世界を旅する小林希さん。著書『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』もロングセラーに。
今回は一度は見てみたい世界の建築5選。その建築が何倍も素敵に見える最高のアングルから撮った写真とともにご紹介します。
No.1 カサ・バトリョ(スペイン)
ガウディの手がけたスペインはバルセロナのカサ・バトリョ。水中にいるイメージでつくられた青いグラデーションのタイルが印象的です。ガラス越しに覗くと、そこはまさに海の中のよう。彼のあしらうキッチュなデザインに出会いながら、水中トリップするような旅ができます。
No.2 サン・ピエール教会(フランス)
南フランスのフェルミニにあるサン・ピエール教会はフランスの近代建築の巨匠ル・コルビュジェが手がけた宇宙を感じる教会です。太陽の動きとともに内部に差し込む光の曲芸を堪能できます。没後41年経って完成されたのですが、コルビュジェの愛した自然を肌で感じることができるのです。
No.3 イビラプエラ講堂(ブラジル)
さんさんと照りつける太陽と煌めく海、緑深い美しい山をもつリオデジャネイロ出身の建築家オスカー・ニーマイヤーが手がけた建築は、遊び心たっぷりのデザインと、彼が愛した女性らしい曲線のフォルムを自在に操っています。さまざまなニーマイヤー建築をブラジルでめぐりましたが、サンパウロのイビラプエラ講堂は、入り口で目に入る空の青と赤いデザイン、白い外壁のコントラストに目を奪われ、ワクワクした記憶があります。
No.4 カン・ネグラ(スペイン)
スペインの建築といえばガウディが有名ですが、ガウディを支え、実際的にデザインを担当していた建築家ジョゼップ・マリア・ジュジョールの手がけた建築カン・ネグラが素朴で心地よく、とても印象に残っています。ジュジュールはガウディのよき理解者で、また身近な素材、壊れたモノ、不要とされる廃棄物を建築に有効活用しようと努力し、実際の色彩感覚はガウディよりも優れていたらしいです。という話は、サン・ジョアン・デスピにあるこのカン・ネグラにいた係員が教えてくれました。
No.5 フンデルトヴァッサー・ハウス(オーストリア)
オーストリアの芸術家フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーがデザインしたフンデルトヴァッサー・ハウスはウィーンの格式高い建築の街並の中で急に現れる異端児のような建物。自然の中に直線はないという考えのもと、手がけた建築には直線を使わず柔らかな丸みを作っていったのだとか。当然周囲の反対もあったと聞くけれど、できあがった現在、そのやわらかな丸みと色彩を感じる建築は、重厚で単調な建築群の街並に存在する、自然豊かなオアシスのようにも見えます。