ぶ』『人生に悩んだらアドラーを読もう。』の2冊同時発売を記念して、アドラー心理学の思想をわかりやすく紹介いたします。