根本的な暗記法を知らずに、やみくもに勉強するのは、穴の開いたバケツに水をどんどん注いでいるようなもの。
“授業をしない塾”という画期的な方針で、E判定から早慶・国立大学医学部などへの逆転合格者を続出させ話題の「武田塾」を運営している林尚弘さんによると、勉強は「暗記したかどうか」がすべてだといいます。
本連載では、林尚弘さんの著書『受験合格は暗記が10割』より、効率的かつ受験本番まで絶対に忘れない、正しい暗記法を紹介いたします。
「数学・理科系」の暗記は、「最初の1行」で決まる
3番目は、「数学・理科系」参考書の暗記方法です。
「数学・理科系」で正しい解答へとたどり着くには、「最初の1行がとても重要」だということです。
でもそれは、最初の1行だけ暗記すればいいということではありません。正しく解答の最初の1行を導き出すための暗記が重要なのです。
もう少し、わかりやすく説明しましょう。
たとえば、連立方程式で解く問題があったとします。
これを「式を与えられたら解ける」のでは、まだ暗記は不十分です。
問題を見ただけで、「これは連立方程式で解くんだな」という、方針がわかるようにならなければいけないのです。
数学や理科の勉強で一番苦労するのは、ここです。
参考書の解答を見ると「その解答が正しいのはわかる」、それなのに、「どうしたらその解答を思いつくのかがわからない」から、問題が解けないのです。
しかし、逆に言えば、数学や理科は、最初の1行さえ書ければ、あとは自動的に解答までたどり着く問題がほとんどです。
この、最大の壁を越えるためにも、やはり暗記が必要です。
ただし、数学と理科も、「文法系」参考書と同じように答えを丸暗記するだけではダメなのです。
ここで「なんだか、どんどん難しくなってきた……」と尻込みしないでください。
そう考えるのは、あなただけではありません。実は、「数学・理科系」は、暗記方法がわからずに、伸び悩む生徒が一番多い科目なのです。
そのため、「もうダメだ!」と投げ出さないよう、できるところから段階を踏んで暗記するのがよいでしょう。
「数学・理科系」の代表的な参考書には、『数学I・A 基礎問題精講 四訂版』(旺文社)、『1対1対応の演習 数学Ⅲ 微積分編 新訂版』(東京出版)があり、たいていは次のようなつくりになっています。
まずは問題だけを見て、答えをノートに書き出してみましょう。
また、理科では『鎌田の理論化学の講義』(旺文社)のように、別冊に暗記事項がまとまっているものもあります。
この場合は、覚えるべき部分は「単語系」参考書の暗記方法で、講義部分を読むのとは別作業として暗記をしてください。