
『坐骨神経痛』という言葉を、みなさんも一度は耳にしたことがあるでしょう。「お年寄りになると悩まされる症状」というイメージがあるかもしれませんが、坐骨神経痛は、20代、30代でもなります。なぜなら、その原因は腰にあるからです。
自分でもそれと気づかずに、「腰痛はあるけれど坐骨神経痛は関係ない」と思い込んではいませんか? 足のしびれやだるさ、冷え症、ひんぱんに起こるこむら返りなどは、坐骨神経痛の典型的な症状です。心当たりのある方はぜひ、ここでご紹介するストレッチや対処法をお試しください。
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睡眠中のこむら返り……。坐骨神経痛との関係は?
『こむら返り』とは、ふくらはぎの腓腹筋が突然けいれんを起こしてつる現象です。昔はふくらはぎのことを“こむら(腓)”と呼んだことから『こむら返り』という名で呼ばれています。
みなさんはこむら返りを起こしたことがあるでしょうか。たぶん突然見舞われるあの痛みは経験者でないとわからないかもしれません。運動中や運動後、立ち仕事で疲れたときなどにも起こりますが、睡眠中にいきなり足が激しくけいれんして、痛みで飛び起きることもあります。なかには、しょっちゅうこの激痛に見舞われているという人も少なくありません。
実際に、私の治療院には「こむら返りが多くて困っているんです」と訴える方がかなりの数いらっしゃいます。そして、じつはそういう患者さんには「腰痛経験者である」という共通点があるのです。なかでも、坐骨神経痛持ちの患者さんは、ほとんどの人がこむら返りの悩みを併せ持っている傾向があります。
私の感覚からすれば、こむら返りは腰痛・坐骨神経痛の一症状のようなもの。もちろん、こむら返りには他にもさまざまな原因があるのですが、腰の問題がかなり深く影響しているのは間違いありません。おそらく、腰痛や坐骨神経痛の人は、腰椎からふくらはぎへと延びている神経の流れが誤作動を起こしやすいのでしょう。それで、しょっちゅうこむら返りを起こすのではないでしょうか。
それに、私の治療院では、腰痛や坐骨神経痛を完治させたのを機にこむら返りと縁を切ることができたという方が大勢いらっしゃいます。みなさん、腰痛・坐骨神経痛の症状が治るとともに、「そう言えば、以前のようにこむら返りを起こすことがなくなった」とおっしゃるのです。
ですから、こむら返りでお悩みの方は、一度「腰に原因があるのかも」と疑ってみることをおすすめします。そして、腰痛・坐骨神経痛をしっかり治すことで、“ふくらはぎの激痛”に別れを告げましょう。
こむら返りの8割は腰痛が原因って本当なの?
こむら返りが起こる背景には、さまざまな病気や不調が隠れている可能性があります。主なものを挙げてみましょう。
・糖尿病、あるいは糖尿病の予備群
・腎臓病・肝臓病
・下肢静脈瘤
・閉塞性動脈硬化症
・てんかん
・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰痛疾患
・運動などによる筋肉疲労
・電解質のバランスの崩れ(マグネシウムなどの筋肉収縮に必要なミネラルが発汗、脱水、疲労、栄養不足などによって不足し、バランスが崩れてうまく筋肉を収縮させることができなくなる)
先にも申し上げましたが、こうしたさまざまな原因があるなかで、とりわけ多いのが『腰痛を原因とするこむら返り』です。もちろん、こむら返りに悩んでいる人には、腰痛だけでなく上に挙げたような複数要因を併せ持っている方も数多くいらっしゃいます。でも、そういう方々を含めれば、「こむら返りの原因の7~8割に腰痛が絡んでいる」と言っていいのではないかと私は考えています。
とにかく、こむら返りを頻繁に起こすような人は、内科的方面、整形外科的方面において何らかの問題が隠れているおそれが大なのです。いずれにしても、見過ごしていてはいけない危険信号であることに変わりはありません。
痛みが治まると何事もなかったかのように放っている人も多いのですが、それではいけません。ぜひ、原因を究明し、早めに治療するようにしましょう。
こむら返りを治す簡単な方法とは?
「草野球の試合をした後、帰宅途中でこむら返りを起こした」「バスに乗り遅れそうなので走ったら、ふくらはぎがつってしまった」「走り出した幼い孫を追いかけようとしたら、足にいきなり激しいけいれんが……」
こむら返りの激痛はいつやってくるかわかりません。出先や家の中でこむら返りになってしまったら、応急処置としてどんな方法をとればいいのでしょうか。
まず、大事なのは慌てないことです。こむら返りのけいれんはそう長く続くものではありません。たとえ、悲鳴を上げるほど痛くても、筋肉をもとの状態に戻せばその痛みはちゃんと消えていきます。ですから、慌てず騒がず落ち着いて対処しましょう。
では、いったいどう対処すればいいのか。おすすめなのは、下イラストのようにゆっくりとつま先を体側に引っ張って、アキレス腱やふくらはぎの筋肉を伸ばしていく方法です。タオルなどをつま先に掛けて引っ張るのもいいでしょう。家にいるときであれば、ふくらはぎを伸ばした後に、蒸しタオルや足湯などでふくらはぎを温めて血行を促すのもいいと思います。
また、出先でこむら返りに見舞われた際は、「準備運動のアキレス腱伸ばし」の要領で足を伸ばすといいでしょう。この場合はトントンとかかとを上げ下げする動きを加えずに、痛い側の足のかかとを地面につけたまま上体を前傾させ、ゆっくりふくらはぎの筋肉を伸ばしてください。