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知識ゼロからの彩花盆栽入門

2016.11.10 公開 ポスト

初心者でも安心の「草ものの寄せ植えづくり」山田香織

「盆栽」のある暮らしとは、安らぎはもちろん、どちらかというと犬や猫たちのように、ペットとの暮らしに似ています、なぜなら盆栽も「生きている」から──そうおっしゃる盆栽家の山田香織さん。
四季折々にさまざまな表情を見せてくれる盆栽に、あなたもチャレンジしてみませんか?これまでの盆栽と違って、より気軽に、現代風に楽しめる、山田さんが提案されている「彩花盆栽」の作り方を、初心者にもわかるよう解説されているのが『知識ゼロからの彩花盆栽入門』です。その一部を、全6回にわたってご紹介します。
第5回の今回は、「草ものの寄せ植えづくり」についてです。

*  *  *

 

初心者でも安心の

草ものの寄せ植えづくり

緑色の細い葉と小花がそよ風にそよそよと揺れる草ものの寄せ植え。
露をまといしっとりとした表情、やわらかな日差しを受けた温かな表情が
何気ない日々の中にふとした自然の遊び心を感じさせます。

 

用意するもの

 使う苗……●ヤクシマススキ ●ヒメタデ ●四季咲きナデシコ

●鉢底網と針金

 鉢底網と固定するための針金は、それぞれひとつずつ揃えておきます。

 

●鉢

 初心者は深さが5~6センチある円形の鉢が使いやすく、おすすめです。

 

●苗

 寄せ植えしやすい「ヤクシマススキ」「ヒメタデ」「四季咲きナデシコ」を組み合わせてみましょう。

 

●苔

 スナゴケなど日当たりに強い種類がおすすめです。

 

●用土

 草ものの寄せ植えには、赤玉土(極小粒)と鹿沼土を2:1の割合で混ぜた基本の用土を使います。

 

●赤玉土(小粒)

 鉢底に入れるゴロ土として使います。

 

●トレー

 トレーを使うと、周りが汚れず作業しやすくなります。

 

鉢の準備

1.針金を曲げて、鉢底網を固定する形に成形します。写真のAの幅を鉢底穴の直径ぐらいにしましょう。

 

2.1の針金を鉢の内側から通し、丸くなっている部分をつぶして平らにし、鉢を裏返して左右に広げ、鉢底網を固定します。

 

3.ゴロ土として、鉢の深さの5分の1程度の赤玉土(小粒)を入れます。

 

4.鉢に用土を入れます。苗の根鉢(根についた土のまとまり)と鉢の深さを考えて用土の量を調整します。多くても鉢の深さの3分の1ぐらいまでにします。

 

苗の準備

1.苗を観察して、枯れている葉や茎を切り取ります。枯れた葉を除くことで、病害虫を防いだり、風通しをよくします。

 

2.苗をトレーにのせ、ポリポットのふちに丸箸をさしてすき間をつくり、取り出しやすくします。

 

3.ポリポットから苗を取り出し、髪をとかすように根元から根先に丸箸を通して、古い土を落としながらていねいに根をほぐします。

 

4.草ものの苗は細くやわらかいので、ある程度土が取れ、根がほぐれてきたら、指先で根をほぐし、まっすぐに伸ばします。

             

5.伸びすぎた根を、根切りばさみで半分または3分の1程度残して切り落とし、新しい根の生育を促します。すべての苗を同じように準備します。

 

6.苗の準備ができたら、苗を合わせながらバランスのよい配置を決めます。

 

植え付け

1.決めた配置のまま苗を合わせ、鉢の中に入れます。

 

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ここがポイント……根の生え際の高さを揃える

 株の根元と根の境目を根張(ねば)りといいますが、どんな植物を合わせる場合でも、根張りの高さを揃えることが大切です。高さが合っていないと、根が土の表面に出てしまい乾燥したり、逆に深く植えすぎると、草の生育が悪くなります。

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2.苗が倒れないように片手で株元を押さえながら、株の周りから用土を入れます。用土は何回かに分けて入れるので、このときはある程度入れば大丈夫です。

 

3.株の周囲の用土を丸箸で突いて、根と根の間までしっかり土が入っていくようにします。

 

4.再び用土を加えて、株周りを丸箸で突きながらすき間をなくします。この作業を繰り返し、鉢のふちまで用土を入れます。

 

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ここがポイント……しっかりと土を入れる

 土の入れ方が不十分だと、株が安定せず盆栽のデザインが崩れてしまうばかりか、株が根づかずに2週間程度で植物が弱ってしまいます。

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5.用土が入ったら、はす口のついたじょうろでたっぷりと水を与えます。最初は鉢底から茶色い水が流れてきますが、透明な水が流れ出てくるまで水を与えます。この茶色い水は、微塵(みじん)といって、パウダー状の土のことです。これを流しておかないと、通気性や水はけが悪くなります。

 

6.湿らせた用土の表面をピンセットのコテで平らにならし、表面に苔をはりつけていきます。苔はある程度小さくして、用土が見えなくなるまでパズルをはめるようにしてはりつけます。

 

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ここがポイント……軽く押すようにして苔をはる

 

 苔は上から押さえても傷まないので、指先やピンセットのコテなどで上から軽く押し、苔の厚みの半分ぐらいが用土に埋まるようにします。鉢のふちの部分はピンセットの先端で苔のふちを用土にさし込むようにしましょう。この作業をしないと、苔が用土につかず枯れてしまう原因になります。

★  ★  ★

 

7.「草ものの寄せ植え」の完成です。

 

 次回は、「枝ものと草ものの寄せ植えづくり」のやり方をご紹介します。
 更新は11月13日(日)です。お楽しみに。

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知識ゼロからの彩花盆栽入門

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山田香織

盆栽家。さいたま市盆栽町に続く盆栽園の「清香園」四代目園主、山田登美男の一人娘として生まれ、幼少より跡取りとして盆栽に関する教育を受ける。五代目として伝統を守りながら、盆栽の魅力を広めるべく、日本の原風景を草花や木で表現する「彩花盆栽教室」を主宰する。現在、テレビ、ラジオ、雑誌、講演会など多岐にわたり活躍する。2008年4月よりNHK教育テレビ「趣味の園芸」のキャスターを務める。著書・監修書に『よくわかる盆栽 基礎から手入れまで』(ナツメ社)、『盆栽づくりとっておきのいろは』(大泉書店)など、多数。

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