何かと話題満載の、NHK大河ドラマ「真田丸」。
天下分け目の大合戦「関ケ原の戦い」を、わずか3分しか描かなかったドラマ「真田丸」の真相は? そして、その裏にあった涙涙の感動物語とは?
ドラマ愛にも戦国愛にもあふれた、珠玉の解説をどうぞ――!
* * *
幻冬舎plusをご覧のみなさん、こんにちは。房野史典と申します。plusさんで、「東大生も唸った!超現代語訳 戦国時代」という記事を書かせて頂いております。
みなさんのおかげで、こちらの連載が『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』というタイトルにリニューアルして、書籍として発売しております。 是非こちらからお買い求め下さい!
もちろん書店さんでも販売していますので、お見かけの際は、手に取って2、3ページめくってみて下さい。
「おもしろい…可能性が…ある」と思った方、そのままご購入して頂ければ幸いです。
「別に…って感じ」と思った方、我慢して読み進めれば、おもしろい文章に出会えるかもしれません。是非、ご購入を。
「好みじゃない」と思った方、人は変われます。これが好みだと強く思って、買って読んで頂ければ、それはいつの間にかあなたの愛読書に。ですので、ご購入を。
みなさん、何にせよご購入宜しくお願い致します。
真面目な話、この本の「はじめに」だけをちょっと読んでみて下さい(←クリックすると読めます)。日本の今までの歴史をたった4ページにまとめてみました。もちろん乱暴に。
ただ買って下さった方からは「『はじめに』を読んで、引き込まれた」、「『はじめに』と『目次』の時点で、ヤバい、おもしろい」といった言葉をたくさん頂きました。
立ち読みからスタートして頂くことを切に願います(書店さんのご迷惑にならない程度で)。
さて、大河ドラマ「真田丸」ですが、前回の記事で、第35回の放送「犬伏」はスーパー神回だったと書かせて頂きました(前回の記事はこちら)。その別れ方に最高の演出があったと。
なぜ、ただの“神回”でなく“スーパー”なのかというと、「真田丸」には"神回"が多すぎるんです。歴史好きのひいき目が入っているのかもしれませんが、そうでなくとも、ドラマとして最上級なんです。現に、僕の周りの歴史に全く興味がない面々も、「真田丸、おもしろすぎる!」とデケー声で宣言してるくらいですから。
印象的だったシーン、これまでにもたくさんあります。
豊臣秀吉(小日向文世さん)がボケてしまい、真田信繁(堺雅人さん)さんとの出会いを再び繰り返すシーン……。
茶々(竹内結子さん)が子供を亡くし、気丈に振舞っているが、寧(ねい。鈴木京香さん)に抱きしめられた瞬間、大声をあげて泣き叫ぶシーン……。
名シーン、神回をあげればキリがないですが、その中でも、「犬伏」の回は”神回オブ神回”だったと思われます。
もちろん三谷幸喜さんの作品ですから、それと同等くらい、笑いのシーンもいっぱい組み込まれています。これがまた抜群におもしろいです。
さっきまで上質のコメディを観ていたのに、いつの間にか泣かされていた。心を揺り動かされるって、こういうことを言うんだと、いつも感嘆の声をあげています(「真田丸」褒めすぎて、自分の本のアピールがおろそかになっているので、なんの脈絡もないタイミングですが、本のご購入はこちらから。僕の本のタイトルも「笑って泣いてドラマチックに学ぶ」なので、宜しくお願いします)。
物語も中盤をすぎ、前々回は、第36回「勝負」というタイトルのものでした。
犬伏とは違った意味で、こちらもネットを騒がせました。
なぜか?
天下分け目の大合戦、「関ヶ原の戦い」をはしょったからです。
ドラマで戦国時代を描くとき、もしその主人公が1600年(「関ヶ原の戦い」が起こった年です)に存命している武将なら、ディテールの荒い、細かいの差はあれど、関ヶ原で大勢が戦ってるシーンを必ず視聴者にお届けするものでしょう。
それを、戦いの内容を全く描かず、”関ヶ原の戦い”が始まったというナレーションと共にその様子を映し出すこと、たったの40秒強。
”関ヶ原の戦い”が始まったというシーンに始まり、佐助(忍び。藤井隆さん)が真田家の元に「徳川方の大勝利でございます」という報告をもたらし、ドラマが終わるまで、関ケ原の戦いに直接触れられていたのは、あわせて3分とちょっと。
ネット上では、”超高速 関ヶ原”と名付けられ、話題となりました。
確かに、”関ヶ原の戦い”は、たった一日(史料からは、およそ6時間だったと言われています)で終わり、全武将の予想(あまりに大きな戦いのため、誰しもが、何ヶ月、何年も続く戦いだと予想していたみたいです)を大いに裏切ったと言われています。このように実際の戦いも短かったは短かったのですが、それにしても今回のドラマ、大胆な演出です。
しかし、ドラマ「真田丸」が誰の物語なのかを考えると、実にリアルな手法です。
真田家は、関ヶ原(岐阜県)には行ってません。豊臣についた、父・昌幸(草刈正雄さん)、弟・信繁も、徳川についた、兄・信幸(大泉洋さん)も、上田城(長野県)で戦っていたんです。となると、その結果を聞くのは当然、伝言。
その場を見ていない真田家の主観で描くなら、当然この描き方になるということです。
こう説明したら簡単なようですが、戦国時代のメインイベントをガッツリはしょるというのは、とても勇気がいるし、もしかしたら三谷さんも本当は描きたかった部分かもしれません(関ヶ原の概要を知りたい方は、是非『超現代語訳 戦国時代』を。第一章はたっぷり「関ヶ原の戦い」です)。
関ヶ原の戦いの詳細を省いたことは、ドラマのテンポと、リアルを追求するための英断だったと思います。
そして、第37回「信之」。これはお兄ちゃん(大泉洋さん演じる「信幸」)の新しい名前のことです。
また僕は、お兄ちゃんにやられてしまいました。
泣いてしまいました。
徳川の勝利に終わった”関ヶ原の戦い”でしたが、兄・信幸は、約束通り(こちらも前回の記事を参照してください)、父と弟の命を救うため、徳川家康(内野聖陽さん)の元に向かいます。
家康からは、父も弟も死罪(死刑)を言い渡されるのですが、舅の本多忠勝(藤岡弘、さん)のバックアップをもらった必死の嘆願によって、昌幸と信繁の命だけは救われます。
そこでね、信幸はボロボロと泣くんです。
家康の忠実な家臣である本多忠勝が、自分の家族のために上司に意見してくれたことに泣き、父と弟の命が救われたことに……、心底安堵して、ボロボロと泣くんです。
でも、信幸には、次の涙が待っています。
家康が言い放った言葉……。
家康「その代わり、そなた(信幸)は、父親と縁を切れ。”信幸”の”幸”の字は、父親からもらったものだったの?」
信幸「父、昌幸の”幸”の字を受け継ぎました……」
家康「……捨てよ」
信幸「………………かしこまりました!!!」
家族の命を救うため、大事な人のために、“繋がり”を捨てることを選んだ信幸。
父と弟の命と、真田家の証である“名前”というアイデンティティーを、天秤にかけたとき、兄は、二人の命を選択するのです。
自己を捨てて、大切な人の命のために、縁を切り、名前を捨てる。
信幸は、ここでまた苦渋の涙を流すことになります。
ただ、新しく変えた名前は「信之」。文字は変えても、読み方は変えないという、最後の意地を見せたのでした。
そして、信繁と昌幸は信濃(長野県)から、九度山(和歌山県)へ配流(追放)されます……。
この「信之」という回は、いろんな別れを描いた回だったと思います。
命を守るために、家族の繋がりを捨てるという”血”の別れ。
生まれ育ち、そのために戦ってきた”故郷”との別れ。
石田三成(山本耕史さん)や大谷吉継(片岡愛之助さん)との”今生”の別れ。
戦いの世には、こんなにやるせないことが起こるということを、まざまざと見せつけられた気がしました。
哀しくて、悲しいために、心を揺り動かされた回でした。
最後に本のアピールをもう一度。
『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』では、関ヶ原の戦いの詳細、第二次上田合戦、真田家の別れを、楽しく、スピーディーに把握できる文章に仕上げています。
是非ともご一読を!
そして、幻冬舎plusさんの会員登録(無料)も宜しくお願いします。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
* *
こちらがウワサの本!
『笑って泣いてドラマチックに学ぶ
超現代語訳 戦国時代』
房野史典著
幻冬舎刊
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超現代語訳 戦国時代 笑って泣いてドラマチックに学ぶ
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