『坐骨神経痛』という言葉を、みなさんも一度は耳にしたことがあるでしょう。「お年寄りになると悩まされる症状」というイメージがあるかもしれませんが、坐骨神経痛は、20代、30代でもなります。なぜなら、その原因は腰にあるからです。
自分でもそれと気づかずに、「腰痛はあるけれど坐骨神経痛は関係ない」と思い込んではいませんか? 足のしびれやだるさ、冷え症、ひんぱんに起こるこむら返りなどは、坐骨神経痛の典型的な症状です。心当たりのある方はぜひ、ここでご紹介するストレッチや対処法をお試しください。
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寝ているときのしびれには、『足L字ストレッチ』を!
坐骨神経痛の人は、夜、布団に入った後も症状に悩まされていることが少なくありません。片方の足がピリピリとしびれたり、お尻や太ももがどうしようもなく重だるかったり……。「おかげで気持ちもピリピリしてろくに眠れなかった」という経験をされた方も多いことでしょう。
では、そんなときに布団に入ったまま、応急的に症状を軽減させるストレッチをご紹介しましょう。
と言っても、やることはただ“足をL字に曲げるだけ”という簡単なストレッチです。敷布団に仰向けに寝た状態で、症状がある側のひざを真横に曲げてみてください。ひざを立てずに横へL字状に曲げるのです。曲げられるところまでで構いませんが、できればひざの角度が90度近くになるまで曲げていきましょう。そして、その姿勢をしばらくの間キープしてください。
どうでしょう。これだけで足やお尻の症状が軽くなった気がしませんか?
この『足L字ストレッチ』を行なうと、お尻や太ももの筋肉を効果的にゆるませることができます。つまり、神経が走っている部分のお尻や太ももの筋肉を弛緩させることによって神経の緊張を解き、しびれやだるさなどの症状を和らげることができるのです。
とくに、お尻がだるいときには、このストレッチが効果を発揮するはず。症状がなかなか治まらない夜に、ぜひ試してみてください。
就寝時のしびれが気になる人は、睡眠前に『クッションかかと落とし』を!
睡眠時のしびれ対策法をもうひとつご紹介しましょう。
名づけて『クッションかかと落とし』です。格闘技に“かかと落とし”という足技がありますが、これを積み上げたクッションや布団に向かって決めるのです。
まず、敷布団を敷いて、その足元にクッションや布団や毛布、マットレスなどを何枚も積み上げてください。だいたい、ひざの高さくらいになるまで重ねていくといいでしょう。
次に、敷布団に仰向けになり、症状がある側の足を上げ、積み上げたクッションや布団に向かって勢いよくかかと落としをお見舞いするのです。そして、そのままかかとを押しつけ、クッションや布団を押しつぶすような要領で30秒くらい力を込め続けてください。この際、かかとを押しつけた反動でお尻が浮いてしまうくらい力いっぱいやるようにするといいでしょう。
これを数回ほど繰り返せば、しびれや痛みなどの症状が軽減してくるはずです。この『クッションかかと落とし』を行なうと、ハムストリングスや腓腹筋などの足の後ろ側の筋肉が効果的にほぐれます。坐骨神経痛の症状をもたらす神経の多くは足の後ろ側を通っているので、これらの筋肉がほぐれると神経の緊張もゆるんでくるのです。
また、勢いよく足を振り下ろすと、腰が浮いて骨盤の仙腸関節にも刺激が伝わります。これにより仙腸関節がゆるむため、神経圧迫が緩和して足腰の症状が和らぐのです。
クッションや布団、マットレスは、足の角度が30度~45度くらいになる高さにセッティングするといいと思います。坐骨神経痛持ちの方は、このかかと落としを就寝前の習慣にしてみてはいかがでしょう。そうすれば、しびれや痛みにわずらわされることなく、ぐっすり眠れる可能性が高まります。さらに、しびれや痛みが気になってよく眠れないときや、痛みで目が覚めてしまったときも、症状を振り払うようなつもりでかかと落としをしてみてください。