余白の力・歌舞伎編最終回は、超歌舞伎で横澤氏が表現したかった江戸時代の芝居小屋の絵から始まり、本番直前にエンディングを変えたことで超歌舞伎が取り戻した「歌舞伎の方法論」が語られる。横澤氏が生まれて初めての歌舞伎体験で見出したものは何だったのか。
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横澤 ぼくは、この絵を見て超歌舞伎を作ったんですよ(と江戸時代の歌舞伎の芝居小屋の風景を描いた浮世絵を見せる)。
この景色をどういう風にでも再現するかが最終目標だったんです。だからこそ、僕が凄くこだわったのは、スタンディングオベーションをどう作るかだったんですよ。
斎藤 スタンディングオベーション! 日本語にはぴったりな単語がなぜか見当たらない外来語の一つですね。
横澤 当時の歌舞伎は、今で言うフェスに近かったと思ったんです。好きな演目もあれば、ちょっと苦手な演目もあったり。タルいなと思ったり、でも違うシーンでは超楽しくて思わず立ち上がって「イエイ」とか叫んだり。お酒飲んだり、ごはん食べながらでも観ているという、自由な空間で。そこの空間がテーマパークであり、自分たちの最高のエンターテインメントを享受できる場所だったんじゃないか、という感覚を受けたんですよ、この絵を見た時に。
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余白の力 ~二人の異能が語る無の中に有を見出す手法~
『ザ・タワー』や、喋る人面魚育成の『シーマン』をはじめとする新機軸のゲームを作り続けてきたゲームクリエイター斎藤由多加氏と、『ニコニコ動画』の全企画を起ち上げてきたプロデューサー横澤大輔氏。この二人のカリスマの頭の中を赤裸々に公開する!(構成:納富廉邦)