開成中学・高等学校から東京大学を卒業して弁護士になり、2013年に司法試験の予備試験や社会保険労務士など20種類以上の資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を起業した鬼頭政人さん。
今回、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』を書いた鬼頭さんが、ぜひ対談したいと望んだのが佐藤亮子さんです。佐藤さんは3男1女の母。上の男の子3人を灘中学・高等学校から東大医学部に進学させた“プロママ”です。
合格請負人のエキスパートの2人。2人が勧める合格のためのノウハウには驚くほどの共通点が。しかし、1点だけ意見が食い違うテーマがありました。それが大学受験勉強中の恋愛について。今回はその相違点について論争してもらいました。
(構成と写真:今津朋子)
佐藤 今日、お話して勉強法についての共通点がたくさんあって気持ちがいいです。
鬼頭 僕も佐藤さんの本を読んで、佐藤さんのおっしゃることの本質的な部分がわかって楽しいです。
世間では佐藤さんの「テレビを見せない」とか「恋愛は必要ない」とかの枝葉末節なノウハウばかりがおもしろおかしくピックアップされてしまっていて、僕から見ても残念だなと思っていたので。
佐藤 ありがとうございます。結局、限られた時間の中で一定量のことを効率よくこなすのがポイントですよね。受験って皆さんが思っているよりは、やり方が大切なんですよ。
鬼頭 そうですね。
佐藤 だから恋愛をしている暇なんてないんです!そう思われるでしょう?
鬼頭 いえ、あの、実はその点は……。僕は大学受験のときに恋愛してたので、なんとも……(笑)。
佐藤 まあ、そうなんですか。
鬼頭 でも高3の春に自然消滅して終わったので、受験本番にはもうつきあっていませんでしたが。
佐藤 大事な時期を迎える前に終わってよかったですね。
鬼頭 はあ……(苦笑)。
佐藤 司法試験を受験するならもう大人ですから、恋愛が励みになることもあると思います。でも大学受験はまだ10代ですからね。ゲームは「もう勉強しよう」と言って止められるけど、恋愛は相手がありますからね。彼女が「会いたい。来て」と言ったらムリして会いに行ったりするでしょう?
鬼頭 しますね(笑)。
佐藤 恋愛は人生の道場だって言う人がいますが、受験だって道場ですよ。私は恋愛を否定してるのではないんです。人生に恋愛は大事ですよ。でもわざわざ受験勉強中にしなくていいでしょう。恋愛したかったら合格してからすればいいと思います。
1日は24時間しかないので受験勉強中は合格することだけ考えるべきと思いますね。
鬼頭さんは恋愛が勉強の妨げになったりしませんでしたか?
鬼頭 妨げになったかならなかったかと言えば……妨げになりました(笑)
佐藤 引きずったりしませんでしたか?
鬼頭 引きずりました(笑)
佐藤 ほらね~。特に男子は引きずるんですよ。女の子に勉強を教えてあげて女の子は成績が上がって合格するけど、教える方は夢中になってしまって何も得にならないの。
鬼頭さんはどうやって失恋を克服したのですか?
鬼頭 克服なんてしてないですよ(笑)。引きずったまま受験勉強していました。
つらかったですね。
佐藤 そのハンデがありながらよく合格できましたね。
鬼頭 大学受験はまあ範囲が狭いのでなんとか。これが東大理Ⅲとかだったらもっと勉強の精度を上げないといけないのでムリだったでしょうね。
佐藤 そうなんです。東大理Ⅲは100人の狭き門で少しの失敗で不合格になるのでたいへんなんですよ。だれもこのたいへんさを理解してくれないんです!
鬼頭 いや、僕はわかりますよ。
佐藤 ありがとうございます(笑)。
★恋愛は司法試験の勉強に役立つ!?
鬼頭 勉強の妨げにはなった恋愛ですが、情操を育てられたという面ではよかったと思ってるんです。進学校の男子校の生徒って基本、選ばれた人たちなので、人の気持ちがわからないところがあるんですよ。
でも恋愛してはじめて人の気持ちと親身に接するんです。同級生は同じ価値観なので話が合ってラクなんですが、異性とつきあうと価値観がぜんぜん違う。
「オレってこんなことで怒るんだ」とか「オレってこんなことが許せないんだ」とかわかるんですよね。極めて近い人間関係があることを知るのが恋愛ではないかと思います。
たしかに恋愛が励みになって大学受験に役立つかと言われると役立たないのですが、私はむしろ司法試験の勉強には役立ったかなと思います。
佐藤 どういうことでしょう?
鬼頭 法律ってバランス感覚や人の感情が大事なんですね。
佐藤 うちの夫も弁護士なのでそれはよくわかります。法律って白黒つけるのではなく、どこまで歩み寄るかなのですよね。ああいうこともあるけど、こういうこともある、ではどうする?って。
鬼頭 そうなんです。だから、人の気持ちを知る意味で恋愛も大事かと……。
佐藤 いやいや、それでも受験中はだめですね。合格してから思いきりすればいい。
鬼頭 やはりこの点でのみ、僕と佐藤さんの意見は食い違いますね(笑)。
佐藤 わずか直前の一年間が、なんで我慢できないかと思いますけども。
鬼頭 それは……思春期ですからね(笑)。
でも、意外に佐藤家のお子さんたちも隠れて恋愛していたかもしれませんよ。
佐藤 あら、そうかもしれませんね(笑)。隠れて恋愛してたらそれはもう、しょうがないですね。
第2回は9月15日(木)公開予定です。
合格をサポートするために必要なことは?
独学VS教育ママ?!驚くほど共通した受験勉強法とは
開成中学・高等学校から東京大学法学部を卒業して弁護士になり、2013年に司法試験の予備試験や社会保険労務士など20種類以上の資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を起業した鬼頭政人さん。
今回、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』を書いた鬼頭さんが、ぜひ対談したいと望んだのが佐藤亮子さんです。佐藤さんは3男1女の母。上の男の子3人を灘中学・高等学校から東大医学部に進学させた“プロママ”です。
合格請負人のエキスパートの2人が勧める合格のためのノウハウには驚くほどの共通点が。どのように勉強したら合格できるのか、その秘策を語り合ってもらいました。